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ならきちのゆる読書感想文

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本の内容に少し触れたりしつつ、基本的には極めて個人的な心のうちを吐露する読書感想文です。
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2020年7月の記事一覧

川上未映子『きみは赤ちゃん』を読んで

あの『乳と卵』を書いた川上未映子先生が、妊娠からお子さんが一歳になるまでをどう感じ、どう切り取り、どう描くのか、わくわくしながらページをめくりました。 なつかしいなぁ、妊娠していたころのこと。我が子が無事に生まれ、まだ赤ちゃんでいたころのこと。 ちょっぴり涙がにじみました。 同時に、自分の中のドロドロした感情も露わになりました。 ※今回の読書感想文は私の心の醜い部分を晒し、感情むき出しで殴り書きしておりますので、閲覧注意となります。文章もですます調でこそありますがかな

江國香織『神様のボート』を読んで

「パパの仕事の都合で、また引っ越すよ」 「なんで!」「いやだ!」と泣いて駄々をこねる9歳の女の子。 父親は困り果て、「そんなに騒ぐならそこから落っことすぞ」と言って女の子を抱え、住んでいた社宅の三階の窓から本当に放り投げようとしました。 どうしようもないと、わかっていました。 「転校したくない……」 メソメソと泣いていた、幼いころの自分を思い出しました。 あらすじ昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をして、その結果あたしが生まれた。"私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。

川上未映子『乳と卵』を読んで

中学生のころ、性について触れる小説は、気持ち悪く、怖くなってしまって読めなかったことを思い出します。 芥川賞を受賞した本作も、実はタイトルだけで毛嫌いしていました。きっと生々しいに違いない、と。 母となったいま満を辞して読んでみても、やはり、読むだけでなんだかお股が痛いような、お腹が痛いような。 それでも、男性女性問わず、ぜひみんなに読んでもらいたいと思える作品でした。 あらすじ娘の緑子を連れて大阪から上京してきた姉でホステスの巻子。巻子は豊胸手術を受けることに取り憑