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imacon ixpressから見えるHasselbladの歴史

みなさん、こんにちは。

はじめに

ここ最近、少し懐かしさを感じる記事を見ました。

こちらの記事に出てくるのはImaconのIxpress 132cという機器。久しぶりに目にしたのでとても懐かしく感じるとともに、記事に見入っていました。

デジタルカメラバックって?

このImacon Ixpress 132cは、いわゆる「デジタルカメラバック」です。と言っても、今となってはその存在自体がよくわからないという人もいるかも知れません。

2024年現在での中判デジタル環境を見渡してみても、中判デジタルと言えば、PhaseOneのデジタルカメラや富士フイルムのGFXシリーズ、Leica Sシリーズ、Hasselblad Xシリーズといったイメージがほとんどだと思います。

中判デジタルカメラの使われ方を振り返ると、(私の認識では)特定の撮影業務において使われることがほとんどであり、一般の写真愛好家が使うというものではなかったと思います。そして利用ユーザはカメラとデジタルバック(=センサー部分)を組み合わせて使っていました。

紹介の記事では、Ixpress 132cをMamiya 645AFに接続して撮影したことが記述されています。このように、中判カメラのフイルムバック部分にデジタルバックを取り付けることで、撮影データのデジタル化が行われていたわけです。

Imacon製品が流通してる頃はフイルムカメラでの撮影とデジタル撮影が混在している状況で、プロの中でもデジタルシフトに向かう幕開けのような時期であったと振り返ります。これらの機器はそれ相当の価格ではありましたが、フイルムや現像のコストとのバランスで導入を検討するフォトグラファーは多かったと思います。

ImaconとHasselbladの統合

記事内でも挙げられていると思いますが、Hasselbladはこのimacon社と統合することで一体型デジタルカメラの開発に至ります。2000年頃のお話になりますが、Hasselbladもデジタル化が進む中において、カメラシステムを刷新しています。Hシリーズの発表、H1カメラの登場ですね。

そしてカメラとデジタルバックを組み合わせて登場したのが「H1D」です。この後HasselbladはH2D、H3Dと一体型デジタルカメラを推進していきます。この動きの後にPhaseOneの645カメラシステムが登場してくるわけですね。(一旦時代背景は割愛します。このあたりのお話は追々書けると良いですね)

その後Hasselbladは中判カメラをミラーレス化したシステムを市場に投入します。これが現在のXシリーズと言うわけです。これと同じようなシステムとしては富士フイルムのGFXシリーズがあり、これは写真を生業とする人々や一般の写真愛好家の方々にも広く普及していったものと思います。

それにしても、富士フイルムのGFXシリーズは性能も高くて費用感も現実的だと感じます。こうした製品が広まることで、より中判フォーマットの領域も多くのフォトグラファーを魅了してほしいと思うばかりです。

ixpressシリーズの技術力

さて話を戻してPRONEWSの記事を見ていると、屋外での撮影に使用したという記述があります。これも改めて見返すと、ずっと昔からモバイル撮影に対応できていたという点で技術力の高さを感じさせられています。

このixpressシリーズはデジタルバック部にはセンサーがあるものの、データを記録するためのストレージは保有していません。デジタルバックと別途イメージバンクというメインコントローラを接続し、その内部にあるハードディスクにデータを記録しています。

イメージバンクにはSonyのハンディカムなどで使われていたリチウムイオン電池を装填することができ、これが電源となります。あるいは、イメージバンクに取り付けられたIEEE1394インターフェイス(別名:FireWire)でMacやPC(Windows)に有線接続することでストレージを認識、データ転送を実現しています。
※参考として互換バッテリーのリンクを貼っておきます。今もなお製造されているのですね!

デジタルバック部には液晶モニターがありますが、正確な描写を再現することはかなり難しいため、データをMacやPCに転送して画像を開いて確認する必要がありました。しかしながら、この当時からパソコンを使ったデジタルワークフローがすでに確立されており、なおかつ出先(ロケ撮影)でも撮影ができて、かつこれが現在デジタル撮影のの礎になっているということです。

おそらくラップトップ型のMacやPCでもこうした取り組みはされていたと思いますが、今の時代とは比べ物にならないくらい準備が大変であったと思います。こうした歴史を読み解くと改めてテザー撮影に関して興味が湧いてきますし、実際トライしてみたくもなります。先日のエントリではiPad ProとHasselbladの接続について記述しましたが、これから先、デジタル撮影のワークフローがどうなっていくかも気になりますね。

それにしても、はるか昔の中判デジタル機材での撮影、またやりたくなりました!


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Naoto Takazawa
大学を卒業後、約15年間写真スタジオ、写真機材販売、北欧カメラメーカーの日本法人立ち上げなど行う。その後ITベンチャーにてマーケティング業務に従事しながら大学院に通いMBAを取得。現在もスタートアップ企業にて奔走中。