わかばや史(2) 吃音症と反抗期
転校してから1年が経ったある日。
言いたい言葉が喉につっかえて出てこなくなった。
「こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こんにちは」
はじめの文字を連呼してしまう。
とにかく恥ずかしかった。
このとき初めて、僕は吃音症だと自覚した。
そこから吃音症と向き合う毎日が始まる。
幸いにも友達に恵まれていて、みんな優しく僕の話を聞いてくれた。
それでも恥ずかしくて、吃音を隠す毎日が始まった。
とにかく目立つのが好きだった僕は、学級委員・児童会・劇の主役をやりたいと思っていた。
でも、大勢の前で吃音だと知られることが怖くて、恥ずかしくて逃げた。
心と身体がバラバラだった。
本当にストレスが溜まり、その矛先は親や学校生活に向けることになる。
本当にごめんなさい。
親との約束は破るし、暴言ばかり。
宿題なんかやらないし、授業中も席に座っていることができなかった。
沢山の人を傷つけたと思う。
それでも、親や先生・友達は僕の側にいてくれた。
感謝してもしきれない。
放課後は自転車をかっ飛ばして遊びまくっていた。
本当に毎日遊んでいた。
週末はサッカー。
こんな毎日を送っていたら、あっという間に小学校生活が終わってしまった。