モテようとしてミスった話

初note投稿です。

こんにちは。
奈良原と申します。20歳の男ピン芸人です。

いつもはアメブロで自分の活動予定を書いたり、旅行記や日記や告知などをしています。
https://ameblo.jp/toitoiyakuman/entry-12476872351.html

この度、noteは金になるという噂を聞いたので、便乗して初めました。アメブロから乗り換えたわけではありません、更新頻度的にはアメブロの方が圧倒的に高いと思います。
しかし私には、「爆笑文章」や「専門知識のためになる話」や「流行りのコンテンツの感想文」などといった、お金が発生するような文章が書ける気がしません。おそらく私がnoteで更新する文章は、普段アメブロに書きなぐってるような駄文日記と質は変わりませんが、神聖なnoteでは読者の心にぶっ刺さるようなおしゃれな文章を書くことをなるべく心がけていきます。


今回は「バイト先でモテようとしてミスった話」をします。
私は、今まで7つくらいバイトをやってきました。引っ越しを機にやめた初めてのバイトのレストランや、従業員の刺青率が異常に高く怖くなって辞めた居酒屋や、客と警察沙汰になり大揉めしたカラオケや、ウーバーイーツの配達員やら、この3年の間色々やってきました。



今回の話は、養成所の期間、1年間働いていたファミマでの話です。(出てくる名前は一応仮名)

当時、僕の働いていたコンビニは、働いている人の女性割合が異様に高かったです。年齢層はおばさんから女子高校生までいて、おばさんただ一人以外は、みんな美人でした。
でも店長はめちゃくちゃ優しい人で、優しすぎてあまり人を怒れないタイプでした。なぜか年下の僕にも「奈良原さん」とさん付けしてくださっていました。店長は、セクハラとは無縁で仕事中も男女関係なく接していたのでバイトの人たちはみんな、店長のことを信頼していました。

働いてた店舗がフランチャイズ形式でした。(店の看板を借りて経営するみたいな感じ)なので、偉い順を図にすると

コンビニの話

こんな感じなんですよ(私の感覚)
もちろん店長はフランチャイズ会社の社員でもある。

このような状況下で、本部と社長から板挟み食らって過労死寸前まで働いていた店長を横目に見ながら、気づけば半年働いていました。半年で、夜勤のお兄さんの小山さんからは絶大な信頼を置かれ、バイトの女子高校生から恋愛相談をされたり、昼勤の女の人から人生相談をされたりするようになっていました。

そんな平穏だったバイトが急に荒れだしました。そのきっかけは「一か月限定の社員研修」でした。フランチャイズ会社の社員が、店長を担えるようになるために、別店舗で店長としての業務を1か月限定で研修するってことです。
というわけでうちの店舗に飯島という社員が来ました。最初は「なんだこいつ、私にやたら当たり強いな」程度に不満を感じてたのですが、気づけば不人気パンの大量発注社員なのにさぼりまくったりと、悪行を繰り返しているうちに、だんだんアルバイト達の中で「飯島さんひどいな」みたいな雰囲気が漂い嫌われていました。挙句の果てには女の子たちにセクハラをしていました。

飯島は、人と話す距離が近かったり、ボディタッチが多かったり、女の子にLINE交換を強要して私的LINEを送っていたり、とノーマルセクハラを日頃からするモンスターでした。これらの悪行を見たり聞いたりするたびに、イケメンでもギリ許されるかどうかのセクハラ行為をフツメンがやるなよ、とブサイクは思っていました
しかし、店長もあまり怒れず、アルバイトたちは社員という目上の立場のため誰一人飯島を止めることが出来ていませんでした。


そんな中、私・飯島・女子高校生の久保さんと勤務の日がありました。この久保さんは、私の今まで出会った女子の中でトップ3に入るくらい可愛い人でした。でもあんまり勤務がいっしょにならないので、あまり仲良くはなく、このシフト表見た時「いや凄い微妙だな」と思いました。
その日は、とても暇で特に商品の補充とかやることもなく、事務所に飯島、レジに私と久保さんという、僕にとってベストな体制で仕事をしていたのですが、突如飯島がレジにやってきて、
「久保さんちょっと事務所来てくれる?」と言いました。
久保と飯島は事務所に入りました。

