本当の意味で持続可能に生きたい
私の母は売り物に対して「作れる」が口癖だ。実際、裁縫やDIYが得意なのである程度のものなら軽々しく作ってしまう。(父は電球すら変えられないポンコツだが。。)
母(に限らず祖母もだが)は小さい頃から私にお洋服やカバン、雑巾、ナフキン、巾着、髪飾りなどいろんなものを手作りしてくれていて、最近もパソコンケースやブックカバーなんかを作ってくれた。(いらなくなったデニムやハギレなどのアップサイクルだったりするから更に驚き。)
実家の大量にある本を収納する棚もテーブルクロスも灰皿もクッションカバーもソファのカバーも、、、全て母の手作りだ。
私もそれが普通だと思っていた。
それが2年前、東京に出て一人暮らしを始めるようになった時、情けないことに私は破れた靴下すら自分で縫って直せず、結局それは捨てて新しい靴下を買った。
一応言っておくと私は学生の頃から結構エコな生活を心がけていて、それこそサスティナブルが生活のキーワードだったりする。新しいものはなるべく買わず、古着や古本をなるべく使う、マイボトルを持ち歩く、ゴミは分別する、食事はベジタリアンで野菜の茎や皮まで消費する、、、色々心がけていることは多い、はずだった。
でも一人暮らしをしてみて初めて、というか穴の空いた靴下でさえ修復できないことに気がついて、、、私って誰得??と思ってしまった。エコな生活なんてあまり意識していない母や祖母の方が私よりよっぽどエコだったことに気づいて少しショックだったのかも。(気付くのが遅い)
でも、彼女たちの生活は残念ながら本当の意味で持続可能ではない。なぜなら、彼女たちの生活の知恵を私が受け継いでいないから。
持続可能とは?
私的な解釈では、自分が今いなくなっても自分の知識や技術が詰まった生活スタイルが後世に受け継いでもらえるかどうか。
イメージで言うと、草の根をわざと残して収穫する感じ。また放っとくと生えてくるみたいな。(もっとわかりにくい)
私の母の例で言うと、
私は母の裁縫やDIYの技術を何ひとつ受け継いでいないので、母の生活の知恵は確かにエコだが、持続可能ではない。(母が他の誰かに受け継いでいれば問題ないけど)
もちろん、地球規模での持続可能性を考えるとたしかにそうかもしれない。地球環境に悪い消費をしないで、欲しいものは自己完結する。そういう地球規模の働きかけで、限りある資源を後世にも残していける、という意味では、彼女たちは「持続可能」なのかもしれない。
でも私が言いたいのは、そのライフスタイルを誰も受け継がなかったら持続しないじゃん??ってこと。
エコな消費より、エコじゃない非消費を
エコってなんだろうって考え直した私の結論。頑張りすぎてエコエコエコエコ言わなくてヨシ。とにかく物を大切に!!!
地球に優しい新しい服をネットで1着買うより(輸送や梱包も含む)、エコだよ!と大きな声では言っていない高級な服を地元のモールで1つ買って何年も着た方がいい。その方が地元も潤うし試着もできて返品交換にもなりにくいし。
私の靴下だって、古い靴下を捨てて「土に帰る」靴下を何枚も買うより、普通の靴下でも穴を塞いで履けるだけ履いたほうがいい。そもそも「土に帰る」ってなに、ポイ捨てする前提ってことで合ってる??
「環境にやさしい」洗剤を使って掃除するより、おばあちゃんがやってるみたいに柑橘系の皮でちょっとシンクを磨いてみるとかね。
とにかく、消費社会の前提にとらわれすぎちゃうことが一番エコじゃない。エコな物を買うことは持続可能じゃない。それだったらエコな物を買わなくてもいいから、高級で洗練された物を長く使って、古くなったり要らなくなってもまた「ワビサビ」を心得てる人の手に渡っていくような世界の方が持続可能じゃないかな。
生活レベルでの持続可能性
「エコな消費」をするのではなく、「消費の少ない生活スタイル」そのものを受け継いでいくことこそが、一番の持続可能な暮らしじゃないかと思う。
私の母や祖母のように、「昔は貧乏だったから」手作りをしたり、消費しないで生きる技術を身につけた人は多いだろう。しかしこのご時世、生活が便利になりすぎて何でも欲しいものはネットで買えてしまうため、世代を超えて生活スタイルが受け継がれなくなってしまった。
お店をブラブラしながら「これぐらい作れる」という感覚が若い人は特に、ないのだ。(include me)
若者よ、もう一度原点に立ち返り、おばあちゃんや実家の生活スタイルを振り返ってくれ。
ばあがコンビニスイーツをそんなに買ってないだろう??
それよりゼリーとか手作りしてるだろう??
庭でなった野菜を食べてるだろう??
じいの髪の毛もばあが切ってるだろう??
UberEatsやAmazonなんか頻繁に配達頼んでないだろう??
、、まあこれはほんの一例だけど、よくよく彼らの1日を観察してれば自分の生活スタイルとの違いが多く見られると思う。それを全部真似しろとは言わないけど、とにかくなんでも消費消費消費!これもあれも欲しい!エコなものだったらなんでも買ってOK!みたいなのはやめよう。エコでもなんでもない。
彼らの良いところは、お惣菜でもお洋服でも雑貨でもちょっとした家具でも、「買う」以外に「作る」という選択肢があることだ。これがあるとだいぶデカい。。。
昔の人たちの「消費しない」生活の知恵や技術を学び、それをまた自分の子供や次世代の子供達に伝えていく。こうやって少しずつ、消費しないでも生きられる人間を増やす、「買う」以外の選択肢を増やすことが、本当の意味で持続可能なのではないかと思う。
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