【自己紹介】 現場監督から起業支援者へ転身したワケ
こんにちは。丸山 有弥(まるやま なおや)です。
私は、独立系アクセラレーター「01Booster」が推進する、建設領域の起業家を支援するベンチャースタジオ「01Booster Studio」の事業責任者をしております。(2023年2月現在)
01Boosterでは、ベンチャースタジオの企画・運営をはじめとして、ベンチャー投資、アクセラレーターの運営等、幅広く担当しています。
この度、「建設×起業支援」という私の経験が、少しでも誰かのお役に立てればという想いで、Note を立ち上げました。
本Noteでは、建設業界関係者、起業家、起業支援関係者向けに、
建設業界および関連業界に関すること
ベンチャースタジオ業界やスタートアップ業界に関すること
起業準備に関するノウハウ
を中心に情報発信します。
建設業界に入るキッカケ
私が建設業界に入るキッカケは、阪神淡路大震災を経験したことです。
地震発生当日の朝、父が運転する車で、公務員の祖父を職場へ送り届けた時の様子を、今でも鮮明に覚えています。巨大な高架橋は倒壊し、建物はそこら中で倒壊し、助けを呼ぶ人の横を毛布に包まりながら無言で通り過ぎる人…まさに地獄絵図です。小学生ながら、二度とこんなことがあってはいけないという強い思いを持った記憶があります。
他方で、ヘルメットと作業着を着用した多くの建設従事者の方々が復興に携わり、想像を超えるスピードで、街や生活が復旧して行った様子も脳裏に残っています。建設業界の方々は、社会に誇れる素晴らしい仕事をしていると憧れました。
この経験がキッカケになり、
トライやる・ウィークにて、地元建設会社で職場体験
高等専門学校にて、都市工学を5年間学ぶ
大学/大学院にて、建設工学を4年間学ぶ
某スーパーゼネコンに入社
と、建設業界への道を進みました。
現場監督から見た建設業界
某ゼネコン在籍時には、新規事業開発を含む様々な業務を経験しました。最も印象に残っているのは現場監督の仕事です。
「現場監督の仕事って何?」を一言で言うとプロジェクトマネジメント業務です。最初に言っておかなければならないのは、現場監督の仕事は「やりがいのある素晴らしい仕事」です。
昼→夜→昼の連続したシフトがあったり、高温、高湿度、騒音、粉塵がある厳しい環境下での仕事です。尋常ではない忍耐力と熱意が必要な仕事だと思います。その対価として、大きなものを皆で協力して造り上げることに対する達成感を得ます。これが建設業界での「ものづくり」です。
一方で、近年、建設業界の魅力が著しく低下していることも事実です。
長時間労働を含む厳しい労働環境
他産業と比べ「給与・休暇・希望」が相対的に低下
建設業就業者数の減少
「建設業界を魅力的な業界に変革することで、かつて自分が憧れた業界に貢献したい。だけど、自分にはそれに対するノウハウも影響力も無い。」このようなジレンマを抱えながら、自分自身を変えるため、米国へMBA留学することを決心しました。
転身のワケは米国にアリ
現場監督から起業家支援に転身するキッカケは、MBA留学と起業活動です。
米国バージニア州にある The College of William & Mary のビジネススクールに2年間留学をしました。経営学全般の知識のみならず、どうやって困難に立ち向かうのか?のノウハウを得ました。私の思考や価値観に大きな影響を与えました。
また、偶然立ち寄ったピッチコンテスト「757Pitch」で、起業家が熱心にピッチする様子やエンジェル投資家が鋭く指摘する様子に刺激を受け、スタートアップ業界およびそれを支えるスタートアップエコシステムに興味を持つようになりました。
自分でも挑戦してみたい!と思い、直ちにメンバーを4人集め、「Ferguson Innovation Challenge」という老舗配管メーカーが主催する10週間のインキュベーション兼ビジネスコンペティションに参加することにしました。テーマは「建設業就業者の生産性を最大限高めるにはどうしたら良いか」でした。Dokin' DonutsやStarbucks Coffeeを片手に、日々インタビューに明け暮れました。まさに「Get Out of the Building!」です。
私達は、AmazonロッカーのようなIoTロッカーを造り、それと連携するモバイルアプリを開発することで、幸運にも最優秀賞を獲得することができました。実績を評価いただき、ノーフォークの起業家支援組織「StartWheel」や、リッチモンドのベンチャーキャピタル「New Richmond Ventures」にてインターンを行い、米国のスタートアップエコシステムの一端に触れることができました。
この経験より学んだことは、「1人の人間が持つ強い関心が形になり、多くの人を巻き込みながら、業界を変革できる推進力を持つ可能性がある」ということです。
もちろん、大企業が業界変革を担う可能性もありますが、その多くは「イノベーションのジレンマ」に陥ったり、「組織慣性」の問題で、革新的なイノベーションを単独で行うことは難しいと見ています。このことから、建設業界の変革を担うのは、業界の変革を願う熱意ある起業家が設立したスタートアップの存在だということを確信しています。
※誤解なきよう補足:大企業はスタートアップエコシステムを醸成し、スタートアップを創出という視点から、重要な役割を担っていると考えます。オープンイノベーションを通じて、自身の企業価値を高めることも可能です。
そこで、業界変革に対して2つのアプローチを考えました。
自分で起業する
自分以外の起業を広く支援する
後者に賭ける方が、達成確率が高いと考え、起業支援の道に進むことを決めました。それが、現場監督から起業支援者へ転身したワケです。
さいごに
「建設」はビルやインフラを造り上げるための「手段」の側面が強いため、建設業界単独では抜本的な業界変革を成し得ない可能性が高いと考えています。具体的には、土木や建築といった学術上の縦割りや、建設、不動産、まちづくりといった業界の垣根を超えて連携していく必要があると考えています。破壊的イノベーションが起こる時は言葉の定義が変わったり、新たに生まれたりすることがあります。「建設」が「建設でなくなる」時も来るかもしれません。
また、活動を通じて、色々な方々と連携させていただき、少しでも建設業界変革の一助になれれば幸いです。最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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