【現役コーチ解説】質問の種類と使い分けで差をつける方法
あなたは以下のような悩みを抱えていませんか?
クライアントの本音を引き出せている自信がない
なんとなく質問をしている気がする
質問の種類は知っているけど、使い分けができない
成約率が伸び悩んでいる
クライアントとの会話が表面的になってしまう
実は、多くのコーチがこうした悩みを抱えています。特に「質問の仕方」は、コーチングの成果を左右する重要なスキルなのです。
なぜ質問力が重要なのか?
コーチングセッションの成否を決める最も重要な要素の一つが「質問力」です。適切な質問ができないと:
クライアントの真の課題が見えてこない
表面的な会話で終わってしまう
具体的なアクションプランを立てられない
クライアントが本当の気づきを得られない
結果として、成約率の低下にもつながってしまいます。
横に広げる質問と縦に深掘る質問の違い
横に広げる質問とは
クライアントの発言から関連する様々な可能性や選択肢を探る質問です。
例:
「仕事でストレスを感じている」という発言から
「仕事以外の場面ではどうですか?」
「過去に似たような状況を克服した経験はありますか?」
「理想の働き方についてはどのように考えていますか?」
縦に深掘る質問とは
特定のトピックについて、より具体的な詳細や本質的な部分を掘り下げる質問です。
例:
「仕事でストレスを感じている」という発言から
「具体的にどんな場面でストレスを感じますか?」
「そのストレスを10段階で表すと、どのくらいですか?」
「そのストレスを感じる直前に、どんな出来事がありましたか?」
「なぜそれがストレスになると感じていますか?」
効果的な使い分け方
1. セッションの段階による使い分け
初期段階:横に広げる質問
クライアントの状況を広く把握
可能性のある選択肢を探る
信頼関係の構築
中盤〜後半:縦に深掘る質問
本質的な課題の特定
具体的なアクションプランの作成
実行可能な解決策の導出
2. クライアントの反応による使い分け
エネルギーが上がった話題 → 縦に深掘る
答えに詰まっている → 横に広げる
感情が動いている → 縦に深掘る
視野が狭くなっている → 横に広げる
深掘り質問のコツ
「なぜ?」の言い換え
「なぜそう感じるのですか?」ではなく
「そう感じる理由を教えていただけますか?」
「そのときどんなお気持ちでしたか?」
具体化を促す
「具体的に」「例えば」「たとえると」
数値化(1-10のスケール)
時間軸での質問
感情への注目
感情の変化を追う
身体感覚への気づきを促す
価値観との関連を探る
成功事例で見る深掘り質問の効果
ケース1:収入から家族の時間へ
クライアント:「もっと収入を増やしたいんです」
コーチ:(横に広げる)「収入以外で、今の生活で変えたいことはありますか?」
クライアント:「実は、時間的な余裕が欲しいんです」
コーチ:(縦に深掘る)「時間的な余裕があれば、具体的に何をしたいですか?」
クライアント:「子どもと過ごす時間を増やしたいです」
コーチ:(さらに深掘る)「お子さんと過ごす時間が増えることで、どんな変化を期待されていますか?」
ケース2:生産性の悩みから価値観の変革へ
以下は、仕事の生産性の悩みを抱えるクライアントが、80万円のパーソナルコーチングプログラムを契約するに至った会話の一部です。
クライアント:「なかなか仕事がはかどらなくて...予定通りに終わらないんです」
コーチ:(横に広げる)「仕事以外の場面でも、同じように感じることはありますか?」
クライアント:「家事もそうですね...なんでも完璧にしようとして時間がかかってしまいます」
コーチ:(縦に深掘る)「完璧にしようと思うのは、どんな気持ちからですか?」
クライアント:「...小さい頃から、『きちんとしないとダメ』『完璧じゃないと認めてもらえない』と思ってきたような気がします」
コーチ:(感情に焦点を当てる)「その『完璧じゃないと認めてもらえない』と感じるとき、どんな感情が湧いてきますか?」
クライアント:「不安と...それから怒りのような感情です。特に子どもに対して完璧を求めてしまって...子どもが萎縮しているのが分かるんです」
コーチ:(影響範囲を探る)「その完璧主義は、他の人間関係にも影響していますか?」
クライアント:「...そう言われて気づきました。職場でも部下に厳しく接してしまい、最近チームの雰囲気が悪くなっています。家でも、夫が『君は何でもかんでも100点を求めすぎる』と言います...」
コーチ:(本質的な影響を深掘る)「この完璧主義という価値観は、あなたの人生にどんな影響を与えていると感じますか?」
クライアント:「...(涙ぐみながら)自分も周りも苦しめているんだと思います。仕事も家庭も、本当は良好な関係性の方が大切なはずなのに、その価値観が邪魔をして...自分でも自分を認められなくなっています」
このような深掘りの対話を通じて、表面的な「仕事の生産性」という課題から:
幼少期からの完璧主義という価値観の影響
家族関係の歪み
職場での人間関係の悪化
自尊心の低下
という本質的な課題が明確になりました。
クライアントは、単なる時間管理や生産性向上のテクニックではなく、価値観の変革を通じて人生全体をより良い方向に変えていくコーチングプログラムへの投資を決断されました。
深掘り質問が成功をもたらす理由
表層的な課題(生産性、時間管理)から本質的な課題(価値観、人生の方向性)への気づきを促す
問題の根本原因(幼少期からの思い込み)を発見できる
課題が人生の複数の領域に影響していることへの気づきが生まれる
解決の緊急性と重要性を自然と認識できる
変化への動機が内発的なものとなる
まとめ:質問力向上のためのアクションプラン
セッション記録を取る
自分の質問パターンの把握
クライアントの反応の観察
質問の種類を意識する
横に広げる質問と縦に深掘る質問のバランス
クライアントの状態に応じた使い分け
定期的な振り返り
効果的だった質問の分析
改善が必要な点の特定
質問力の向上は、コーチとしての成長に直結します。特に縦に深掘る質問のスキルを磨くことで、クライアントの本質的な課題により早くたどり着くことができ、結果として成約率の向上にもつながります。
クライアントの真の課題を明らかにし、本質的な変化を支援できるコーチになるために、まずは今日から質問の使い分けを意識してみましょう。
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