5分経っても出てこない。

久保さんが全く出てこない

怪しい。

事務所での力仕事なら絶対僕が選ばれるはずなのに。久保さんが呼ばれた、これはほぼ確で卑猥案件だ。

と思っていたら、苦笑いの久保さんが戻ってきました。

泣いてなくて安心しました。泣いてたら卑猥案件だったので。でも苦笑いと言う事はなにか卑猥案件に近いことをされたんだろうと思いました。

久保さんが戻ると、すぐに話したそうに

「あの奈良原さん…さっき」

と言いかけました。
しかし、防犯カメラにより、飯島がいる事務所から、レジの会話が聞こえてしまうため、飯島が僕らより早く退勤することを知っていた僕は

「待って、あとで話そう」

と、スパイ映画や彼女のお姉さんに寝取られる系AVでありそうな感じの、かっこいいセリフを言いました。
しばらくして飯島が退勤すると、すぐに僕は

「どうしたの?何された!?!?」

「いや聞いてください、奈良原さん、さっき飯島さんに事務所に呼ばれて、『久保さん、今日で俺との勤務最後だけど、他の日空いてない?よかったら俺と同じ時間のシフト入らない?俺と一緒に働こうよ』って言ってきたんですよ」

「マジで!?」

「んで最終的にLINEを交換しようって言われて…『何かあったときにいつでも連絡できるから』って言われて…私断れなくて…」

「マジかよ!俺飯島とLINE交換してないのに!」

「(笑) いやすごい怖かったです…」


飯島は想定よりヤバ奴でした。あと3日くらいでこの店舗での研修が終わるのに「なんかあったとき連絡できるから」と、もう勤務が一緒にならない女子高校生にLINE交換を迫るって意味不明だし、そもそも交換を申し出る理由自体が下手すぎだろと。
私は、飯島の怖さに驚きながら、さりげなくジョークを入れつつ久保さんに対して「私は飯島と違ってまともな人です」感を出して好感度を上げていました。その時、「私が飯島を懲らしめれば私の好感度が爆上がりしてバイト女性陣からモテるんじゃね?」と思いました。そして怒れない店長からの評価も上がると。これはやるしかないと思いました。

性格の悪い僕は、戦略的に考えました。どのようにしたら飯島に一番精神的ダメージを与えられて、なおかつ僕の評価が上がり、モテるかを。

考えた結果、私にとって飯島との勤務最終日の仕事終わり直前に「女子バイトのみんなが飯島からのセクハラを嫌がっていること」を伝えるという作戦に決まりました。
《作戦の理由》
①勤務最終日→懲らしめたことによる報復を受ける可能性を減らす
②仕事終わり→おそらく事後は気まずくなるのですぐ帰れる状態で言う
③仕事終わり→万が一逆上されても次のバイトがいるからケアできる
④仕事終わり→私が懲らしめた証拠を次のバイト(小山さん)に遺せる
⑤直接言う→文面よりダメージがデカい
⑥バイトが言う→自分より地位の低い人間だからダメージがデカい
⑦ブサイクが言う→自分より地位の低い人間だからダメージがデカい
⑧「嫌がっていると聞いた」→飯島の知らない裏の結束をちらつかせる
⑨「女子バイトのみんな」→個人名出すと報復につながるからぼかすため
⑩「みんな」→個人名列挙するよりダメージがデカい

これは完璧な作戦だと思いました。セクハラの裏取りも行ったうえで、作戦決行日当日を迎えました。正直、目上の人に真面目に怒るっていうシチュエーション自体が初めてで、めちゃくちゃ緊張していました。しかもやばい人なので下手したら、ぼこぼこにされるかもという恐怖心もありました。そんな中、次のバイトが出勤してきたのを見計らって私は言いました


