「あたしは柴犬のアキ」4
お姉ちゃんとお兄ちゃんのどっちが散歩に行くかでジャンケンしている。負けた方が散歩に行くことになっている。勝ったほうが行くことにしたらいいのに失礼ね。お兄ちゃんが負けた。ちょっと残念。散歩に行く人でうれしい順番の一番はパパ。遠くまで連れってくれるし、草や電柱をクンクンさせてくれる。二番はお姉ちゃん。近くまでだけどゆっくりクンクンさせてくれる。お兄ちゃんは三番。近くまででクンクンさせてくれない。今日は仕方がないか。
お兄ちゃんは赤いリードをあたしにつけるとピカピカ光るランプのスイッチを入れた。それから「うんこバック」とみんなが呼んでいる鞄を肩からかけた。それから「アキ、お散歩」と言って玄関のドアを開けた。あたしは嬉しくて飛び跳ねた。散歩は楽しい。あたしが先に歩いてお兄ちゃんをグイグイ引っ張る。すぐ近くの電柱でクンクンするとお兄ちゃんは「アキいくよっ」ってリードを乱暴に引っ張る。前足で踏ん張ってもお兄ちゃんの力には勝てない。もう乱暴なんだから。一つ目の小さな公園でおしっこをした。それから二つ目の大きな公園でうんちをした。お兄ちゃんはうんこを取るのに悪戦苦闘している。あたしはその間おとなしくお座りして待ってあげた。あたしが動いたら取りにくいでしょ。おしっこもうんこも終わったのですっきりした。帰りはお兄ちゃんの横に並んで歩いた。帰り道はあたしもお兄ちゃんも落ち着いてとっても仲良し。時々抱っこして「かわいいかわいい」と撫でながら歩いてくれる。お姉ちゃんが一緒にいる時は「抱っこしてたら散歩にならないでしょ」と言われている。