素敵な夜なら、誰もが永遠に続けばいいと願った
久しぶりの野球観戦も、最後のイニングになった。
弱小球団だったこのチームも、いつの間にかスタジアムを埋め尽くす観客で一杯になり、嬉しいような寂しような気分だ。
ヤケクソチャンテと言われてきた応援歌を歌うのも久方ぶりで、懐かしさを噛みしめるように、繰り返し歌っていた。
帰りの足取りは少し重たかったが、また次のゲームに来ようねと、手を繋ぐ君の横顔に、なんだか少しうっとりした。
こんな素敵な夜なら、永遠に続けばいいなと、駅への近道を抜けながらこの空に願った。
帰りの電車では、すぐに君は眠りにつくけれど、窓から見える観覧車に僕はバイバイと口ずさむ。そんな今日の帰り道。
いつもの駅になって君を起こすと、たまには次の駅で降りようなんて、ふざけた事を言い出すけれど、そう言い出す時は、僕が君に教えた中華屋に行きたい時の合図だと、僕はもう知っている。
どっと疲れた仕事の日でも、負けた試合の後でも、いつもの中華料理とビールと、回るテーブルに子供みたいにはしゃぐ君の笑顔があれば、疲れも吹っ飛んでしまうんだよ。
こんな素敵な夜なら、永遠に続けばいいなと、ジャン麺頬張る君を見ながら、僕はビールを飲み干すのさ。
谷原のガスタンクの前の交差点の歩道橋で、偶然見つけた流星群にバイバイする。
そんな今日の帰り道。
こんな素敵な夜なら、永遠に続けばいいと、家路をたどる、いつもの近道を抜けながら。
20150417〜20200509
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