バリ島でハーバード発、スタンフォード協力の学校?!エンパシースクールの学校ツアーリポート
先日、バリ島にあるエンパシースクールの学校ツアーに参加しました。名前は以前から耳にしていましたが、実際に訪れるのは初めてでした。エンパシースクールは、バリのネイチャースクールの中でも特に注目されている学校で、グリーンスクールと並んで教育に対する新しいアプローチを提供しています。ここでは、学問的な成長だけでなく、問題解決能力や感情のコントロール、自分の情熱を追求する力といった重要なスキルもバランスよく育まれています。
私が最も印象に残ったのは、校長のエリックさんの熱い思いでした。学校名にもある「エンパシー(共感)」を大切にし、他者の立場に立ってその感情や考えを理解する力を育てています。また、ハーバード大学やスタンフォード大学の実証済みの学習メソッドを取り入れつつ、愛と誠実さをもった未来のリーダーを育成するというビジョンに強く心を打たれました。
バリ島の豊かな自然環境に囲まれたエンパシースクールは、他の学校とは一線を画す教育を提供しています。ここで実践されるのは、ハーバード大学発のプログラム「Empathy School International」に基づいたホリスティック教育カリキュラムです。このカリキュラムは、学問だけでなく、感情的知性(EQ)を育むことを重視しており、子どもたちの総合的な成長をサポートしています。
本記事では、エンパシースクールがどのようにして感情教育を取り入れ、最新の教育研究に基づくエビデンスベースのカリキュラムを実践しているのか、そしてその教育がどのように子どもたちの学びを深めるかについて詳しくご紹介します。
1. エンパシースクールの教育理念
エンパシースクールの根底にある理念は、子どもたちが感情的に健康であり、社会性を発展させることが最も重要だという考え方です。この学校は、感情教育(EQ)と学業成績を両立させることを目指し、子どもたちに対してバランスの取れた学習環境を提供しています。
感情的知性とは、自分の感情を理解し、他者の感情に共感する能力を指します。この能力は、子どもたちが社会で成功するために不可欠なスキルとされています。エンパシースクールでは、これを育むためのカリキュラムや環境が整えられており、子どもたちが感情的に成長できる場所となっています。
2. ハーバード大学発「Empathy School International」
エンパシースクールで実践されている「Empathy School International」プログラムは、ハーバード大学の教育学部が発表した最新の研究成果に基づいています。このプログラムは、学問的なスキルだけでなく、感情教育(EQ)の重要性を重視し、子どもたちが総合的に成長できるカリキュラムです。
このプログラムでは、社会性・感情教育(SEL)に基づいた授業が行われます。SELとは、自己認識、自己管理、社会的認識、関係性のスキル、意思決定のスキルを養うための教育です。研究によると、SELが優れている学校では、学業成績が向上するだけでなく、生徒の精神的健康や社会性も大きく改善されることが分かっています。
3. エビデンスに基づいた設計(EBD)
「エビデンスに基づいた設計(EBD)」とは、研究や実証的データに基づいて環境やプログラムを構築する方法です。エンパシースクールでは、ハーバード大学の教育学部と協力し、最新の研究成果をもとに学校施設やカリキュラムを設計しています。EBDは、教育環境が学びに与える影響を最大化するために、物理的な空間や教材、学習方法を科学的に最適化することを目指しています。
具体的には、教室のレイアウト、学校の施設、教師のトレーニング方法など、全ての要素が子どもたちの学びを最大化するようにデザインされています。たとえば、広いスペースや自然環境を活かすための設計がされており、子どもたちが落ち着いて集中できる環境が整っています。
4. プロジェクトベースの学習
エンパシースクールの特徴的なアプローチの一つに、プロジェクトベースの学習があります。これは、実社会に影響を与えるような実践的なプロジェクトを通じて学びを深める方法です。たとえば、持続可能な建物を設計するプロジェクトや、地域社会のリサイクル活動、貧困対策など、子どもたちは実際に社会の問題を解決するための行動を学びます。
プロジェクトベースの学習には、多くの利点があります。研究によると、実践的な学習を通じて、学問的スキルの習得が加速し、問題解決能力やチームワーク、批判的思考能力が向上することが分かっています。また、これらのプロジェクトは子どもたちに社会的責任感を育む機会を提供し、社会性の発展にもつながります。
