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「あたしは柴犬のアキ」28

 月曜日になった。やっと自由にお出かけできる。モモちゃんを誘いに行こう。モモちゃんの庭の前で吠えるとモモちゃんがきた。
「アキちゃん、私のお庭に来ない?今日、家族はみんないないの。招待するわ」

 あたしはモモちゃんのお庭に入った。綺麗な芝生にいろんなおもちゃがあった。庭で走り回って水が飲みたくなった。モモちゃんは自分の水飲み器を使っていいよと言ってくれた。使い方がわからなかったから、モモちゃんがベロでペロペロしてやり方を教えてくれた。あたしはお椀とかボールの方が良いな。ガブガブ飲めるから。

 お腹が空いてきた。そうだ隣のおばあちゃんがおやつを置いてくれているはず。モモちゃんと一緒にうちの庭に戻った。小さなアンパンが一つ置いてあった。今日はモモちゃんもいるの。二つ欲しいの。あたしとモモちゃんはおばあちゃんに頼んでみることにした。

 「ワンワンワン、ワンワンワワーン」隣の家に向かって吠え続けた。暫くしておばあちゃんが庭に出てきてくれた。
「アキちゃんどうしたの?大きな声で吠えて。今日はモモちゃんも一緒なのね。わかったわかったアンパンもう一つね」
やっぱりおばあちゃんはあたしの話がわかるんだ。アンパンをもう一つポイっと庭に投げてくれた。あたし達は力いっぱい尻尾をふった。
「アキちゃんもモモちゃんもおりこうさんね。ありがとありがとしてくれているのね。いい子ねいい子ね」

 おばあちゃん大好き。最近おじいちゃん見ないけどどうしたのかな。あたし達はアンパンを咥えてモモちゃんのお庭に戻った。お腹いっぱいになって眠たくなってきたのでモモちゃんの犬小屋に入った。モモちゃんの犬小屋は大きくてお洒落。キャンプ場の丸太の家みたい。広いテラスもついている。あたしはテラスでゴロンと寝ころんだ。モモちゃんはあたしのお腹を枕にして気持ち良さそうにしている。二人はそのままお昼寝をした。

 暫くしてモモちゃんに顔をペロペロされて起こされた。
「アキちゃんクロとはどうなってるの?」
あたしはクロとドッグランで会った話をモモちゃんに話した。
「よかったねよかったね。クロはとっても良い奴と思うよ。仲良くしなさいね。今もクロの事を考えるとドキドキする?」
「今はドキドキじゃないわ。くうぅぅんって言っちゃう」
モモちゃんは笑った。
「私もそんな相手がいたのよ。明日はモモちゃんのお庭に行っていい?わたしの話きいてくれる?」
オッケーと返事をして、あたしは家に帰った。明日どんな話をしてくれるんだろう。楽しみ。

 お兄ちゃんが帰ってきた。いつもは夕食後の散歩なのにリードをいきなり首輪につけて家を飛び出した。どこに行くのおにいちゃん?
「アキーーー クロに会いにいくーーー」お兄ちゃんは走りながら叫んだ。ほんとに元気いっぱいなんだから。お兄ちゃん大好き。
 
クロの家に着いた。クロは庭でゴロンとしていた。お兄ちゃんがフェンスを叩いた。
「クロ、おぼえてる?僕だよ僕。ドッグランで会ったでしょ?」
クロはお兄ちゃんに走り寄り、フェンスに手をかけているお兄ちゃんの指をペロペロした。
「クロ可愛いね~~~」お兄ちゃんも指先でクロの鼻の上を掻いた。クロも喜んでいた。
あたしはフェンスにつかまり立ちをした。クロは肉球をペロペロしてくれた。
「クロはアキが好きなんだね。アキもクロが好き?」
「ワンワンワワワーン」
「アキも好きなんだね。結婚すれば?」
結婚って何?明日モモちゃんに聞いてみよう。
辺りは真っ暗になったので、お兄ちゃんはリードのピカピカをつけて家に帰った。

 家に帰るとお姉ちゃんが、「ズルい、あたしが行こうと思っていたにぃ」と怒っていた。
あたしの家の人もクロが大好きだ。結婚ね。結婚。

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