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展覧会レビュー:江之浦測候所

MOA美術館に行った翌日、江之浦測候所に行ってきたので、その感想を書きます。(約3,200文字、写真約40枚)

結論から言うと、非常に良かったです。おすすめ度★4です。
神社と美術館の中間のような印象でした。1)大自然と融合した建築が素晴らしい。2)展示物のチョイスが予想外のものばかり。3)散策はまるでスタンプラリーのようで楽しく、気持ちもリフレッシュできる。
アートに興味ゼロの人でも楽しめたり、何か得るものがあると思います。

2日前までに要予約

2日前まで予約できます。1日前になると予約ができません。
予約をしそびれた人は、行きたい日の当日9時から電話で予約ができます。料金は事前予約よりも500円高い3,850円になります。
人数が限られてる上に値段も上がるため、必ず2日前までに要予約です。
私は予約しそびれたため、当日9時に電話して参加することができました。

アクセス

江之浦測候所にへは、根府川駅からバスを使って約10分で到着します。
根府川駅は熱海から3駅、小田原駅から2駅の場所に位置しています。
ちなみに無人駅。初日の出のために、元旦はたくさん人が来るようです。

改札はありません。ハイキング前には要ストレッチ
予約時間にバスが来ます。待合場所に江之浦測候所に関する看板はありません

江之浦測候所について

小田原文化財団の設立者、杉本博司は以下のようにおっしゃっています。

今、時代は成長の臨界点に至り、アートはその表現すべき対象を見失ってしまった。私達に出来る事、それはもう一度人類意識の発生現場に立ち戻って、意識のよってたつ由来を反芻してみる事ではないだろうか。
小田原文化財団「江之浦測候所」はそのような意識のもとに設計された。
悠久の昔、古代人が意識を持ってまずした事は、天空のうちにある自身の場を確認する作業であった。そしてそれがアートの起源でもあった。 新たなる命が再生される冬至、重要な折り返し点の夏至、通過点である春分と秋分。天空を測候する事にもう一度立ち戻ってみる、そこにこそかすかな未来へと通ずる糸口が開いているように私は思う。

リンク

「測候所」とは気象観測をする地方機関だそう。この施設には春分、夏至、秋分、冬至の日の出を最適な角度で眺められるポイントがつくられています。それがメインの役割であるため「江之浦測候所」というのでしょう。

敷地内には約60の様々な展示物が置かれています。それらにキャプションは何も書かれておらず、充実した作品リストを手がかりに散策します。「ここに置いてあるのは…、作品リストのxx番か!」というように、まるでスタンプラリーのようで楽しくもありました。天気がいい日は特に最高です。
なお、歩くのが大変なため、必ず歩きやすい靴で行きましょう。

展示物は、淀川に置いてあった何の変哲もない道標から、春日大社より御霊を勧請したお社まで様々なところから様々なものが集められています。まるで先人たちのオールスターズ、アベンジャーズという感じ。それらに囲まれた場所にいると思うと神妙な気持ちになりました。

入場料は3,300円と安くないが、その価値は十分にあると実感しました。

なお、ポストカードを売ってくれたらもっと嬉しかったです。小田原文化財団のロゴグッズとか作れば、ひょいひょい売れそうな気もします。また、作品リストをHPにも掲載してくれると助かります。

