マインドフルネスはなぜ精神疾患を治すのに役立つのか②
読んでくださってありがとうございます。
自分は機能不全家族で育ち、精神疾患(うつ病等)で苦しんだ経験があります。
そこから心理系の本を何百冊と読み、回復することが出来ました。
今回の記事は後編で『マインドフルネス』の練習法について紹介します。
なぜマインドフルネスが効果があるのかは前回の記事を見てください。
前回の記事はこちら
マインドフルネス瞑想(呼吸法)
マインドフルネスを身に着けるにあたり、
基礎的なのが呼吸に注意を向ける瞑想法です。
マインドフルネス瞑想では
リラクゼーション法と違い
呼吸をコントロールしません。
身体にまかせて呼吸をさせ
それを感じ取るのがマインドフルネス瞑想法の特徴です。
呼吸に注意を向けるのは主に2種類あります。
注意を集中し、注意の転換をする瞑想と
その注意をパノラマ的に広げて注意を分割していく瞑想があります。
これからその2つの瞑想を説明していきます。
瞑想(呼吸法)の姿勢
瞑想をするときの姿勢について解説します。
まず、背筋をすっと伸ばしてください。
椅子の場合は、椅子の前のほうに坐ったほうがやりやすいと思います。
手は太ももの上に置いてもお腹の前で重ねても大丈夫です。
身体がまっすぐになっているかを確認します。
体を少し左右に揺すって、自分の身体のまっすぐな位置を見つけてみて下さい。
姿勢が乱れたのに気付いたらそのポジションに戻りましょう。
サマタ瞑想
サマタ瞑想は「注意を集中する瞑想」です。
具体的なやり方を説明します。
①呼吸に伴う身体の動きに注意を向けます。
②呼吸はゆったりと行うくらいにとどめ、コントロールしません。深呼吸もしません。
③目は閉じても半眼でもどちらでもOKです。
④お腹や胸のあたりの動きや、それに伴う身体感覚に注意を向けます。
⑤膨らんでいくときは「膨らみ・膨らみ」、縮んでいくときは「縮み・縮み」と、感覚をそのまま感じ取ります。
⑥自分の身体がしたいようにさせ、これを続けていきます。
⑦「何か考え始めたぞ」と雑念が浮かんだことに気づいたら、なるべく早めに切り上げて「雑念・雑念」とラべリングをし、「戻ります」と心の中で呟き、再び呼吸に伴う身体感覚に注意を戻します。
雑念に関しては必ずといっていいほど浮かんできます。これはむしろ、瞑想を正しく行えている証拠みたいです。
注意力の持続と転換する力を鍛えていきます。
ヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナー瞑想は「注意を分割する」練習です。
サマタ瞑想との大きな違いは呼吸以外にも意識を向けるということです。
①お腹や胸のあたりに注意を集中して呼吸していましたが、今度は息が身体全体に流れていくようなイメージで呼吸をします。
吸った息が手足の先端にまで届き、手足の先にまで注意が向くイメージをします。
②雑念が出てきたときは、「あ、なんか考えはじめたぞ」と雑念をそのあたりに漂わせて観察する程度にとどめます。
③注意を自分の身体の外にまで広げていきます。音が聞こえていればその音を聞きながら、空気が動いていれば、空気の流れを感じながら、「膨らみ・膨らみ」「縮み・縮み」と身体感覚を感じます。
雑念も感じながら、音も空気も身体感覚も同時に感じながら、時を過ごす感じです。
瞑想をすると、自分がいかに無意識に考え事をしているかに気付くと思います。
瞑想の狙いは、雑念を取り除き無心になることではなく、雑念が浮かぶことに気付く能力を養うことにあります。
瞑想を行う上での注意点
瞑想を気そらしとして使わないでください。
どういうことかというと
何か嫌な事があったり恐怖や不快感など辛い感情を感じた時に、瞑想に無理やり集中することでその感情を感じないようにすることです。
これは目指す方向とは完全に逆行しています。
瞑想をすることで得られるのは、
恐怖や不快感といった不快な感情は
受容し感じ尽くせば、いずれ消えるということを体感することです。
瞑想の効果を感じる練習時間
瞑想の効果を感じるには1日20分を2~3週間続ける必要があります。
最初は難しいと思うので、5〜10分ではじめ段々時間を伸ばしていけばいいと思います。
自分は寝る前にやることが多いです。
研究では、マインドフルネス瞑想を8週間ほど行うと、脳の海馬の厚みが増大するというデータもあり、脳構造を変化させることも知られています。
筋トレと一緒ですね。
瞑想の練習ですが、
最初はサマタ瞑想だけ2~3週間やって注意力の持続と転換を鍛えることをおすすめします。
注意力の持続と転換がある程度身に付いたら、今度は注意の分割を鍛えるヴィパッサナー瞑想に取り組むのがいいと思います。
というのも注意力の持続がないと、ヴィパッサナー瞑想は眠くなります(笑)
マインドフルネスの瞑想はまとまった時間が取れた方がいいですが、時間がなくても日常的に出来る他の練習法もあります。
マインドフルネスの他の練習法
注意訓練法
注意訓練法は
①注意の持続
②注意の転換
③注意の分割
の3パートに分かれており、
1から3まで順番に行っていきます。
①注意の持続=ピアノや波、風鈴の音などから好きなものを選んで、1分間ずっと聞き続ける。1分間経ったら別の音を選んで、また1分間聞く。これを5~6分ほど続ける。
②注意の転換=やることは①と同じですが、1分ではなく30秒など短い時間で切り替えていきます。慣れてきたら、どんどん短くしていきましょう。
③注意の分割=全ての音を、同時に聞くだけです。ただし、最初は難しいので、何度か繰り返して慣れましょう。
この注意訓練法は外で車の音や風の音を聞きながらでも出来ますし、自分の聞いてる音楽でも出来ます。
食べるマインドフルネス
呼吸や音に焦点を当てた練習を紹介しましたが、次は食べ物に注意を向ける瞑想です。
食べる対象にレーズンをなぜかよく用いることが多いです。なので、レーズンエクササイズと呼ばれることもあります。
レーズンじゃなくても、普段の食事や飲み物や好きなお菓子などに置き換えも可能です。
今回はレーズンだと思って解説します。
1:「視覚」を使ってレーズンを観察する
レーズンを手のひらに乗せて観察します。レーズンの外観に注目します。
普段はじっと見ることがないレーズン。
どのように目に映りますか?
