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起業エコシステムは確証バイアスの温床

以下先日Facebookに投稿したものをそのまま転載したものの最後に1段落付け加えています。

起業家そしてアーリーステージにとって最大の危険は「確証バイアス(confirmation bias)」。狭い意味では自分の仮説(=事業成功可能性)について都合の良い情報だけを集めることだが、実態としては、

①《同類承認の罠》ある程度先行し成果を上げた起業家仲間からの応援と自己投影を含むフィードバックを「成功への承認」だと勘違いする。

②《おこぼれに預かりたい業者の罠罠》自社と自分が成功しようがしまいが何かを「売りたい相手」の意見をそのモチベーションを考慮することなく鵜呑みにする。

③《お仲間市場の罠》他のスタートアップや起業家に製品を売ってプロダクトマーケットフィットを確認した、と勘違いし、いざそのコンフォートゾーンの外で売ろうとすると売れず成長が頭打ちになる。

特に③に関しては酷い場合は「他の先進的スタートアップに売れているのがディスラプションの証拠」という思い込みに至り創業者がメディア登場やイベント登壇に走ることあり。

そしてこれまたありがちなのが同じ投資家やアクセレレーター・インキュベーター発の「同族エコシステム」内では売れるけどその外では通用しないケース、そしてその延長線上にある「シリコンバレー限定の成功」。ライフスタイルがらみのスタートアップに特に多し。

そこでなまじバリュエーション上がってしまっていざエグジット、どころか次の資金調達、のハードルばかり高くなっていることに気づいた時には自社のカテゴリへの投資ブームがとっくにピーク越えていて時すでに遅し、みたいなケースを何度見てきたことか。

「繁栄したエコシステム」のダウンサイドは逆風に著しく弱い「温室育ちスタートアップの乱立・濫立」だよな、と当地のアップダウンの波を数え方次第だけど3〜4回経てスレ気味な自分などは思う次第です。

そういうサイクルに必然的に伴う死屍累々たるスタートアップの淘汰の中で「痛い目にあった学び」を得た起業家や投資家が増えることが次のサイクルにつながって世界変えるようなイノベーションをその過程で生み出すわけです。

この「失敗と学習・巻き返し」がもはや文化の根底にあるからベイエリア、というかアメリカは強いしまた特異な国だと思ってます。「失敗すると次の保証された成功を求める」体質の国民性とは比べられません。

などと今日もまた確証バイアスにみちみちた起業ピッチを送られた立場から申し上げます。

そういった確証バイアスは本人の世界認識をいささかキツい言葉を用い破壊ではなく解体した上で伴走者として一緒に再構成することによってしか排除されないよなあ、と常々思っている、とだけ最後に付け加えておきます。

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