「あの、、、飯島さん、ちょっといいですか、、、」

「なに?」

「あの、、僕がこんなこと言うのおかしいですけど、、セクハラみたいなことあんまりやめた方がいいですよ(ビビッて語気が弱まる)」

「は?なに?どういうこと?セクハラ何てしてねぇし!?は?(逆上)」

「いや、女の子嫌がってるじゃないですか。」

「嫌がってないし?誰?誰がそんなこと言ってたの?ねぇ?名前出せよ!?」

「いやみんな嫌がってましたよ?」

「だから誰だって!?!?言ってんだろ!?言えよ!!」

「いや、プライベートなLINE送ったり…(名前を出さずに論点をずらす)」

「いや、LINEの感じ別に嫌がってなかったし?じゃあなに?聞くよ?本人に?聞いていい?マジで?!?」

「いやそう言う事じゃないですよ、本人が言ってましたよ」

「何お前?何様なの?!?!?!!」

「あと嫌がってるのにLINE交換強要するのは良くないですよ」

「は?!なんで!?社員がLINE交換するのは当たり前だろ!なにかあったらどうするんだよ!!?誰が責任取るんだよ!?誰に連絡するんだよ!?なあ?!おい!社員はバイトのことLINE交換するだろ普通?!何言ってんだよ!?!?!」

「じゃあだったら僕とLINE交換するのが筋じゃないですか?」
(ド直球火の玉ストレート)(これ言ったとき人生で一番論破した気になった)

「それはぁ?筋とかじゃないじゃん…!?は…?」

・・・・・少し静寂

「お疲れ様です~(奈良原退勤)」

そして小山さんが出勤。


漫画や小説っていうくらい超完璧に決まった。
マジで、スカッとジャパンに応募しようか迷ったくらい完璧なムーブだった。何一つ盛ってない。途中まで普通に怖かった。想定ではもっと簡単に怒るつもりだったけど、相手が思っていた数倍逆上してしまい怖かった。しかし、店長も問題視しているセクハラだったうえに、「可愛い女の子バイトとLINE交換したのに、男性バイトとはLINE交換していないのはおかしい」という最大の武器は持っていたのは自覚していたので、口論で負けるつもりはなかった。勝てるのを確信していた。何度も言うが何一つ盛っていない。今でもよく自分言ったなと思うほど思い返すと相手のやばさが怖くなる。しかしこの懲らしめる動機が「女子バイト陣にモテたい」というクソ理由からきている。

傍から見たら「くそ男二人が女について揉めてる」というダサい画になっているのは忘れてほしい。


後日店長にこのことを話した。
すると「だからあんなに飯島不機嫌だったんすね!」と言われた。どうやらあの日僕が退勤した後に飯島に会ったらしい。
後日小山さんにも話した。すると「だからあんなに不機嫌だったんだ」と店長と同じことを言っていた。

想定していた通り、懲らしめた証拠は残した。小山さんと店長には、上記の飯島との闘いを全部伝えた。二人とも綺麗な論破を褒めてくださった。とても気持ちが良かった。

店長と小山さんの‟おかげ”で、女子バイト陣に私の‟雄姿”が伝わった。久保さんにも伝わった。嬉しい。僕は年下より年上の方が好きだけど、久保さんと恋に発展するかと少し期待していた。

それからしばらくたって、勤務して1年後になった。
バイト開始時に、時給1200円で契約したのに、時給1100円で一年間働かされていた驚愕の事実を知り、失望して、そこのコンビニバイトをやめることになった。バイト内の地位もじわじわ上がっていたのだが。

辞める間際に、別店舗でも懲りなくいろいろやらかした飯島が、フランチャイズ社員を辞めたという話を聞いた。私が与えたダメージが効いてるのか効いていないのかよくわからんけど。
女子バイト陣には、奈良原の好感度が爆上がりしたのだが、あくまで「いい人」どまりで何事もなく最後まで行った。

モテこそはしなかったが、いい人という印象で終われたので、個人的にはギリハッピーエンドで終わった。


辞めた後は一度も店に入っていない。よく店前は通るが。
見ると、どうやら店長が変わったみたいだ。この前、久保さんが働いているのを見かけた、相変わらず美人だった。今、彼女こそいないものの、自分が飯島のようになることを恐れて店に入って話しかけるのはやめた。このまま「いい人」のままがちょうどいい気がした。



こんな奴に投げ銭するくらいなら、高めの飯食った方がいい。