SEPTEMBER / 2023
9月。
夏はあっという間に過ぎて行った。毎日の営業や仕入れ、猫の世話に、FUJI ROCK FESTIVALに行ったりもした。
8月はなんと、下の猫に癌が見つかって、営業時間以外は病院通いの日々だった。
暗く、先の見えない状況から、すくすく回復して、完全寛解という状況まで来た。
本人、いや本猫も元気いっぱい走り回って、たくさん甘えている。とりあえずは前と同じ日々が戻って来たのだ!本当に良かった。よく頑張ったね、モグ。
しかし今年は暑かった。9月は母と妻と青森旅行に行って来た。
9月の青森は涼しいのかななんて思っていたら、湿度は高いし、気温も高い。
車を借りて人生初の青森を走る。
棟方志功記念館が2024年3月いっぱいで閉館すると言うことで初めて行って来た。
展示点数も、記念館の規模的にもゆっくりとゆったりと一点一点をじっくりと見れて良かった。
僕が偶然質問をした方が館長の方で、とても丁寧に熱心に話してくれて、感激に震えた。
閉館がとてつもなく残念。作品は青森県立美術館に移管される様なので、見る機会が残されて良かった。
その後は青森県立美術館での棟方志功展に。
こちらは初期作から晩年まで、とてつもないボリューム。一度足を運ぶだけでは足りないかも。
富山→青森→東京と巡回して、東京はこれからなので、東京国立近代美術館に行く際は是非とも。棟方志功の作風の変化、表現の鋭さ、爆発していく様が見れるとても良い展示でした。
その後は弘前に移動して、日本料理店 陽さんへ。
青森の食材を使った食事はとても美味しくて、弘前に行かれる際は是非行ってみて欲しいお店。店主の成田陽平さんの誠実な人柄が会話からも料理からもよく伝わってくる良いお店でした。
青森なら青森、京都なら京都で、それぞれの土地で独自に育ったカルチャーがあって、違う土地に行くというのは本当に面白い。
行けて良かった。
そして、9月末は1週間ほど仕入れでヨーロッパへ行って来た。
オランダのアムステルダムとフランスのパリへ。
骨董屋や蚤の市を回りまくる。
オランダは初めて。街並みが良くて、ずーっと歩けそう。
レストランに入っても骨董屋に入ってもすごいウェルカム感を出して接客してくれる。
色々な国に行ったけど案外こういう気持ちになる事は少ない。
アムステルダムの中華料理屋で生まれて初めて牡蠣を美味しい!と思って食べられた。
俺は子供の頃は好き嫌いが多くて、今はほとんど無くなったけど、牡蠣の美味さはわかっていなかったのです。でも折角オランダに来たし、案内してくれた美術家の青柳龍太氏が絶賛するのでトライしたところ、おかわりまでしてしまった…美味かった。
アムステルダム3日、パリ3日という短いスケジュールだったけど、新しい経験というのはとても良い。
初めての経験は何事にも変え難い刺激がある。
アムステルダムでは基本的に骨董屋を、パリでは骨董屋プラス蚤の市を回った。
フランスの蚤の市ってよくTVで見たりしていたけど、実際に行くととっても楽しい。
ヨーロッパの物が多いけど、中には日本の物、中国の物なんかもあった。
ごちゃごちゃ並べられた物の中から、「これは美しい!」と感じる物を探す。
早朝から行っても気がつけば何時間も時間が経っていて、手に入れた物を持ち帰って見直して、楽しむ。
西洋の物に関してはほとんど素人なので、新たな感覚は本当に楽しい。
アムステルダムもパリも本当に良かった。
9月は青森にヨーロッパにと、色々な文化にお邪魔出来て良かった。
今ちょうど日本民藝館で西洋工芸の美という特別展をしているのも、見に行きたいなあ。
話は変わって、京都にはみなみ会館という有名な映画館がある。
2018年までの旧館時代には何度か映画を観に行った。自由席で、きちんとセレクトされた映画は本当に良い経験だった。
新館になってからは行けてなかったけど、友達が働いているのもあり、よく話は聞いていた。
そんなみなみ会館が9/30に閉館すると言う事で閉館日に足を運んだ。
会場はとてつもないお客さんで満席どころか立ち見までいて、みんなここが閉館するのを惜しんでいるのが伝わってくる。
映画が好きにも関わらず、自分は最近行っていなかったこと、悔やんでも仕方が無いけど、閉館となると、なんとも言えない気持ちになる。
最後の上映は「OTHER MUSIC」。
NYにあった有名なレコード屋のドキュメンタリー。
ジャンル問わず、"特別"な愛される店にある情熱・こだわり・誇りみたいな物がビシビシ伝わってくるとても良い映画だった。
animal collectiveとかblack diceとか2000年代を代表するNYのバンド達も出て来て、とっても楽しかった。
特別な店にあるマジック。
最後にこの映画が選ばれる事は、閉館するみなみ会館がどんな映画館だったのかという答えな気もした。
YAMADA MPD ART CLUBもそういう誰かにとって"特別"な店になりたいと思う。