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まほのうどん食べ歩き①「土三寒六」埼玉県寄居町

こんばんは。

初めてのブログにも書きましたが、わたしはうどんが大好きです。

基本的にどんなうどんも好きですが、中でも讃岐うどんタイプが大好きで、コシの強いうどんに醤油をかけるシンプルなうどんが大好きです。

10年程前、埼玉県寄居町の奥地に「イーハトーボ」という、知る人ぞ知るうどん屋さんがありました。

噛んでいるうちに旨味が出てくるコシの強い麺、かけうどんのだしの味の薄さは、わたしの好みのど真ん中でしたが、噛んでいるうちに顎が疲れてくるほどのコシが強いので、好みに合わない人も多かったみたいです。何よりお店の雰囲気が独特でした。「薄味のうどんにつき、醤油をかけるの禁止!」などと禁止事項が書かれていたりして、店主の雰囲気もあいまって初めての人は少し怖い印象を受けたかもしれません。

 わたしは本当にそこのうどんが大好きでした。家から車で一時間ほどかかるので毎週いくわけにもいきませんでしたが、一月に一回くらいのペースで行っていました。そのうどんを食べるのが月に一回の楽しみでした。

しかし、2012年の12月、そこが閉店することになってしまいました。
閉店前の一週間はうどんが半額ということで、何日か連続で行きました。最終日は、もうこのうどんが食べられなくなってしまうんだなぁと思いながら、味を噛み締めて、うどんを3杯も食べました(少食のわたしには通常考えられないことです)。

そこがなくなってから、代わりになるうどん屋を探しました。おかげで、美味しいうどん屋さんをいつくも見つけることができましたが、しかしどこを探してもそこと同じような店は見つかりませんでした。コシの強さが全然足りないのです。柔らかいうどんも好きだし、家の近くに美味しい讃岐うどんをお店を見つけて、そこに通うようになりましたが、やはりイーハトーボには敵わない。「あぁ、たまにはあそこのうどんが食べたいな」と、今でも時々思い出していました。

しかし先々週、近場に行ったことのないうどん屋さんがないかをネットで調べていたら、「イーハトーボの店主が再びお店を開店」という記事を見つけ、ギョッとしました。

なんと、2018年の年末に、「土三寒六」という名前で、再び讃岐うどん屋を開店していたのでした。

記事を見たわたしはすぐに車で店へ向かったのですが、閉店時間30分前にしてなんと「麺がなくなったので本日閉店」の文字が…
そうだった、イーハトーボ時代から、あの店主はまったく商売っ気がなかったんだ…しかし残念、また出直そう、と大人しく帰りました。

そして今日、ようやくそこのうどんを食べることができました。

店に入ると、8年ぶりに見かける店主さんの姿が。無愛想な感じは相変わらずでしたが、そこも懐かしい気持ちがしました。

わたしは、かけうどんのひやひや(麺もつゆも冷たい)の小(400円)と、しょうゆうどんのひやの小(350円)、ちくわ天(70円)を一つずつ注文。
この「小を2種類注文する」というやり方もイーハトーボで覚えた。

「ちょうど釜の入れ替えでして、ちょっとお時間かかってしまうのですが、よろしいですか」と店主。

7年も待ったのだ。1時間でも2時間でも喜んで待てた。

15分ほど待ったところで、まずはかけうどんとちくわ天が到着。

見てください。
この透明で、シンプルで、美しいうどん。薬味は生姜とネギだけ。

これでいい。これが良い。

一口食べた瞬間、わたしがこの7年間、記憶の中でだけ描いていた味のイメージを、正しく描き直してくれた。

これだ…。このうどんだ。わたしが大好きだったこの味。麺を噛み締めれば噛み締めるほど、いりこの旨味と、当時の思い出が溢れてきて、ついわたしは涙が出そうになった。

「また食べたい」というわたしの願いが叶ったのだ。


濃い味に慣れている人からすると、物足りなく感じるかもしれない。しかし、素材の味をちゃんと味わって楽しめる人からすると、こんなに美味しいものはない。

時間差で、しょうゆうどんができあがった。こうやって一つ目が食べ終わるくらいのタイミングで提供してくれるところも親切だ。
そして、「一つ目がかけうどん、二つ目がしょうゆううどん」という順番も、ちゃんと考えられている。かけうどんはしょうゆうどんよりも薄味だから、逆ではかけうどんの味を感じづらくなってしまうのだ。

(わたしとしたことが、しょうゆをかける前の写真を撮り忘れた)
麺にしょうゆとレモンをかけるだけの、こちらもシンプルなうどん。

味わって食べていると、注文取ってくれた方と、もう一人の店主が「いかがですか。しょうゆうどんも美味しいでしょう。しなやかに仕上げてあります。」と話しかけてくれたので、
「とても美味しいです。わたし、イーハトーボさんのうどんが大好きだったんです。また食べることができて、とても嬉しいです」と伝えたら、「ありがとうございます…実は、8年前に体を壊して、前のお店を続けられなくなってしまって。この8年間とても苦しかったですが、こうやってまた食べに来てくれる方がいるということが本当に嬉しいです、悩みながらもまたお店を開くことができて良かったです。」と言ってくださった。
感謝してるのはこちらの方だ。またこのうどんを食べさせてもらえて、本当に嬉しかったし、また楽しみが増えた。

最後に、店内の写真を撮ってもいいかと聞いたところ、なんと特別に厨房の中の写真まで撮らせてくれた。一見強面に見えるのだけど、とても優しい方々です。

あんまりたくさん来られても困るから、と笑いながら話す店主。しかしわたしはうどんが好きな人にもっと知ってもらいたい。是非足を運んでください。

わたしの中では、この世で一番うまいうどんです。

店内の様子。4人がけのテーブル席が1つと、カウンターに5つ椅子がある。



メニューはこれだけで、どれもとてもシンプル。次回は釜玉うどんをいただこう。(初めての方は是非わたしと同じく、かけうどんとしょうゆうどんをオススメします。冷たい方がコシがあるのでわたしは好きですが、コシが強いのが苦手な人は、麺を温かくしてもらうと比較的柔らかくなります)

お読みいただいてありがとうございました。

純手打ち讃岐うどんセルフ式
土三寒六(どさんかんろく)

〒369-1216
埼玉県大里郡寄居町大字富田1730-1
電話番号 090-9649-0732
営業時間11:00〜15:00(売り切れ次第閉店)
定休日 毎週火曜日、毎週水曜日
東武東上線徒歩3分
駐車場あり(4台まで)

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