見出し画像

高年齢者雇用確保措置の「経過措置」が終了します

こんにちは。社会保険労務士の町田です。
60歳以上の方の「継続雇用」について、現在、条件を満たせば継続雇用制度の対象者を限定することが経過措置として認められているのですが、その経過措置が2025年3月31日で終了します。今日はそのご紹介をしたいと思います。

1.高年齢者雇用確保措置とは?

現在、「高年齢者雇用安定法」では
1. 従業員の定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上とする
2. 定年年齢を65歳未満に定めている場合は、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するための「高年齢者雇用確保措置」を実施する
ことが求められています。

この内、「高年齢者雇用確保措置」としては
(1) 65歳までの定年の引上げ
(2) 65歳までの継続雇用制度の導入
(3) 定年の廃止
のいずれかを実施する必要があります。

ちなみに、令和6年(2024年)の「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果が公表されていますが、「継続雇用制度の導入」により実施している企業が67.4%(-1.8ポイント)、「定年の引上げ」により実施している企業が28.7%(+1.8ポイント)となっています。
また、企業規模(従業員数)が大きくなるほど「継続雇用制度の導入」により措置する比率が高くなる傾向があります。小企業では「人手不足」や「明確な賃金規程が策定されていない」ことからか、「定年の引上げ」で対応する企業が大企業に比べて多い、という傾向です。
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します|厚生労働省

2.「経過措置」の内容

上記「(2) 65歳までの継続雇用制度の導入」について、「希望者全員を対象とする継続雇用制度」が原則なのですが、経過措置が認められています。
※上記調査によると、継続雇用制度を適用する企業の内、15.4%が「経過措置」を適用しているようです。意外に多い印象です。

経過措置の要件は以下の通りです。
平成25年(2013年)3月31日までに継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定で設けている
☑上記基準を適用する対象が男性の年金(報酬比例部分)の支給開始年齢の引上げスケジュールに合わせられている
具体的には、
 □平成28年3月31日まで…61歳以上の人
 □平成31年3月31日まで…62歳以上の人
 □平成34年3月31日まで…63歳以上の人
 □平成37年3月31日まで…64歳以上の人
に対して、対象者を限定する基準を適用することができます。

この「平成37年3月31日」というのが令和7年(2025年)3月31日であり、これ以降については対象者を限定する基準が適用できなくなる、ということです。
就業規則に上記日付・年齢の記載がある場合はこの「経過措置」が規定されており、就業規則の修正をした方が良いことになります。

3.2025年4月以降の対応について

2025年4月以降については、「高年齢雇用確保措置」の内
(1) 65歳までの定年の引上げ
(2) 希望者全員を対象とする、65歳までの継続雇用制度の導入
(3) 定年の廃止

のいずれかの措置をとる必要がある、ということです。

4.65歳超継続雇用促進コース(65歳超雇用推進助成金)

法律では上記「高年齢雇用確保措置」が義務付けられていますが、法律を超える取り組みをした場合には「65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)」が受給できる可能性があります。
65歳超雇用推進助成金 |厚生労働省

この助成金は各都道府県の労働局ではなく、独立行政法人である「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の各都道府県支部に申請する必要があります。
都道府県支部|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

就業規則の改定等に経費を支出する必要があるのですが、このタイミングでの就業規則全体の見直しも含めて、ご利用を検討されてはいかがでしょうか。

本日は以上です。
最後までお読み下さいまして、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!