CP+2023_1日目行ってきました
みなさん、こんにちは。4年ぶりにCP+が開催されました。私も初日に行ってきましたので、個人的目線で感じたことなど書き記しておこうと思います。
はじめに
CP+については、以下のサイトがオフィシャルウェブサイトとなっていますので、ご参照ください。カメラと写真のワールドプレミアショーで、年に一度の写真関係の祭典と捉えたら良いと思います。
出展している企業もカメラメーカーやレンズメーカー、写真用品関連のメーカーが主体です。最新のカメラやレンズの展示、テストシューティング、写真セミナー、機材アウトレット販売など様々なコンテンツがあります。また大学の写真部などが出展して写真の展示なども行われています。
続いて、以下に今回の展示会で感じたことをざっくりと書いておきます。
出展者の減少&出展方法の拡大
メインとなるカメラメーカーは数多く出展している一方で、展示会会場に出展していない企業も存在します。例えばEPSONはオンライン会場で出展しており、オンライン配信によるコンテンツ提供を行う予定です。
ウィズコロナ、アフターコロナの背景から、展示会はオフラインだけでなく、Zoom、ウェビナーのようなオンライン配信という手段が確立されつつあります。
現地に行けない人にとっては、オンラインで参加できることや、見逃し配信でしっかり情報をキャッチできるメリットであると思います。今回の配信内容を見ると、講座がメインとなっているので、座学的なコンテンツであれば、十分機能するのでしょう。展示会の会場で話を聞く方がノイズが多いかもしれませんので。
一方で、プリンタの出力した写真そのもの(=紙媒体)を見る機会が乏しいのも事実。昨今のアウトプットは紙焼きだけでなく、サイネージ端末や個人が持つスマホなどのデバイスで見るものが最終アウトプットになることも多いと思います。
エプソンは数少ないプリンタメーカーの王者のような存在です。アウトプットする用紙も様々ありますので、選ぶ楽しさ、出力する楽しさも伝えていってほしいと感じます。実際目の辺りにしないと伝わりにくい話なのですが、テクスチャにより写真の見え方が大きく変わることもあります。シーンに合わせてフイルムを選ぶように、プリントも幅広い選択肢があることを伝えって言ってほしいと願うばかりです。
フレスコジクレーの出展
前途のプリントの話題に関連してしまいますが、フレスコジクレーという用紙がありまして、この用紙メーカーが出展していました。フレスコジクレーは、以前から興味はあったものの、結局使うまもなく製造終了になってしまっていました。。あれから時を経て今回のCP+では、この用紙が単票紙とロール紙タイプで復活することを会場で知りました。
過去のニュース↓
フレスコ画は昔からある技法で、製作者が長い時間を経て作り上げるもので、使われている素材(漆喰)が徐々に変化していく素材のため、独特の風合いが出るものとして知られています。この仕組みを使ってインクジェット用の用紙を作り上げているのですね。
プリンタから一気に用紙へインクが打ち込まれることになるのも、フレスコ画の原点から見返すと不思議な印象です。漆喰が時間を経て変化していくのと共に、出力されたプリントの質感も時間を経て変化していく、そういった変わった体験をすることができる用紙です。
今後はこの用紙をオンライン経由でユーザへ販売していくようです。なかなかお目にかかる機会が少ないかもしれないですし、値段もそれなりにするものなので、手を出すのが難しいかもしれません。ただ、こうした特徴を掴んで作品を作り上げるという世界観は残って欲しいなと思います。失敗を恐れてしまっていつ手を出そうかと悩みそうですが、大切な一枚を作り上げる楽しみを感じさせる逸品と思います。
写真展に立ち寄り
冒頭にも少し書きましたが、CP+会場では写真展も開催されています。ざっくり書くと、作家活動しているフォトグラファー(アーティスト)の写真展、大学の写真部による作品展示の2分類に分かれます。
前途のフォトグラファーの作品展においては、撮影した作品をNFTアートとして販売していることが今どきらしいという印象でした。デジタルで撮影された写真は複製しやすいため、価値を担保するのが難しかったように思います。そのためプリントの中にシグネチャを入れ、作品証明書をつけて販売するなどしていたと思います。昨今は唯一性を担保する技術がありますので、デジタル作品の販売について障壁は少しずつ減っていっているのかなとも感じました。
とはいえ、写真を買う、飾る文化は海外と比べるとどうなのでしょうね。フォトグラファーが作品を作り続けるためには、写真の価値を高めていく必要がありますが、買うという所に持っていくためにできることは何だろう、と常々思うばかりです。少し領域は違いますが、VRアーティストのような領域は段々と認知され、人気に火が付き始めていますよね。写真もそういう形になっていくと良いのですが・・・。
もう一点、中部大学写真展というブースに立ち寄りました。部員それぞれが撮影した写真を短い期間でまとめ上げて展示されていた様子。東京まで出てきて準備されるのは、さぞかし大変だったと思います。
ブースにいた学生さんに話を伺うと、リアルな写真展を求めている様子を感じ取りました。今はInstagramなどで写真をアップして、フォトわーからの反応を受け取ることが容易にできるのですが、写真を見て「どう思ったのか」という本質的な部分を探求しているように感じました。
確かに振り返ってみると、InstagramでLikeがついても、投稿した自分としてはそのLikeの意図が見えないわけです。単に驚いてLikeするだけじゃなくて、その理由が知りたいという思いが素晴らしいと感じました。もしかしたら、この心理は当然のことなのかもしれないのですが。
あと(その時の状況にもよるかもしれませんが)とにかく元気で明るい。写真を語る時の姿はとても活気に満ち溢れている印象で、こちらも元気を頂いたような気がしました。ご対応くださったお二方、ありがとうございました!
カメラ周りのトピックス
カメラ機材についてですが、Nikon Z9というカメラをブース内でハンズオンさせていただきました。私もあまりわかっていなかったのですが、このカメラはReal-Live Viewfinderという機能が備わっており、撮影後のブラックアウトがない状態でシャッターを切り続けられます。
実際にシャッターを切ってみると、シャッターを切って画面が消失することなく、撮影を続けることができます。この機能にはたいへん驚かされました。Z9は現行ニコンのフラッグシップ機になりますので、この記事を書いている時点でのお値段は約60万です。Hasselblad X1DII-50Cと同じくらいですね。比べる対象がそれか、という感じもしますが(苦笑
会場を一周してみて
4年ぶりのリアル開催。しかも初日は祝日という状況で、どのような展開となるか注目していましたが、案外盛り上がっていたのかなと言う印象です。プロ向けの機材を扱うメーカーが縮小しているのは少々寂しいところではありますが、現地では以前からよく知る方々ともお会いでき、短い時間ながらも楽しいコミュニケーションが行えました。
そして写真展では新しい世代の方々と会話する機会があり、これから先の将来も明るいのかなと感じる一面も垣間見ることができました。そういう意味では思った以上に良い印象を受け帰路につきました。今回の日程は平日が1日しかないため、2日目が唯一のビジネスデーになりそうな印象です。
年々、出展するブースの数が減り、展示会の形が変わる中で、写真に関する情熱を持った新しい世代、ムーブメントも起こりつつあります。写真の本質は変わらずとも、価値観は間違いなく変化しており、その変化についていかねばならないわけです。これから先も、写真と人がどうか変わり続けていくかを注視し続けてみたいと思います。
大学を卒業後、約15年間写真スタジオ、写真機材販売、北欧カメラメーカーの日本法人立ち上げなど行う。その後ITベンチャーにてマーケティング業務に従事しながら大学院に通いMBAを取得。現在もスタートアップ企業にて奔走中。