MAY / JUNE 2023
2023年も折り返した。
この3月から書き始めたマンスリーレポート。
早速5月を飛ばしてしまう。ゆるゆるですみません。
今回は5月と6月の合併号にすることにする。
することにする。
5月、島根県布志名の舩木窯を見学に行って来た。
ここは江戸時代から続く布志名焼の窯で、生活雑器から輸出用の陶器を作っていたこと、昭和初期より河井寛次郎や濱田庄司、バーナード・リーチらと親交を深め、個人作家として活躍した舩木道忠、研兒親子の作品なども有名な窯です。
僕は舩木研兒の焼物が好きで、そこから道忠、それ以前に作っていた雑器のぼてぼて茶碗などを好きになり、前々から布志名に行ってみたいと思っていた。
宍道湖のほとりの素晴らしいロケーション。
現当主の舩木伸児さんが丁寧にご紹介下さって、歴代の舩木窯の焼物たちに触れさせてもらったり、リーチがスケッチを描いた窓辺なども見せて頂いた。
そこに流れる空気感に自然とすぅ〜と馴染むような素敵な空間。感動的でした。
ありがとうございました。
その後は出雲大社に行ったり、(しめ縄がとんでもなく凄い!)出雲民藝館に行ったり、島根県立美術館に森山大道展(すんばらしかった!
歴史を追うように写真の変遷が伝わって来て、シビれました。。。)を観に行ったりと島根を満喫。また行きたい。
それから、5月の出来事でとても嬉しかったことがある。
昨年、河井寛次郎が1950年頃に作った陶板を手に入れたのだが、どうディスプレイしようかしっくり来ないままだったのだ。とても良い物だし、どう配置すれば良いだろう…とぼんやり考えていた。
そんな中、兵庫県で木工作家として活躍されている笹倉徹さんを紹介していただき、キビっとした上品さと温かさの同居している笹倉さんの作品にとても惹かれ、寛次郎の額装をお願いして作って頂いた。
出来上がった栃の額は想像を越える立派な物。笹倉さんの丁寧で力強い仕事と河井寛次郎の陶板が合わさって、凄い迫力になった。
河井寛次郎の陶板に描かれている言葉は
「仕事が仕事をしている仕事」
この言葉は小さな視点と大きな視点で「仕事」について書かれていて、言葉の迷路に嵌まりそうななんとも河井寛次郎らしい言葉。
笹倉さんの工房は綺麗に整頓されていながらも、仕事されて来た月日を感じる場所で何とも居心地が良くて、先日の舩木窯にしてもそうだったけど素敵な空気感が漂っていた。
本当にどうもありがとうございました。
そして6月。
1日はロバートグラスパーを観に大阪へ。
素晴らしい。砂漠の砂のように細かい演奏。そして柔らかい。
そしてまるで3Dのようにその世界に連れて行かれる。めちゃくちゃ踊る。とんでもない世界に連れて行ってもらう。
その後は仕入で忙しかった。
京都、奈良、名古屋、大阪、神戸、金沢と良い物を探し回る。
これだ!というものに出会った時にはこの上ない高揚感。とっても楽しい。
骨董・古美術というのは、
その世界で圧倒的に評価の高い物。(希少性、時代性、名品と言われるような物)
全ての骨董ファンが評価するわけではないけれども、そのジャンルの中ではとても評価の高い物。
評価に関係なくとても面白くて楽しい物。
など色々あるけれど、
その大きな括りの中からもさらにこれだ!という美しさを見出す。
例えば河井寛次郎の作品はもちろん良いし評価も高い。だけども河井寛次郎が作った物だったら何でも良いのか。
その中でもコレだ!という物を見つけ、提示して、共有出来た時、心の底から熱い物が生まれる。
その提示するセンスが骨董屋の楽しい所だと思う。
全然違う物でも何か繋がるポイント、そういう一本筋通った様なセンスを提示できる様に、感覚を磨いて行きたいと思う。
「ちょっとの違いが大違い」と以前大先輩に教わった。
この言葉に胸を撃ち抜かれ続けている。
7月は暑い。熱中症に気をつけていきましょう!