【僕たちは母を介護する】-38「ストーマ学習~交換作業講習~」
一週間が経った。
今日はストーマの交換作業を学ぶ日だ。
いつも通り次男と二人で病院に向かった。
今週の面会は、三男夫婦の予定だったが、実際にストーマの交換作業は同居している次男がすることになるだろうし、応援で私もすることなると思う。
三男にはそれを伝え、面会は来週行ってもらうように了解を得ていた。
病室に着くと、介護士が御袋を車いすに乗せていた。
別の部屋で交換するのか?と思ったら違うようだ。
どうやら当初の予定ではリハビリが予定されていたらしい。
しかし、ストーマの交換作業に変更されたことが介護士に伝わっていなかったようだ。
事情を理解して、介護士はすぐ御袋をベッドに戻した。
その時、御袋は車いすから自力で立ち上がろうとした。足腰の筋肉が少し戻ってきているみたいだ。食事をとり始めたことも大きいのだろう。
ベッドに戻ると、女性の看護師が入ってきた。
挨拶を交わすと、看護師は御袋へ話しかけた。
「今からストーマの交換をしますねー」
そう言いながら、患者衣を少しめくり腹部をだした。
ストーマの交換作業次の通りだ。
【ストーマの交換作業】
①ストーマを外す
・人工肛門の周辺に円状の粘着テープで皮膚についているので、剥離剤をつかってゆっくりはがす
②外した後、皮膚についた粘着剤や汚れを拭く
③人工肛門は感覚がないため優しくふく
④入浴できるようになったとき、人工肛門に温めのお湯をかけても大丈夫
⑤ストーマの円形部分の中心に、人工肛門にあったサイズの穴を切る(前回の見本を合わせる)
⑥人工肛門でお腹の中心の方向が少し膨れているので、反対側に土台(三日月型のクッション)をつけ、水平にする
⑦ストーマに先ほど穴の調整をしたテープをつけ、人工肛門にその穴を通してつける
⑧ストーマ―の端は穴が開いているので、折り曲げで封をする
交換作業をじっくり見てはいたが、その時は理解しきれなかった。
(※上記は自分でやり始めて理解した内容)
もう一度お願いしますと言えるような作業でもない。
動画でも撮ればよかったと思ったが、また見る機会があるだろう。
そう思いながら、ストーマ交換作業の講習は終わった。
看護師は片付けをしながら、
「ストーマ業者はどこか考えられていますか」
と尋ねてきた。
初めての経験なのに、どことか考えるも何もない。
そういえば御袋が入院してから、このような質問が多いことに気づいた。
そのためこのようなやり取りはもう慣れてきた。
「いえ、全くわかりません。どちらか紹介してもらえますか」
「そうですよね。当院で利用している業者でもよろしいですか。価格が一番安いというわけではありませんが、安心できる業者です」
「そうですか。判断もできないので、お願いいたします」
「この業者は特典でストーマを切る専用のハサミがもらえます。高いものではないのですが、わざわざ買う必要がないのでお得ですよ」
「そうなんですね。助かります」
そう言うと、看護師は退室した。
ストーマの交換作業に一抹の不安を抱きながら、講習は終わった。
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