DaVinci Resolveをエンドロールの現場に投入してみて
今日めちゃくちゃ天気が良かった。
気温も低くないし朝から夕方までずっと雲がなく気持ちよかった。
それを数時間置きにベランダから確認しながら一日中家から出ることはなかった。
どうも、辻 直哉@naoyatsuji_です。
僕は仕事で映像制作をしています。
映像の中でもメインで注力しているのが結婚式の最後に流れるエンドロールという映像を撮影・編集しています。
普段はEdius ProであったりPremiere Proのような編集ソフトを使用してエンドロール編集をしているのですが、
前回書いたように、Macを新調したのにあわせて、ちょっといろいろやっていきたいというところで、DaVinci Resolveでの編集を始めてみました。
今回、初めてエンドロールの現場でDaVinci Resolveという編集ソフトを使用してみました。
DaVinci ResolveはBlackmagic Designという会社が作った編集ソフトで、カラーコレクションやカラーグレーディングといったカラー編集に秀でていて、ハリウッドのような映画制作でも使用されるものです。
無償版DaVinci Resolveと有償版DaVinci Resolve Studioというものがあるんですが、無償版でも95%ぐらいのことはできちゃう。
初心者や動画を初めてみたいっていう人にも超優しい。
そんなDaVinci Resolveをエンドロールの現場に投入してみた雑感を書いていきます。
なぜ、DaVinciなのか?
今まで通りPremiere Proでもエンドロールは十二分に編集できました。
それでもなぜDaVinciに移行したかというと、
やはりカラー編集に力を入れていきたかったからです。
結婚式のエンドロールは基本的にさっきまでその場で起きていたことが最後に流れる商品です。
そのため、その存在意義は見ているお客さんの「さっきやってた披露宴がもう映像になってる!」という驚きにありました。一昔前までは。
今は若干変わってきているのかなと個人的に思います。
どういうことかというと、ここ数年でミラーレス機での動画撮影が主流になってきて、AFの精度も大きく向上し、以前とは違いRecボタンを”押せば撮れる”時代になりました。
それに伴い、映像のボトムの敷居がぐっと下がり、誰でも簡単に映像表現ができるようになりました。
ただ映像が流れているだけでは満足いかなくなってきたのです。
そのため、よりレベルの高い、映画のような世界観であったり、オリジナリティを必要とされるようになった(と思っています。)
僕はその流れが起きた後に業界に参入したので初めから当たり前のようにエンドロールの商品名が〇〇シネマといったようなものですし、SNSで探してみてもどれもレベルの高い、世界観が表現されたエンドロールが散見できます。
3年ほどエンドロールの制作に携わってきましたが、やはり自分のレベルは上げ続けないといけないと日々感じています。
レベルの底上げのために自分はカラー編集に力をいれるべきだと判断したので、DaVinci Resolveを選択した次第です。
エンドロールにおけるカラー編集
カラーを編集したいとは言ったもののエンドロール編集は時間との闘いです。
編集は長くても2時間程度で、1曲分を埋めなければなりません。
DaVinci Resolveのワークスペースにはカラーページという専門的にカラーを編集するページがあり、それを1クリップずつ編集していく、というのが大まかな流れになります。
正直そんなことをしている時間はありません。
普通のポスプロ編集だと、いくらでもカラーグレーディングの時間を割けますが(もちろん限度はありますが、、、)エンドロールは1クリップに1分もかけられません。かけて10秒ぐらい。
そのため、DaVinci Resolveのカラーページで、まずLogで撮った素材をコントラストと彩度を戻して、トーンカーブで整えて、カラーホイールで色調整して色相をいじって、クオリファイアーで色を抽出して細かく調整して、グレインなんか入れたりして、ビネットもちょっと入れて、最後にまた全体を調整して、、、みたいにフル活用してカラーを完成させていくのは不可能です。
