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子供と2人でぶっつけ旅・バルセロナ編

昨年末の旅のお話。

以前からこちらのnote を訪問頂いてる方はご存知かと思いますが、我が家(もしくは夫)の辞書に「旅行計画」の文字はありません。

昨年末のホリデー、慌ただしく乗った飛行機の行き先はバルセロナでした。いつもながら、行き先が決まったのは前日、パッキングはその日の朝。

バルセロナに着いた翌日に、夫と長男はスペイン領の南方の島に飛ぶ、と。ウォータースポーツ気分でない私と次男は、バルセロナに残留することに決めました。

家族が二手に分かれる前の夕食。
たまたま見つけたバルは味も雰囲気も大当たりでした。
生ハムとパン・コン・トマテ。
バルセロナらしい場所で名物を堪能できたのはこの晩だけ。

家族といえど趣味ややりたい事がいつも一致するわけではありません。
子供たちは手がかからなくなってきたし、別行動する選択もありですよね。さすがに今回は思い切りましたが。

オーバーツーリズムと言われるバルセロナ、そしてクリスマス前のピークシーズン。普通なら何ヶ月も前から調べて、観光名所を予約するであろう人気都市で、小5男子とのぶっつけ旅が始まりました。
そんな旅の思い出を写真と共に振り返りたいと思います。

現地で全てを決める

バルセロナについてほぼ予備知識がない私を助けてくれたのは、携帯やPCに収まる数々のテクノロジーたち。
残留を決めた瞬間から、GoogleとチャットGPTとエアビーとGetYourGuide、そしてGoogle Mapをフル回転。

滞在日数を5日間と決め、まずは泊まる場所を確保。選んだエアビーは市内に程よく近く、駅や食料品店にアクセスのよい当たり物件でした。
足となる地下鉄・バスのシステムを調べ、回数券を購入しておきます。

食事は自炊で節約したかったのと、洗濯機使いたかったのでエアビーにしました。
市内まで地下鉄で15分ほど。4階まで階段あがるのだけ大変でした。

旅の土台が決まり、次に決めるのは具体的な観光プラン。AIに「小学生男子と2人で行くおすすめプラン」を挙げてもらい検討します。

バルセロナと言えば、サグラダ・ファミリアは外せません。
調べると、ガウディの建築はいくつかまとめて世界遺産になっています。
となれば、ガウディの有名どころを中心に見て回ろうかな。

ひとまず、バルセロナ観光のメイン柱を3つ決めました。

  • ガウディ建築めぐり(世界遺産から4つ)

  • 市場で美味しいものを探す

  • 水族館(次男の好きな場所に行くのが重要ポイント)

ひとつ困った事がありました。サグラダ・ファミリアをはじめ、人気どころのチケットはオフィシャルサイトではほぼ売り切れ。そりゃそうですよね、人気都市で、行き当たりばったりで世界遺産観光できるほど世の中甘くありません。

そこで助かったのがGetYourGuideアプリでした。ほとんどのチケットが直前でも手に入ります。(もしや彼らが買い占めてるから?)
やや割高にはなりますが、良識の範囲内ですし、いろんな工夫を凝らしたガイドツアーもあります。使い勝手も良き。

GetYourGuide アプリ。
英語が多いですが、文化体験などたくさんのアクティビティが揃ってます。

小学生も楽しめるガウディ

ガウディのカラフルで独創的な建築は子供の遊びごごろに通じるのか、小学生男子の好奇心を刺激したようです。

奇想天外に見えて実は幾何学的に考え抜かれていたり、効率的に機能する新しい構造を生み出したり、その一方で伝統や宗教的な要素を取り入れていたり。その多様さと奥深さがしびれるところです。

自然界をよく観察してアイデアを得たそうで、バランスがとれた、自然と融和したエコシステムを内包しています。柱や窓の形態、壁のカーブの隅々まで彼の哲学が反映されています。まるで物語を見ているような建築です。

いよいよ完成間近と言われるサグラダファミリア。
光が美しくとりこまれ、柱は木の幹のよう。
自然とキリスト教の融合がテーマとか。
ファザード(側壁)の装飾の一部。
ひとつひとつが本当に細かく芸術的。
日本人の彫刻家の方も活躍されているそうです。

ガウディが作った聖堂や邸宅、アパートを歩き回りながら見学するのですが、感覚的には美術館でアートを見て回るような面白さがあります。もしくはジブリの世界にいるかのような。

カサ・バトリョ(ガウディにより改装されたバトリョ邸)
カサ・バトリョは、海や波をイメージした曲線美が特徴。
骨、ドラゴンなどがモチーフの装飾があり、海の中の不思議な世界に来たかのよう。
カサ・ミラ 。波打つ岩肌のような外観で、「石切場」との別名も。
ミラ家の邸宅兼アパートとして建築されたが、前衛的すぎて賃貸に苦戦したとか。
屋上テラスは煙突や換気塔が彫刻のよう。
戦士の頭のような煙突もあって、まるでスターウォーズの世界。

息子はオーディオガイドを聞きながら、あちこち探索を楽しんでいました。
私もすっかりはまり、ガルディ・ガイドブックを購入。
マイナーな建築も訪れたくなったのですが、ガウディにお腹いっぱいな息子の様子を見て自分にブレーキをかけました。

