【危機管理広報】敏腕広報コンサルタントと新卒ドタバタ広報の二人三脚珍道中⑤
今回は緊急時に冷静な判断と適切な対応が求められる【危機管理広報】についてお伝えします。
クライシス(=危機)発生後、広報担当者はどう行動すべきなのでしょうか。
特にベンチャー広報の場合は自社をメディアに取り上げてもらうための攻めの広報に意識が向きがちですが、守りの広報としての危機管理対応についても知識を入れておきましょう。
■登場人物
■危機管理広報と初動三原則
クライシス(=危機)発生時の広報対応のことを危機管理広報と言います。
日々の企業活動には不正・不祥事、大規模災害から、日常的なミスから生じるアクシデントまで、大小様々なクライシスが無数に潜んでいます。
たとえば自社製品に不具合が見つかった、社長や社員が事件事故に巻き込まれた、イベントで怪我人が出たなどが想定できますね。
クライシス発生時には慌ててしまうものですが、まずは以下の初動三原則を冷静に実行しましょう。
3つの原則について、以下に説明していきます。
1.情報収集
まずは関係者からヒアリングを行い、細かい事実関係(場所、人数、状況、原因)を確認して時系列を整理します。
このときポイントとなるのはヒアリング時の態度です。事実関係確認のためには質問を繰り返さなければなりませんが、相手を問い詰めるような口調にならないように注意しましょう。
当事者はクライシスに対して責任を感じ落ち込んでいることも。
こちらが「なぜ?」のクエスチョンを繰り返していると、相手は追い詰められているように感じてしまいます。
あくまで事実関係を確認しているだけだという姿勢で、柔らかな雰囲気作りを心がけましょう。
正直に話してもらうためにも必要なテクニックです。
2.ステークホルダーの洗い出し
次にステークホルダーの洗い出しをおこないます。
クライシスに関係のある人物や、連絡すべき対象をすべて書き出しましょう。
3.方針の確定
洗い出したステークホルダーに対し、それぞれどの順番でどの段階で連絡をするのかを決めます。
また発生したクライシスに対して会社として今後どう対応していくのか、再発防止策として何を実行するのかなど、社長と話し合い方針を確定させます。
方針が確定したらそれを元にポジションペーパーを作成します。
ポジションペーパーとは第三者向けにクライシスの経緯・原因・今後の対応・再発防止策などをまとめた公式見解の文書です。
ポジションペーパーが完成したら、順にステークホルダーに送付し説明します。送付方法はPDFをメールで送信するのが手早いです。質問を受け付けるためにも電話をかけ口頭でも説明できると良いですね。
クライシスの規模や状況によっては、ポジョンペーパーの内容を自社のホームページに掲載します。
社内にもポジションペーパーを共有し、問い合わせがあった際の窓口は広報担当だと周知しましょう。窓口を統一したほうが混乱せずに済みます。
石川慶子氏からアドバイス
・発生したクライシス(=危機)に対して大したことないと過小評価せず危機感を持ってちゃんと慌てることが大事です
・大事なことは電話で口頭で伝えるようにしましょう。メールやFAXなどの文面だけではうまく伝わらないこともあります
■次回 リスクマネジメントとは
第5回である今回は、危機管理広報について初動3原則を中心に対応方法を解説してきました。
実際にクライシスが発生してからの対応は後手に回ってしまい、てんやわんやすることがほとんどです。いざというとき冷静に対応するためにも、日頃の備えが重要となってきます。
備えとして危機対応マニュアルを作成しておくといざというとき役に立つのでおすすめです。
ということで次回は、危機管理広報の役割のひとつである【リスクマネジメント】についてお伝えします。
■本記事の内容を動画で見たい方は……
本記事は、石川慶子氏公式YouTubeチャンネル『石川慶子MT』のインタビュー動画を元に作成したものです。
本記事の内容を動画で楽しみたい方はこちらからご覧ください。
■関連リンク
▼広報コンサルタント 石川慶子 公式サイト
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