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「ベンチャーを狙う詐欺師」を巡るあれこれ

「再開」後初投稿が人の書いたものに乗っかったもので良いか否かはおいといて、以下の記事、僕も「詐欺師」の類なのかな(笑)と思いながら読むうちに色々ツボにきたので拡張してみます。

ベイエリアで長いこと創業者の出身地を問わずスタートアップに関わり、経営者、取締役、アドバイザーやコンサルタントと言う内外両方の視点から見てきた経験からつい一言言いたくなったのです。

以下めがねシャチョウさんの元記事より長いんじゃないか、という一文です。Facebookに投稿したものにちょっと手を加えただけなので「内輪向け」「(コンテクスト知らないと)断片的」な表現があるかもしれませんがあしからず。

株式を「あげる」こと、「もらう」こと

多少経営上・技術上の相談に乗って株を要求する「ストックオプション(SO)泥棒アドバイザー」と言われる人は当地にも少なからずいます。スタートアップ側にもまとまった資金調達前にはつい「株かオプションで払っとこう」に流れがちですし、受け取る側も「あわよくば」なノリで特に他に収入源のある人ほど株を求める傾向があります。端的な例が昔はよく言われた「シリコンバレーでは弁護士や会計士も株で払える」ですが、それら「会社の法制・規制遵守の見張り役」に「株価の最大化」というインセンティブを与えるのは作為性・無作為性を問わず将来の禍根を断つという意味でも避けるべきことだと思います。

また「この人(業者)が何で株やSO」持ってるの?というのは資金調達時のデューディリジェンスの中で結構聞かれることでもありますので「どういう仕事に対し株発行したか、今も役に立っているのか」が正当化できないような相手と仕事には株は出さず現金で…というか最初っから関わり合いになるべきじゃ無いです。ただし、いくら長期にわたるコミットメントが大事、とは言え時々お見受けする「創業時に株上げたんだから未来永劫に亘りタダ働きしろ」的発想は評判下げる元ですし、ろくな人も集まってきません。資金調達したりキャッシュが回るようなったら「ここからは現金もお支払いするので良い仕事続けてください」と言える相手と付き合うべきです。

「共同創業型詐欺師」について

最近では先達起業家の知恵が敷衍し、起業チーム組成そして創業当初の会社を真っ当に支援する人的組織的インフラも整っているので「詐欺」というほど悪質なのは減ったとは思いますが「君のアイディア・技術に自分の(言うほどの額ではない)お金と(それほど強く無い)人脈を組み合わせよう」的な経緯で始まった会社や「自分のビジョン・アイディアを実現してくれる『技術屋共同創業者』(=本音:少数持分株式で「雇える」技術者)を探している」起業家は良く出会います。どっちも関わり合いにならない方がよろしいです。

「資金調達の蜜に群れる蟻たち」のこと

これについては会社の内外両方の立場で苦い体験をしてきています。「お金の無い時に時間費やしてくれた人」は大事にしましょう。「見返りを期待していない」と称する人も貢献してくれたのであればせめて公の場で感謝し、その人のキャリアや評判を高める形でお返ししましょう。そういのが「相互理解と信頼」に根ざしたネットワークになって行くので自社そして自分のためにもなりますし。そりゃ後から株とかもらえれば嬉しいですけど。そして文中の「資金調達するよりも、お金を適切に使うほうが本当に難しいです」はその通。そして「適切な使い方」の判断は財務担当者の責任ではありません。せいぜい「適切に使われたか」を「適切に記録し、伝える」です。

「西麻布ウェイウェイ友人」って…西麻布ってそんな街だったっけ?

25年以上前に日本離れた身からすれば「銀座で豪遊する友人」と称してくれた方が分かり易いですが(苦笑)、当地住んでると想像の遠く及ばぬレベルのお金持ちは嫌になるほどいます。「張り合ってプライベート支出増やす」ことのできる相手ではありませんし、自分の同級生、元同僚、後輩、何となく軽んじてた知人が気がつけば大金手にしていることも多いので毎日自尊心を抉られることになります。この点につき個人的体験語り出したらキリないですし、一般的な解消策は持ち合わせておりませんが(あったらそのノウハウ売って儲けます!)おごってもらえる時は遠慮なくおごってもらいつつ「たかり・取り巻き」にならぬよう自分の中でどこで線を引くかを意識しましょう。場合によっては「疎遠」になる覚悟で。

相手を学び、自分を省みて、自分の身は自分で守る

僕自身が上記1~3に陥らぬため、特に初めて仕事する相手に対し心がけているのは「報酬の話は自分が何かデリバーした上で、相手が価値を見出した上で行う」ことです。最初の持ち出しは覚悟した上で「こいつが継続してサポートしてくれればもっと価値ある」と思ってもらえることが大事です。その「持ち出し」が「まったくの無駄」「つけ込まれた上でのタダ働き」になるかならぬかは自分の才覚次第だと思い、また相手(起業家)の能力や度量(の有無)を学ぶ機会でもありますし、そこで「こいつとは無理」と思ったらどんなに魅力的に思える機会でもろくなもんじゃないことが多いので「自分を投資する際のデューディリジェンス」だと思います。その上で良好な関係が築けそうだと双方判断すれば、次のステップは「市場相場に根ざした誠意ある(in good faith)報酬交渉」です。

最後に「雇う側(スタートアップ)」向けに一言。「共同創業型詐欺」の項目に「共同創業者のつもりだけど雇われているだけ」な人、という話がありましたが裏を(良い方に)返せば「雇われているだけだけど共同創業者と同等に入れ込む」人の存在、さらにはそう言う人が雇われたくなるような場を作り出すのは創業陣の責任です。そして「値段の高い人」から「払う以上の成果を引き出す」のも同様です。


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