例: 表面がしわになっている。凸凹している。透明感がある。黒い。サイズがバラバラ。光の反射で場所によって違う色に見える。
2:「触覚」を使ってレーズンを感じる
レーズンを軽く手のひらの上で転がしてみましょう。どのような発見がありますか?
例: 少しべたつきがある。表面のしわの凹凸を感じる。硬い。力を加えると少し凹む。
3:「聴覚」を使ってレーズンを聞く
レーズンを耳元へと近づけ、レーズンを軽く押してみましょう。聞こえてくる音に集中します。どのような音が聞こえますか?
例: 小さくキューという音が聞こえる。ニチャッという音がする。
4:「嗅覚」を使ってレーズンを嗅ぐ
鼻の近くにレーズンを移動させ、匂いを観察しましょう。どんな匂いがしますか?
例: 甘い匂い。鼻に少し残るに匂い。
5:味覚を使ってレーズンを味わう
レーズンを口の中へ運びます。
まずは、舌先や口の中でレーズンを感じましょう。どんな感じがしますか?
例: 外側の皮が硬い。噛まなくても味がする。香りが鼻に抜ける。だんだん柔らかくなってくる。
十分に味わったら、ゆっくり噛んでください。咀嚼しながら、レーズンから感じることがあるでしょう。どんなことに気づきますか?
例:歯にくっつく。甘い。ジューシー。香りが口の中に広がる。
歩くマインドフルネス
マインドフルネスは歩きながらでもできます。
これも日常生活の中で取り入れやすくとてもおすすめです。
①歩きながら足裏の感覚に注意を向ける
足裏の重心の移り変わりに意識を向けて歩いてみましょう。
このときに、好奇心を持って初めて地面を歩くかのような気持ちを持つのが大切です。
足裏が地面に触れている感覚や、「かかと」から「つま先」まで、足裏のどの部分に踏みしめが起こっているのかなどを丁寧に感じ取ってください。
「歩くことで生じる足の感覚」を隅々まで意識して歩き続けましょう。
②雑念が湧いてきたら、そっと足裏の感覚に注意を戻す
しばらく歩き続けていると、いつの間にか足裏から気が反れて、思考や考え事などの雑念が湧いてきます。
雑念が湧いても、呼吸法の時と同じように、それを価値判断せずにありのまま受け入れてください。
「〇〇について考えている」「〇〇のことを気にしている」など、雑念が湧いたことに気づいて、そのままそっと足裏の感覚に注意を戻しましょう。
「雑念が湧いてくる→それに気づいて受け入れる→足裏の感覚に意識を戻す」この工程を繰り返し行うことが、歩行瞑想において大切です。
マインドフルネスの練習
ここまで読んでみた人なら段々気付いてきたと思いますが、マインドフルネスの練習は日常生活のどんな場面でも行うことができます。
そのコツは思考をするのではなく、五感を研ぎ澄ませて今の体験を感じるということ。
例えば、シャワーを浴びている時。
シャワーのお湯のあたたかさを感じたり 、体中の皮膚が温まっていくことも感じられますね。シャワーの水のあたる感触や、シャワーが流れている時の音など感じられることはいっぱいあります。
身体や髪を洗っている時も、シャンプーを泡立てた時の柔らかい泡の感触を感じたり、 その泡を頭皮に乗せてマッサージをすると感じる気持ちの良さ、髪の手触り、シャンプーの匂いや 肌を滑らせるスポンジの柔らかさ等色々感じることができます。
今回はマインドフルネスを身につけるための瞑想法を紹介しました。
自分が紹介した以外にもボディスキャン瞑想や葉っぱのエクササイズなど他にもマインドフルネス瞑想にはたくさん種類があるので興味があれば調べてみてください。
長い文章を読んでいただきありがとうございました。