拉麺ポテチ都知事18「Dリーグ短評」

先日HEAVENESEの日本橋公演が終わった。SNSでは何も調べもしないで活動を批判する声があるが、毎週日曜日の配信も今回のライブも真摯に取り組んでいるということは強調しておきたい。今回の公演もありがたいことに、満員御礼で素晴らしい場になったと思う。

さて、半年に渡って追いかけてきたプロダンスリーグ「Dリーグ」のチャンピオンシップが先日終わった。本来であれば、先週あたりに私見を書くことができればと思ったのだが、結局そんな暇がなかったので遅ればせながら少し記したい。

まずは結果である。優勝したavex ROYALBRATSは強かった。レギュラーシーズンを通して、一番好きだったのも当チームのラウンド3。鏡を使ったショウケースである。私のリテラシーが低いためスキル的なことについては書けないのだが、彼らの得意とするスワッグは全チームのなかで一番今っぽくてクールなのだ。ラップのグルーヴを体で表現できるのかと驚く。

だが何よりの一番の強みはディレクター・RIEHATA氏のコレオグラフである。チャンピオンシップのソロダンスサイファーでも明らかだったが、即興&ダンススキルで劣勢でも、振付センスの良さで勝利をもぎ取っていく。これはそのままラッパーの音源/MCバトル、ジャズメンの楽曲/セッションの違いと全く同じ構造ともいえるだろう。スキルが高くても作品で魅せられなければ勝利できないのだ。

それから彼らの楽曲はどれも良い。どれもRIEHATA氏の歌唱を含む、音楽的な強度があるもので、彼女のダンス由来のフロウは最高だ。普通にシンガーとしても通用するので、もっと知られてほしいと思うばかりである。

ただ、aRBの作品におけるメッセージの点は少し物足りなく感じた。LGBTQなどの社会問題を取り上げるのは良いのだが、誤解を恐れず言うと物足りない。これについてはは世界のアーティスト全般に言える。誰もが理解できる聞こえの良いことを叫ぶのは簡単だが、勇気を持って例えばBLMの暴力の連鎖に物申す方が数倍クリティカルなのではないかと個人的には感じた。

またaRBは既存のチームであるが故に、他の1から結成しているチームと比べて、すでにファンがいるというアドヴァンテージがある。avexのチームということで音楽面でも有利なのは間違いない。それらの点で批判的な意見がニコニコ動画のコメントで流れたりもするが、そういった指摘を加味しても彼らの優勝は妥当だったと思う。もちろん他のチームも素晴らしかったのは言うまでもない。2週間に1回新作を作るという恐ろしいスケジュールでシーズンを完走した全てのダンサーとディレクターに賛辞を贈りたい。

さらに、この異種格闘技戦を苦心してジャッジする審査員にも敬意を表する。「Dリーグ」はダンスの技術を採点する「DANCER JUDGE」と芸術面を見る「ENTERTAINER JUDGE」がいて、教養と無教養の両方から採点するという大変にチャレンジングな仕様なのだ。結果、教養側からは「エンタメに走るとダンスの中身が無くなる」という意見が上がり、無教養側からは「見る人には分かるというダンスをされるのが一番ムカつく」という声が上がるので「どっちやねん」となるのだが、ルールについては更なる追求が来シーズンも続くはずである。

正直アマチュアスポーツの祭典である東京五輪がこれだけ騒がれているなかで、プロスポーツがこれほど面白く、盛り上がるとは思わなかった。そのふたつを繋ぐのは2024年のパリ五輪から正式種目になるブレイキンであることは興味深く、両者の間でどう表現/鑑賞されるのかは今後も見守りたいと思う。

そして新しいスポーツ体系やルール、組織作りを見て今の社会に必要なのは「決断」だと改めて感じたのだった。思い切って何かを決めることができないと、今の理解不能な緊急事態宣言の乱発になるのだ。

私は渋谷の夜にどの店が開いていて、アルコールを提供をしているかはもうリサーチ済である。困ったらいつでも聞いてほしい。

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