調整レイヤーにほぼ完成状態のLutを入れて、どうしても合わないクリップだけ別途カラコレを行う。それ以外はLut当てただけ。
これは僕が従来Premiere Proでやっていたカラー編集と同じ流れになります。おそらくこれをDaVinciでも続けてやっていきます。
じゃあ、Premiereでええやないか。となるんですが(僕もそう思う)、そもそもDaVinciを使うことでカラーのことをより深く理解することができます。
DaVinciを使おうと思い始めた時からエンドロールで使用することは考えていましたが、Premiereと同じカラー編集の流れになることもわかっていました。DaVinciにしたからと言って劇的にカット編集が速くなるわけはないので。後述しますが、むしろPremiereの方が編集スピード自体は速いです。
ただ一通りDaVinciを触り込んでみて分かったのは、本当にカラーに関してはものすごく細かく、とことん突き詰めてできる、ということ。
PremiereのLumetriカラーでは全く到達できない域まで追い込むことができるのがものの数時間チュートリアルを見て、実際に編集画面を触ってみてわかりました。
できることが多いということは、短時間でも効率的によりハイレベルなことを実現可能ということです。自分が使いこなせさえすればね。
実際に投入して見つけたDaVinciの優位性
実際に1本エンドロールを作ってみて、正直に思ったのは、カット編集はPremiereの方がやりやすいです。笑
ここは断然Premiereでした。スピード感が全く違います。
細かいことを1つずつ言っていたら多分日が明けるので割愛させていただきますが、とりあえず編集スピードはPremiereの方が出せると思います。
まあ慣れもあるかと思うのでしばらく使ってみたらこの辺はまた変わってきたりするのかなと思ったりもしているので、正直あんまり気にはしていません。
1番優位性を感じたのは質感の作りやすさ。
最近僕が正直カラーよりも大事にしている質感の部分です。
質感って何?って言われると結構説明しにくいんですけど、1番それっぽい言葉でいうと世界観とかですかね。。
例えば、ここ数年流行っているシネマティックってあるじゃないですか。
あれは質感のことを指すんじゃないかなと思います。
個人的にはフィルムルックな感じとかを作りたいことが多いので、主にトーンカーブであったり、フィルムグレインであったり、明瞭度であったり、ビネット(周辺減光)あたりを中心にいじっていきます。
このあたりの編集をDaVinciではカラーページで編集できるんですが、この質感の部分もできることがかなり多いです。
フィルムグレインを例にあげると、グレインの強さや大きさをコントロールできるだけじゃなく、ハイライト・ミッド・シャドウに分けてそれぞれにグレインの量を適応することができます。
質感はカラーよりもクリップが変わっても転びにくいいので、調整レイヤーに自分が好きな具合に質感の調整を行うとかなり精度よく質感が作れます。
つまり、エンドロールの編集でもある程度質感は追い込めると思います。
ただ、別問題で、エンドロールは上映がプロジェクター、納品が基本的にDVDなので劣化必須で、編集で質感を追い込んでもそれを忠実に最終アウトプットで表現できないのがかなり痛いです。
この辺りはこれから最終アウトプットを見ながら、日々調整して最適な形にしていくのが1番いいかなと思ってます。
DaVinci Resolveで編集をしているとあれやこれやと試してみたくなることが増えてくるので大変です。
今はH264で収録していますが、いずれは圧縮率の低いProResやRAWなんかのコーデックも試していきたいです。
Sigma fp LがあるのでCinema DNGなんかもいいですね。
カラーグレーディングするならその辺りの素材はやはり楽しそう。
DaVinciで編集するならやはりBlackmagic RAW。
カメラによっては外部レコーダーのVideo Assistを使用すればBRAWが撮れるものもあるようで、うちのSigma fp Lも撮れるのですが(fp優秀すぎんか)仕事でメインで使用しているEOS R5・6はできません。
つまりはそういうことです。今後の仕事次第ではBMPCCあたりも視野に入れてもいいのかなと思います。また買うんか。
なんか楽しくなってきましたね。それでは。