入場した後、小田原文化財団のロゴが書かれたシールを胸に貼ります
「江之浦測候所参道」。バスから降りて最初にある展示物
駐車場からの風景。まさに杉本博司の作品が目の前に広がっている感覚
まるでジャングル。熱帯に来たような木々が参道にたくさん
「赤沢蜂巣観音」。観音像に蜂が巣を作った人蜂合作の仏様。考え方が現代アートの域
「明日門」。元々は室町時代に鎌倉の明日院につくられたものが、ビール会社創業者の家、根津美術館、その後、ここへ寄贈。解体、修理、再建されて場所を転々をするのは興味深い
「夏至光遥拝100メートルギャラリー」。海抜100メートル地点に100メートルのギャラリーが立つ。夏至の朝はこの先端から日の出が見られるとか
横から見た風景。ガラス板が柱なしに37枚自立しているらしい
下から見た図。シャキーンと直線的な美しさ
「夏至光遥拝100メートルギャラリー」の横の通路。地面の石畳が地味だが幾何学的で美しい
「冬至光遥拝隧道」。冬至の日の出が見えるトンネルで、その上も歩ける
「止め石」が様々な場所に置かれており「この先入るべからず」を意味する。ちょこんと可愛い
トンネルの中からの風景。「人の最も古い記憶」を現代人の脳裏に蘇らせるために構想されたそう
下から仰ぎみた風景。自然の中にガチガチした金属がいい感じな違和感
トンネルの中に鏡があったので撮影。この鏡の目的は不明
「光学硝子舞台」。吉岡徳仁を思わせるような作品
「光井戸」。雨の日は上から雨が滴ってくる仕組み
井戸の中には光学硝子破片が敷き詰められています。キラキラ綺麗
「日吉大社礎石」。日吉大社の旧神宮寺跡からお引越し。織田信長の比叡山焼き討ちの火中にいたかも?
「鉄宝塔」。西大寺の系列に属する工人の作と推定らしい
茶室「雨聴天」と「石造鳥居」。石を積み木のように置いた珍しい鳥居
茶室「雨聴天」内の掛け軸
「隠れキリシタン地蔵像」。背面に十字架が刻まれています
「石棒」。縄文時代後期の細長い石だそう。硝子のお社に祀られています
「数理模型0010」。数学上の双曲線関数を目に見えるように模型化したらしい(意味がよくわからない)。先端は5mm
途中にみかんが成っています。絶対勝手に食べちゃダメ
大きな筍が所々に生えています
「道標 右堺大阪道」。淀川のほとりに立っていた道標で「道中安全」と彫られています。別に有名でもなんでもない道標を持ってくるセンスが好きです
「甘橘山 春日大社」。日本最古の春日造りである奈良・円城寺の春日堂を採寸、写した。2022年春に奈良の春日大社から御霊を勧請したらしい

春日大社国宝殿に行った際にも、江之浦測候所について少し説明がありましたが、当時は全然伝わってきませんでした。しかし、その時に名前とざっくりした場所だけでも覚えたことが今回の訪問につながりました。感謝。

上から見た風景。自然にさりげなく馴染んでいます
レモン(?)
季節によって桜をはじめ、様々な草花を見ることができて癒されます
「石舞台」。アメノウズメノミコトが、隠れてしまった天照大神を誘うために舞ったのが最初の”芸能”。奈良のおん祭りでは芝生の舞台で奉納の舞が演じられることが”芝居”の語源らしい
「藤原京 石橋」。なんと奈良の藤原京から発掘された石橋を持ってきたらしい。チョイスがすごい。運ぶの大変そう
「ストーンエイジカフェ」。みかんジュースが飲めます
自家製柑橘スカッシュ (ICE) (¥500)
ここに座って飲むスカッシュは今までで最高の味
記念撮影

まとめ

いかがでしたでしょうか?地図がないと全体像が分かりづらいかもしれません。まるでスタンプラリーをするかのように広大な敷地内に予想できない展示物が約60配置されていました。日本中からやってきた元は誰かの遺構。それらが1箇所に集まることで何だかすごく神妙な気持ちになりました。
アートに興味ゼロの人でも、大自然の中を散策するのは気持ちがいいし、貴重な経験が記憶に残ると思います。熱海や小田原観光に是非組み入れては。

補足

展覧会名:ー
場所:江之浦測候所
おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★★★
ベビーカー:無理です
会期:ー
住所:神奈川県小田原市江之浦362番地1
アクセス:根府川駅からバスで約10分(要予約)
入場料(一般):事前予約3,300円、当日券3,850円
事前予約:2日前まで
展覧所要時間:2〜3時間
混み具合:休日でもほぼストレスフリー
展覧撮影:全て撮影可能
URL:https://www.odawara-af.com/ja/


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Naota_t
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