大人気、グエル公園。
理想の住宅地として建設されたが、売れ行きが悪くて頓挫したプロジェクト。
有名なドラゴンでは写真撮影の列ができ、みなのキメキメポーズを見てるだけで面白い。

ガウディ建築をいくつか見て回ったせいか、バルセロナの印象は、ガウディの印象そのままの、豊かな色彩の都市として記憶に刻まれました。

ガウディ建築では、大勢の観光客でごった返していました。チケットは細かく時間指定して販売され、オンラインチケットのQRをかざして入場。オーディオガイドを申し込むと、日本語で説明を聞けます。効率的な観光客さばきと、多様なニーズへの対応を整えていたのも印象的。

ガウディだけでどれだけの観光収入があり、この都市を潤わしているのだろう。そういう意味でも、現代でも、そして未来まで偉大なガウディです。

バルセロナこぼれ話し

旅は偶然性が楽しい。プランしていなかったところから (はじまりから無計画旅だったのは置いといて) 意外な物を見つけたり、発見するところに旅の面白さがあります。

クリスマス・ライトアップ

スーパーを探して駅の近くを歩いていた時、長い行列ができているのを見かけました。何だろうと近くまで行くと、クリスマスのライトアップイベントがある様子。

聞いてみると、その場でチケットが買えるよ、と。薄着で来てしまったので迷いましたが、せっかくだしと購入して入ってみました。
中では何やら立派な建物群がプロジェクションマッピングされていて、クリスマス雰囲気いっぱいのキラキラした展示が広い敷地のあちこちに。

ライトアップされた歴史的な建物。

帰ってから場所を調べてみると、そこは、サン・パオ病院跡地。20世紀初頭の美しいモダニズム建築として、世界遺産に登録されています。そんな華麗で歴史的な建物の敷地に私たちは入っていたのでした。

クリスマスの丸太

ライトアップ・イベントでも見た、赤い帽子をかぶり、顔のついた丸太。
「なんで丸太が?」「機関車トーマスみたいだね」などと息子と話してたのですが、調べてみてびっくり。

愛嬌のある丸太くん

この丸太はカタルーニャ地方の伝統的なクリスマス飾りで、その名は「カガ・ティオ」。訳すと「うん○丸太」。

12月に入ると家に飾った丸太に少しずつ食べ物を与え、クリスマス当日になると子供たちが棒で叩きながら「丸太くん、うん○して」と歌を歌うそう。すると中から(親が隠しておいた)お菓子やプレゼントが出てくる、という風習。

こんな感じでクリスマス・マーケットにありました。
画像はWikipedia より

なので、バルセロナにはサンタはいません。丸太くんだけでなく、この時期になると有名人や政治家の「うん○人形」が巷で売られるのだとか。面白すぎます。

お目汚しごめんなさい。

ロマネスク・コレクション

最終日、フライトまで時間があったので行ってみたのが、カタルーニャ国立美術館。
そこで展示されているロマネスク美術に圧倒されてしまいました。

フレスコ画が、教会の壁から切り抜かれた形で展示されています。

11-13世紀の教会に飾られたフレスコ画の数々。
その当時の宗教世界観が土着的かつ象徴的に、そして色鮮やかに残されていて迫力があるのです。

絵を見ながら謎解きするような面白さがあり、たくさんの目がついた羽、蛇やドラゴン、鷲などが意味深に描かれていて、次男も鑑賞を楽しんだ様子。

たくさんの目をもつのは、セラフィムといわれる最高位の天使とのこと。
目は、知恵や霊的な象徴。
動物は、聖霊や悪の象徴として描かれる。

世界最高峰のロマネスク・コレクションとのことで、これは来てよかったと大満足。丘の上に立つ美術館は歩いても楽しいし、屋上からの眺めもよく、その割にガウディほど混んでおらず、穴場かもしれません。

屋上テラスからの眺め

ぶっつけ旅行ではありましたが、バルセロナは小学生と楽しく旅行できる都市でした。

最近はインバウンド飽和状態と言われるし、物価が予想より高く感じたのは正直なところ。
ですが、地下鉄・バス、Uber など交通機関は便利で何の問題もなく使え、危ない目にあうこともなく、スムーズに観光してまわることができました。

クリスマス時期で一部クローズだったボケリア市場。
バルセロナ最大のマーケットで、観光客がこぞって訪れます。
名産、イベリコ豚の生ハムやチョリソーが豊富。
まとめ買いしたかったけど、思ったよりすいぶんお高い。
結局スーパーで買ったのですが、十分に美味しかったです。
インスタ映えするディスプレイがたくさんで目に楽しいのですが、
イベリコ・コロッケはできたてじゃないし、うーん、と思いました。

観光地では、英語で尋ねてもいつも親切に対応してくれ、現地の人の印象はかなりよかった。もちろん一部しか見えてないのでしょうが、言われているほど観光客に疲弊してる印象はなかったです。

何はともあれ、息子とはぐれることなく、携帯を失くしたりスリにあうことなく、無事に元気に旅行できたことにほっとしつつ、バルセロナを発ちました。

続く

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