装具の作製はどこまで予測すればいいのか?
さて、今回は回復期で作製する生活用装具について少し話させて頂きます。
重症患者であれば、基本的に早く長下肢装具を作ることは3月に行われた下肢装具カンファレンスに参加された方々の中でもだいぶ共通認識になってきている印象でした。
しかし、難しいのが短下肢装具を作成する方、つまり歩行は見守り〜軽介助くらいで可能だがクリアランスの不良、初期接地での踵接地やヒールロッカー機能が使えていない症例なんかは既に作成するか、もう少し様子を見るか?
で悩まれることが多いのでは。
では、その回復期入院中に生活用装具をいつ作るか?
これ迷いますよね〜。
悩んで、悩んで、悩み抜いて、時が経ち、病棟歩行は入れられず、訓練のみしか歩行しておらず、退院2〜3w前に作成するというような状況に陥ったことはないでしょうか?
はい、ありますよね!!( ´ ▽ ` )ノ
早期の装具作製を躊躇させてしまう要因としては
①まだこれから回復する時期という見込み
②装具が悪影響を及ぼす、回復を阻害する
といったことが頭の中のどこかで考えてしまっている結果、
ギリギリまで粘りたくなりますよね〜
期待、希望、思い込み・・・・などなど
そんな結果、作製が遅れるということを経験したことがあると思います。
でも、退院1ヶ月過ぎてから作製するケースも時にはありますが、あまりオススメはできません。
なぜかと言うと、退院1ヶ月前は家屋訪問、外泊、公共交通機関などより実用的な場面での訓練、歩行が進む時にあまり慣れてない装具で歩行量を増やしていくことで歩容の悪化、装具の不具合などでてきます。
やはり装具に慣れる、装具を装着することでまた新たな歩行パターンを学習すると言う意味では退院1.5〜2ヶ月前くらいには作製しておきたいですね。ばっちり慣れた装具で家屋訪問など行けたら、自宅での装具の不適合、自宅周辺環境での歩行も評価できますよね。
でも、難しいのが退院1.5〜2ヶ月前くらいにどのような機能を代償・補完し、かつどのような機能を阻害せず、そして退院後の生活、活動範囲、諸々を予測して装具を作るかに頭を悩ませている方も多くいるのではないでしょうか。
私が思うに回復期で大切なことは運動量をしっかり確保させること、また生活環境での歩行を早期から導入することと考えています。
それを考えると歩行が軽介助で歩けるくらいの状況で作製に踏み切ることをボーダーラインとして関わることが多い印象です。
では、いざ作製するとなった場合にどんなことを考え、予測し、どんな装具を選択するか?
正直、『退院後にどうなるか、何が起こるかなんて分かりません』
っと言いたい時もありますが、装具によって歩ける、歩けないが決まってしまうケースもありますから、そこはしっかり回復期から現状の機能、退院後の運度機能、活動量など予測し、退院後も極力適合の良い装具を履いて歩いて頂きたいと言うのが本音です!!
ただこれがなかなの苦戦を強いられる訳ですが、日々の細やかな機能評価、経験値が必要となります。
特に若いセラピストであれば、装具の経験もない、予後予測も不明確、ましてや生活期のことも分からない。そのような中で生活用装具を作製するというのはちょいと酷ではありますよね。
多分、先輩セラピストに
・装具の強度が弱くない?負けちゃうんじゃない。
・屋外はどのくらい歩く?坂道、階段はないの?
・家の中でも装具履くの?
・装具が故障したらどうするの?
・浴室は裸足?
・靴は購入した?
などなど
いろんな事情聴取に合うと思います。(・Θ・;)
それもいい学びではあるんですが、できる限り自分でも多くの可能性を考え、作製するものの決断をできたらと思います(もちろん最終決定はDrですが。。。)
退院後のどんな患者さんが機能低下・能力低下を起こしやすいかを知っておくことで、それを予測した装具が少し考えられるかもしれません。
意欲がない方
注意が悪い方
感覚障害がある方
一人では歩けない方
病識が低下されている方
そのような事前情報、個々の障害による影響、また自宅環境、自宅周辺環境、使用場所、自己での装着可能かなど加味して作製していく必要があります。
現状では回復期に関わるセラピストにおいて、入院中に作製した装具が妥当だったのか、どうかをフィードバックできるシステムがない為、どうしても作りっぱなしになってしまっている現状です。
本日は最後まで読んでくださりありがとうございました(^o^)