材料が何もないとき、お煎餅にありあわせのチーズ、バターをぬってつまみにしていました... - 忘れがたいことば
黒澤和子『黒澤家の食卓』より引用します(太田和彦編『今宵もウイスキー』所収 の”ウイスキーと美味しい話”より)。
黒澤和子さんは、あの黒澤明の娘です。
黒澤のために、酒のつまみを用意されていたそうで…
”お客様の時や夕食前からの晩酌には、必ず各種のつまみを用意しましたが、平素の夕食後に、さあ酒を飲もうかというときにはありあわせの材料で、即席につまみを作ります。
材料が何もないとき、お煎餅にありあわせのチーズ、バターをぬってつまみにしていました。
料理で残った鶏の皮があれば、カリカリにして塩をかけてつまみに、茶漬けの残りの酒の皮もカリカリに焼いてつまみに、ベーコンは常備品なので、何もなければこれもカリカリに焼いてつまみにしました。(以下略)”
黒澤の酒が主にウィスキーだったこと、晩年にも”ホワイトホース”の8分目まで一晩で飲んだことがあったなど、おもしろい話をいろいろ読ませてもらいました。
引用した部分の” 以下略”の後も、実にうまそうなつまみの描写が続きます。
「食べ物にもうるさかったのだろうな、世界の黒澤は」と思いました。
それはともかくとして、実は…
今日の晩酌で私、引用の冒頭にある、”お煎餅にありあわせのチーズ、バターをぬってつまみに”ってのを試してみたんです。
ちょっとつまみが欲しいな、と思って。
今回は、”塩せんべいにスライスチーズをのっけて”食べてみました。
これがおいしい。
ビールによく合う。
こんなにかんたんで、うまいとは。
いわゆる”チーズおかき”とは、おいしさがちがうんです。
チーズのやわらかさ、もっちりした食感に、カリカリの塩せんべいがよくあう(ちなみに塩せんべいは、たまたま家にあった”星食べよ”)。
味も、チーズの濃厚な風味と、塩せんべいのコメの味がまたよくあう。
チーズと、塩せんべいの絶妙のコントラスト、コンビネーション。
これは”当たり”でした。
そんなに金をかけなくても、おいしいものにありつけるんだなあ。
幸せ。
また食べよう。
そんな気分でした。
よろしかったら、ぜひお試しを。