契約書や委任状に押印する捨印について

【捨印機能の限度】
捨印で加除修正が許される範囲は、一般的には誤字・脱字程度の軽微な訂正が限度です。

【押さなければならないとき】

特に契約の局面で契約者のところに署名・押印したあとに、捨印を要求されるケースが多いと思われます。その場の雰囲気から捨印を拒絶できないケースも多いと思われます。
その際に注意しておくべき最低限のことを書いておきます。

捨印の箇所には、「印」とだけ記載がある場合がありますが、その場合には横に「捨」と書くべきです。
なぜなら、押印したのはあくまで捨印という意味であると表現するためです。

また、捨印を押したら、その書面の写真を携帯電話で撮っておくべきです。
なぜなら、自身の想定した範囲を超えて契約書や委任状が使用される可能性があるので、そうなった場合でも証拠として当初の書類の内容・状況を保存しておく必要があるからです。

【捨印のある書類を受領したとき】

逆に捨印のある書類を受領して、契約を進めたり、委任事項を進めたりする場合もあります。その場合の注意事項としては次のとおりです。

記載した文字が一部別人のものだと思われたり、インクの色・性質が微妙に違ったりするなど、明らかに加除修正したことが分かる書類を受領した場合に、捨印の横に「3文字削除 4分字追加」など記載がないときは、書類を提示した人に「なぜ違うのか」聞いて、加除修正したなら左記のように書いてもらう。
明らかに捨印の機能を逸脱した加除修正がされていると判別できるなら、契約や委任事項を進める前に作成者に連絡して書類の内容を確認する。

最低限これくらいは確認しておかないと後々トラブルになった時に過失を問われる可能性が高くなります。

社会が脱印鑑を進めていますが、人の権利義務に影響を及ぼす重要な書類の作成の際に署名・押印することは当面変わらないと思われるので、上記には注意しておきましょう。

インテンス法律事務所  HP https://intense.law/

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