見出し画像

戻った訳 @0歳児の姿

《登場人物》
Aくん…0歳児男児
Eちゃん…0歳児女児

__

0歳児クラスの子たちと過ごしたある日の散歩での出来事。

歩ける子は歩き、まだ歩きがしっかりしていない子は立ちのりカートで公園に向かっていた。

歩ける子であるAくんとEちゃんの2人。
歩けるといっても、坂道だったり距離が遠いと、足取りが重かったりもする。この日は少し足取りの重い日だった。眠気か、疲れかも。


さて、

カート乗る子が少し先行し、僕はAちゃんとEちゃんと3人でのんびり歩いていた。広い歩道のため、多少離れても大丈夫。子どもたちは手を繋がずに歩いている。

Eちゃん、ふと立ち止まった。
ポケットをゴソゴソしている。見れば足元にはたくさんのドングリが落ちていた。

カートの子たちと僕、そしてAくんは少し先の方に歩き始めた。しかしEちゃんはついてこない。


50メートルくらい離れただろうか。このくらい離れても安心して過ごせる場所なのがありがたい。
「おーーーい、Eちゃーーん」

カートを押す大人と僕とで、後方にいるEちゃんを呼ぶ。でも、歩き出さない。こういう姿もいいなぁと思って、のんびり待つことにした。

すると、Eちゃんがこちらに向かって歩き出した。
きたきた。そう思って待っていると、なぜかAくん、Eちゃんの方に向かって歩き出した。

こういうとき。
大人としては「そっちじゃないよ、公園はこっちだよ」とかついつい言ってしまいそうになる。

しかし、ちょっとこらえて黙って見守ってみることにした。


Aくんは、犬について向こうにいっちゃった?
それとも??


答えはこうだった。


なんと、なかなかこないEちゃんのそばまで行くと立ち止まり、なんとEちゃんの手をとり、こちらに向かって歩き出したのだ!!

本当のところはわからないが、
Eちゃんを心配していた?
心配はしていないが、待っていた?
おいでよー、という気持ちだった??

2人は何の会話もなく、しかしすっと手を繋いでこちらに歩いてきた。

しばらくして、Aくんが繋いでいる手を切り替えようとして離れはしたが。きっと2人の気持ちは、この時繋がっていたんだろうと思う。


声をかけなくてよかった。
止めなくてよかった。

こんな小さいうちから、仲間を待つということをするなんて。

決して「Eちゃん、早くおいで!」とか大人は言っていない。ただゆったり待とうとしていたのだ。

子どもたちの気持ちが見てみたい。
手を繋いだEちゃんは何を感じていたんだろう。

いいなと思ったら応援しよう!