ユーティリティシャツのカスタムとは
試運転で作業もしています。
当店がどんなお店なのか説明するのに
ユーティリティシャツのカスタムを見ていただくのが
一番分かりやすいのかもしれません。
と言う事で
リニューアルオープン前に常連さんから
オーダーいただきたユーティリティシャツを
制作していきます。
昔から見てくれてる方には
それほど珍しい光景ではありませんが、
新しい方には新鮮な作業だと思います。
そもそもユーティリティシャツは
1st、2nd、3rd、4thと大きく4種類に分かれます。
初期1stは50年代の後半からで、
最終の4thは76年までとなります。
OG107と言うコットン100%しか
当店では扱いませんので76年を最終としていますが、
OG507と言うポリエステル混紡がその後には登場します。
そのユーティリティシャツを
半バラして、再構築するのが当店の
カスタムユーティリティとなります。
これは2ndです。
生産年数が短いのでユーティリティの中では
最も見つけにくいモデルとなります。
作業に入りますと、
集中していますし、手も汚れるので
写真撮る事はほぼ無視しています。
面倒ですが再構築に邪魔なので
パッチも外していきます。
ユーティリティシャツには
前立てにステッチがありません。
うちのカスタムはこの前立てに
ステッチを入れる作業が肝です。
ここにステッチを入れる為には
裾をバラす必要があります。
前立てが三つ折りされてるのが
2ndの縫製的な特徴。
3rdでも三つ折りですが、
大きさが小さくなります。
この裾の三つ折りと、
前立ての三つ折りが重なると
厚みが出過ぎるので縫い代がカットされています。
これはどの個体でもカットされていましたので
おそらく2nd縫製の決まりなんだと思います。
うちのカスタムはまずバラす。
バラしもカスタム内容で場所が変わりますので
今回の内容はポケットとパッチ外し。
それから裾を解くのがスタートライン。
それからボタンを外しておきます。
2ndはダブルステッチなので
解くのが面倒です。
綺麗に早く解くのは
これまでに数百枚はバラしてるので
昔は嫌でしたが、今はそれほどでもありません。
パッチは移植しますので
綺麗に外しておきます。
ペン入れは不要なので戻しません。
まずは前立てステッチ。
次はボタンの位置を決めながら
裾のステッチです。
縫い代カットは当時のやり方でなく、
自分なりのやり方があるので
その方法で縫い直しをします。
衿はうちのカスタムの顔である
「縫込み」を入れていきます。
まあ面倒な作業ですが、
オリジナリティですからしょうがない。
胸ポケットにはパッチの追加です。
後ろから見て綺麗な縫製は
表から見ても綺麗です。
綺麗な縫製で厳選した
アメリカの当時ものパッチを
違和感のないように構成します。
パッチ代だけでも
ベースの個体より高額な素晴らしいパッチを
アメリカより輸入しております。
こうやってボディの年代に合わせた
特別なパッチを付けるのがウチのお客さんには
物凄く好評なのでパッチのレベルを落とさないように
毎月たくさんのお金を使ってパッチを仕入れています。
次のブログでは縫製後の姿を公開いたします。
もったいぶってるのではなくて
今からポケットの縫製とまとめに入って
完成後に洗濯して撮影です。