労働災害が発生したら?(1)
こんにちは。社会保険労務士の町田です。
今回は「労働災害」が発生した場合の手続について説明します。ここでは「通勤災害」についての詳細は割愛します。
おおまかな流れは以下の通りです。
1.「労働者死傷病報告」の提出
2.「療養補償給付」関連の申請
3.「休業補償給付」関連の申請
1.「労働者死傷病報告」の提出
労災が発生した場合、休業日数を確認します。
休業日数が4日以上の場合、「労働者死傷病報告(休業4日以上)」に記入し、遅滞なく提出する必要があります。(※電子申請も可能です)
また、4日未満の場合は、期間ごとに発生した労働災害を取りまとめて報告しなければなりません。
1~3月分 4月末日までに報告
4~6月分 7月末日までに報告
7~9月分 10月末日までに報告
10~12月分 翌年1月末日までに報告
この「休業日数」を数える場合は、
・休業事由が発生した災害の翌日から数える
・休業を要する期間内に休日等が含まれる場合は、これを含めた暦日数が休業日数となります。
なお「通勤災害」の場合は、「労働者死傷病報告」の提出は不要です。
2.「療養補償給付」関連の申請
労災保険給付関係請求書等 ダウンロード用(OCR)様式|厚生労働省
労災が発生した場合、かかった医療機関・薬局等を確認します。
その際のポイントは、「最初から労災として処理しているか」か、「いったん健康保険でかかってしまい、3割負担等で済ませてしまっているか」です。
前者の場合は「療養補償給付たる療養の給付」、後者の場合は「療養補償給付たる療養の費用の支給」となり、記載する書類が異なります。
前者の場合は、この書類に労働者の情報、災害の原因及び発生状況等を記載して、医療機関や薬局経由で労基署に提出します。この際、「指定病院等の名称・所在地」や「傷病の部位及び状態」について、使用者側で記入するか、医療機関等で記入してもらうか、医療機関等に連絡して確認しておくと良いです。
なお「通勤災害」の場合は、「療養補償給付」でなく「療養給付」という名称の用紙になります。
3.「休業補償給付」関連の申請
労災保険は、3日の待期があり、4日目から「休業」に関する保険給付が開始されます。
所定労働時間中に労災が発生し、所定労働時間の一部について労働することができない場合、その日が休業1日目となります。逆に、残業中に発生した場合は翌日が休業1日目となります。
また、3日の労務不能があれば待期が完成しますが、この3日については
・欠勤・所定休日・年次有給休暇も含む
・連続でなく、通算で良い
とされています。
したがって、例えば土・日が休日の会社で、10/28(金)に労災が発生した場合、
・10/28(金)の所定労働時間内に労災が発生
⇒ 10/28(金)、29(土)、30(日)の3日間で待期が完成
⇒ 10/31(月)から休業補償給付が受けられる
・10/28(金)所定労働時間外(残業時間中)に労災が発生
⇒ 10/29(土)、30(日)、31(月)の3日間で待期が完成
⇒ 11/1(火)から休業補償給付が受けられる
ということになります。
また、待期期間中(労災からの受給は受けられない)については、使用者が労働基準法上の休業補償(平均賃金の60%以上)を行う必要があります。この金額は、通常の給与額より低額になることが多いですので、労働者本人の確認をとった上で、「年次有給休暇」として処理するケースが多いと思います。
なお「通勤災害」の場合は、待期期間中の休業補償は不要です。
今回は以上です。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
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