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Guessの勘繰り〜日本のスタートアップのNASDAQ上場プロスペクタス読んで見えたこと
EC のEDGARデータベースで最近の日本企業のNASDAQ上場プロスペクタス(目論見書)を数件閲覧。以下に企業名特定せずにそれらから見えたものを書き出しておく。
日本のスタートアップのNASDAQ上場と言っても、Small-Cap (penny stock) 市場であるNASDAQ Capital Market に日本では非公開のまま、ADS (American Depository Shares)として上場するのは形式的な基準を全部満たす「合法」な取引ではあっても、まず長期保有してくれるような機関投資家への販売は行われないし、IPO以降同市場で株式(ADS)追加発行して資金調達することもまずできない。
そして上場と抱き合わせで一部(少数)投資家の株式を追加でADS化してNASDAQ CM で売り出す、という例を見ると煙たい投資家に現金化手段を与えてお引き取り願うための上場、とも取れる。
また別の例では上場しても新株引き受けているのが日本で出資しているのと同じ投資家、というのを見ると「ためにするNASDAQ上場」で既存投資家のエグジットでもないし新規資金調達もできない(するつもりもない?)、とこれは劇場型上場とでも呼ぼうか。
「NASDAQ上場業者に騙されている」みたいな論調もある様だけど、いくら英文でも、業者に用意させたとしても経営陣と顧問弁護士がプロスペクタス読まずにOKするわけはないのでどんな事情あっても「片棒担いでいる」のは事実。
日本で公開済で、より上場基準そして上場後のコンプライアンスの厳しいNASDAQ Global への上場そして引受証券会社が定評あるところならまともな上場、とは言えるけどそれも米国で事業展開していなかったりすると「上場しているけど株主基盤が脆くて国内市場でこれ以上資金調達=新株株発行できない(株価が下がる)のかな?」などと勘繰ってしまう。
NASDAQ、黒字化どころかまだ製品できていない(見通しはあるけど)創薬スタートアップが、きちんとリスクリターン評価できる長期保有型機関投資家に株売ってIPOできる(世界唯一の)市場ではあるけど「なんでもあり」じゃあないので上みたいな例があんまり増えないと良いけど。そして株式市場は長期保有して毎四半期に会社に成長圧かける機関投資家あってこそ。
Guess の勘繰り*込みですが以上。
* = 清水義範「序文」(「蕎麦ときしめん」収録)より。