5. 感情的知性(EQ)が育む未来のリーダー
エンパシースクールでは、感情的知性(EQ)を育むことに重点を置いています。EQとは、感情を理解し、適切に管理する能力、そして他者の感情に共感する能力です。これらのスキルは、現代社会で成功するために非常に重要とされています。エンパシースクールでは、共感を中心に据えた体験型教育を通じて、子どもたちに以下のスキルを身につけさせます:
問題解決能力: 他者と意見が合わないとき、自分で問題を解決する方法を学びます。
感情のコントロール: 怒りや悲しみをコントロールし、冷静に対処する力を育てます。
情熱の発見: 自分の興味や情熱を見つけ、それを追求する力を養います。
これらのスキルは、将来的にリーダーとして活躍するために欠かせないものです。エンパシースクールは、子どもたちが自己理解を深め、他者と協力して目標を達成できるような環境を提供しています。
6. 教師の質が教育の質を決める
エンパシースクールでは、教師の質に非常に力を入れています。教師は単に授業を行うだけでなく、子どもたちの成長を促すために必要なサポートを提供する役割を担っています。そのため、エンパシースクールでは、年間300時間以上の教師トレーニングを行い、教育の質を向上させています。
また、生徒と先生の比率も高く、幼稚園では3人の生徒につき1人の先生、小学生になると5人に一人の先生と、大きな学校にはない親密さで子供とじっくり向き合っています。
創設者であるエリック氏は、ハーバード大学教育学部出身で、15年以上にわたって教育現場で指導を行ってきました。彼は、教師が生徒に最高の教育を提供できるよう、常に学び続ける重要性を強調しています。彼の信念は、エンパシースクールの教育方針の中心にあり、教師が成長することで、生徒たちもより良い学びを得られると確信しています。
7. ESL(英語学習)プログラム
エンパシースクールでは、ESL(英語を母語としない生徒向けの英語学習)プログラムも提供しています。バリ島には多くの非英語圏の生徒が通っているため、このプログラムは特に重要です。生徒たちは、通常のクラスで学びながら、ESLクラスで英語を習得していきます。教師は、英語を学ぶ過程で生徒が楽しみながら学べるよう工夫を凝らしています。
エリック氏によれば、英語を学ぶ最も効果的な方法は、友達と楽しんでコミュニケーションを取ることです。このプログラムは、英語を学ぶことに対する自信を高め、子どもたちが社会で活躍するための力を養います。
8. 包括的な学習環境
エンパシースクールでは、「完全包摂」の考え方に基づき、すべての子どもたちが学びやすい環境を提供しています。これは、個々のニーズや障害の有無に関わらず、すべての子どもが平等に学べることを意味します。多様性を尊重し、異なる背景を持つ子どもたちが互いに学び合い、成長する環境が整っています。
このような環境では、子どもたちが自分の考えを自由に表現し、他者との違いを理解し合うことができます。この学びの場が、社会に出て行ったときに必要な対人スキルや社会性を育む基盤となります。
9. 自然の中で学ぶメリット
エンパシースクールでは、自然の中で学ぶことが重要だと考えています。自然環境には、子どもたちが柔軟性や適応力を養うための多くの学びの機会があります。たとえば、学校の敷地内には広い庭があり、野外授業や自然観察が行われています。これにより、子どもたちは教室の枠を超えて、実際の世界で学ぶことができます。
また、自然環境で学ぶことで、ストレスを軽減し、集中力が向上するといった効果もあります。自然の中で過ごす時間が、子どもたちの心と体に良い影響を与え、学びへのモチベーションを高めます。
10. まとめ
エンパシースクールは、感情教育(EQ)と学問的成長を同時に育むことができる、理想的な学びの場です。子どもたちは、バリ島の自然豊かな環境で、感情的知性や社会性を高めるとともに、プロジェクトベースの学習を通じて実践的なスキルも身につけていきます。学問だけでなく、人間としての成長を重視するこの学校で、子どもたちは未来のリーダーとしての素養を培っていくことでしょう。
学校見学をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。実際に学校の雰囲気を体験していただくことで、エンパシースクールが提供する教育の魅力をより深く感じていただけます。