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私たちがノルウェー・スタバンゲルに来た理由

2021年秋から2022年夏までの約10か月間は、私たち家族にとって漂流民のような時期でした。去年の秋時点では、ノルウェーは自分たちの暮らしには全く関係のない、遠い世界だったのです。

20年間シンガポールで生活し、まだしばらく南国の都会暮らしが続くと思っていたのに、なぜ今スタバンゲルにいるのか。図に表せば、

子供の進学 X 夫の仕事 = ノルウェー

と、なりそうですが、もう少しいろいろ絡み合っているので、大きく3つの要因をもとに、時系列に並べてみました。

なぜシンガポールを離れるのか

20代後半から20年暮らしたシンガポール。永住権を取得し、仕事もあったのに、なぜ離れるのか。
実際、女性にとって働きやすい環境だし、教育レベルは高く、治安がよく、日本のものは何でも手に入る。私としては正直ずっと住み続けてもよかったくらい。

私たちがシンガポールを卒業する決断をした要因は大きく3つ。

  • 長男のローカル小学校卒業試験
    シンガポールでは現地公立校に通っていた長男。現地の教育システムでは、卒業時に PSLE といわれる全国試験があります。その結果で将来が左右されると信じる親も多く、子供たちは必死に勉強します。目標に向かって勉強を頑張り成長する子も多いと聞きますが、長男の場合、最後の1年があまり充実したようには見えませんでした。ここの教育システムは長男にとっていいのか、疑問が出てきました。

  • 2年間の厳しいコロナ規制
    シンガポールのコロナ対策は対応が非常に早く、そして徹底していました。規制が次々にアップデートされ、罰則が科されます。他国でも同じ状況だったとはいえ、政府の強権度や自由の権利に対する国の方針に、夫の不満が高まりました。

  • 夫と息子の日本への愛が大きすぎた
    シンガポールのあとに住みたい国、夫と息子たちは迷いなく「日本」でした。
    息子たちは、コロナ禍前までは毎年のように、長期休みは日本に帰省していました。私の地元の小さな小学校で体験入学し、いつも楽しい思い出しかなかった子供たち。日本が一番の憧れでした。
    そしてシンガポールで同じく20年生活した夫ですが、シンガポールは仕事のためと割り切っており、内心は常に日本を恋しく感じていたようです。

生活しやすく、夫婦ともに仕事的によい環境とはいえ、永住する覚悟はなかった私たち。シンガポールを離れるタイミングを作ることの方が難しかったので、長男の中学進学がタイミングだという納得感がありました。

日本に本帰国したかったのに、なぜ日本じゃないのか。

長男の卒業試験が終わるとともに、いったん日本へ帰国したのですが、一番の問題は長男の中学校をどうするか。

シンガポールの現地校で6年間、英語ベースで教育を受けてきたので日本語が弱いのです。

選択肢1:公立中学校。
次男は小学校低学年なのでまだどうにかなりそうなものの、長男は公立中学校で日本語での授業についていけるのか。小6まで学んだ英語を忘れないためにも、英語で教育を受けられるところ探した方がいいのではと二の足を踏みました。

選択肢2:私立中学校
私立中学校には、帰国子女枠があり、英語で授業のある学校があります。主に夫のサポートのもと、長男は短期決戦でお受験に臨みました。準備と実力が足らず残念な結果になりましたが、きっと合格していても長男には学力とカルチャー的に苦しい環境になったかなと思います。

選択肢3:インター校
おそらく長男には一番無理なく馴染めそうなのですが、授業料の負担も一番大きくなります。日本のインター校の特殊性も気になります。


日本で中学校生活を送りたいのに、ベストな選択肢が見つからない。長男にとっても、ちょっとつらい時期だったと思います。

この間、長男は関東の夫の実家で受験勉強、次男は私の地元大分県で体験入学したり、夫はシンガポールだったり。そしてインター校見学で環境が気に入ってしまった長野県白馬村で3か月間短期移住してみたり、短期間で国をまたぎ3つも学校が変わったし、友達も変わったし、めまぐるしい移動生活を行いました。

どうしてノルウェーなのか

夫は数年前、アメリカの会社からノルウェーの会社にシンガポールで転職しました。ノルウェーが好きだから、ではなく、たまたま彼の職種で働ける先だったから。そして、日本に支店があり、あわよくば日本で働けると狙っていたから。

長男の中学校が日本で決まらない状況の中、ノルウェー本社で駐在という選択肢が夫の中に突然出てきました。
本社のある町にはインター校があるし、ノルウェーの大自然の中、子供たちはのびのびと生活できるのではないか、きっと長男にはそっちが合っている、と。

背水の陣で会社に掛け合い、幸運なことに転勤は承諾されたのでした。

そんな経緯で決まったのがノルウェーです。
いくつもの要因が混ざり合い、私たちの今のタイミングではノルウェーがきっとベストだ、と。
数年後、やっぱりノルウェーがベストだったね、と家族で言い合えることを願って。

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