見えない壁を破れない若者
両手に杖をもって歩いているおじいさんに、困りごとはないですかと話しかけた。すると、足を生やしてくれといわれ少し戸感った。足はちゃんんと両方あるのに何を言っているかわからず、詳しく聞くみると義足だということが分かった。
その方がいうには、肺炎になって酸素が全身にまわらなくなり、足が焼死してしまい切ることになったらしい。
ものすごくパワフルなおじいさんで、足がないことを感じさせない陽気な雰囲気を醸し出していた。話しだしたら止まらないし、冗談もいうし、自分用に左足だけで運転できるよう車を改造してもらったり、生きることへの貪欲さを感じる。身上の方の心意気とはこうでないと、と教えていただいたようだった。
それもそうなのだが、その方の若者への情熱がすごくて、それがぼくのなかで刺きった。
今の子達は口がうまい。賢いし、器用な子も多い。ただ、いまひとつ何かが足りない。見えない壁を破れていない、本物にはなれていないというようなことを言っていた。
その方は建続会社を経営されていて、若い人との付き合いのなかでだんだんそういうふうに感じるようになったという。
正直、ぼくは何に対して本物になればいいのかわかっていない。少し前のぼくは植木屋で一番になる気でいたか、すぐに諦めてしまった。いまは天理数の道で頑張っているのだか、お道のすごい人たちには敵わないなとすでに思い始めている。
しかし、今日寮長先生に「夢を持て、諦めるな」と言っていただき、逃げている自分に気がついた。
ぼくは自信家でおぢは帰参も初席者もすぐにできるとたかをくくっていた。が、そんなに簡単なことではなく、本当に一筋の光明も見えていないように思う。なんとか都合のいい言い訳をして、目標を下方修正してしまっている。
もうすぐ2ヶ月が過ぎてしまうが、まだ時間はある。本物になるべく必死になろう。