フィルム・アート社を応援します。
応援する会社と聞いて、思わず部屋の棚を覗いた。
決して広いスペースではない。映画関連の本が数冊、ダイソーで買った猫のブックスタンドに収まっている。やはり猫には狭い場所が良く似合う。まるで「勉強が足りないぞ」と、静かに見守っているようだ。
分厚い本が並ぶためか、次の本が入る余地はない。正確には、フィルムアート社から刊行した本以外、目立つことはできない。創作において、私がどうしても推薦したい本が2冊、兄弟のように並んでいる。
令和に入ってすぐに買ったことを覚えている。晴れた連休中、かつてJKだった妹の自転車に乗って田舎道を急いだ。コンビニの店頭で受け取った直後、喜々とばかり帰り道を疾走。こんなに欲しい本があったのか、と自分でも驚いた。稚拙なシナリオを頭から書き直すため、喉から手が出るほどだったのだ。私はほとんど興奮状態にいた。これがハリウッド・メソッドか! LAの青い空に届けるには、まだ足りない。しかし、日本の小さな町から学ぶには十分だった。
同社の本は初めてではない。専門学校に入る前、デイヴィッド・リンチのインタビューを書店で購入している。あの異様な世界観に迫るためには最適の本だった。
そして新たに加わった2冊もまた、最適を通り越して「技術」を運んでくれた。夢中で読んだ。とにかく、シナリオに感情を。目から鱗とは、このことだろう。
去るクリスマスの夜、書き上げたシナリオをつかんで思った。
あとは運だ、と。『「感情」から書く脚本術』『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』の2冊がなければ、私は負け犬のままだった。
必要としている技術に対して、必ず答えてくれる会社だ。公式HP、脚本術の欄を見てほしい。歪な原稿用紙に対して、クリエイターがどのように栄養を与えるかを詳細に綴った本が並んでいる。創作にこれだけの情報を持った出版社は、現時点でここだけだ。
世界は変わらず物語に飢えている。映画を志す者、憧れる者、悩める者。いつの時代も、フィルムアート社はすべてのストーリーテラーへの扉を開けて歓迎している。
当分、その扉を閉めるつもりはない。