友人を涙させる、結婚式スピーチの書き方
結婚式のスピーチを任され、何をどう伝えようか迷っている全ての方へ。
昨年、私は地元の親友、まさや君の結婚式で友人代表のスピーチを任されました。しかし、スピーチの経験はなく「どうやって準備をしよう…」という状態でした。
そこで「結婚式 スピーチ 書き方」とGoogle検索をしてみました。ネット上には結婚式スピーチの書き方が掲載されているサイトがたくさんあります。
記事を読んでみるものの、そこに載っている内容は具体性に欠けており、実際に活用するには不十分なものばかり。結局自分で考えるしかなくなりました。
その後苦しみながら自分で進め方を考え、原稿を書き、練習を重ね、当日は親友を涙させるスピーチをすることができました。
そして、今回私の友人が結婚式でスピーチをすることになり、アドバイスを求められました。少しでも参考になればと思い、私のスピーチの書き方・準備の流れを記事にします。最後には実際のスピーチ原稿と動画も掲載しています。
本記事が、大切な人の晴れ舞台を心に残る一言で彩るきっかけになれば嬉しいです。
①本番1週間前まで:「本日は、お日柄もよく」を読破
まず、原田マハさんの小説『本日は、お日柄もよく』を読破しましょう。いきなり、本を読めと言われても困るかもしれませんが、読んでください。小説としてそもそも面白いのと、スピーチをする上での心構えを学ぶことができます。
この小説は、27歳のOLこと葉がスピーチライターとしての道を歩む中で成長し、人を動かす言葉を紡ぎ出していく物語です。
こと葉は幼なじみの結婚式に参列し、失恋。同時にその場で一人の女性スピーチライターに出会い、感動的なスピーチに心を動かされます。
この出会いがきっかけとなり、彼女は自らもスピーチライターへの道を進むことを決意し様々な苦難を乗り越えて成長していきます。
この作品を通して、私は”言葉の力”と”自分の言葉で人を動かすことの大切さ”を学びました。小説の中では、主人公が友人に結婚式のスピーチをする場面もあり、とても参考になります。
また、本に書かれている「スピーチの10箇条」を満たせるように準備していきます。
②1週間前~3日前:原稿づくり
本を読み終えたら、原稿を作っていきます。
1. 前提条件を洗い出す
いきなり原稿を書き始める前に、どのような状況でスピーチを行うのかを整理します。以下を洗い出します。
スピーチのタイミング:
自分はどのタイミングでスピーチをするのか?場があったまっている中で話すのか?場を温める役割なのか?などを想像します。参列者の把握:
参加者は何人程度いるのか?参列者はどのような人が多いのか?中学校、大、社会人のどの友人が多いのかなどを想像の範囲で良いので整理します。
2. メッセージを考える
前提条件を整理し終えたら、自分がスピーチを通じて、友人と参列者に何を伝えたいのかを考えます。このメッセージ(=伝えたいこと)が一番大事な部分になります。
私は以下のように設定しました。
スピーチを通じて伝えたいこと
To 友人:結婚への心からの祝福と友だちでいてくれることへの感謝
To 参列者:
新婦側:まさや君がどんな人物なのかを伝え、新婦さんにピッタリの男であると思ってもらう
新郎側:知っているまさやの魅力を言語化し、改めて理解してもらう
伝えたい人物像は以下
人としての魅力が溢れていて、人から信頼・慕われている人であること
人に真摯に向き合い、育てる、輝かせることができること
3. エピソードを整理する
上記のメッセージを伝えたいと思う至ったエピソードを思い出します。エピソードは3つ以上思い出し、ベストなものを選定していきます。
なぜそのエピソードが印象に残っているのか、具体的にどんな場面で、その人がどんな行動を取り、どんな言葉を口にしたのかを思い出していきます。
実際、スピーチの中ではエピソードを語ることが最も重要です。参列者にその場面を想像してもらえるような具体的なエピソードを織り交ぜる必要があります。
例えば、もし新郎がバスケットボールが好きなことを参列者が知っているのであれば、バスケットボールに関連するエピソードを盛り込むことで、参列者は想像しやすくなります。
抽象的な言葉よりも、参列者一人ひとりが思い浮かべられる生々しいエピソードを用いることで、より印象的なスピーチに近づけます。
4. 大まかな流れを考える
スピーチの大まかな流れを考えます。私は以下のような①入り、②メイン、③締めの3部構成で話をしました。
①入り:友人と自分の関係性を簡単に紹介
②メイン:友人を紹介するエピソード
③締め:祝福
5. 原稿を書く
整理した流れと洗い出したエピソードをベースに原稿を書いていきます。書き方のコツとしては、一旦は文字数は気にせずに、自分の想いに合わせて書いていきます。
そこから、文章の不要な部分を削り、より良い表現に書き換えてブラッシュアップしていきます。正直、100%満足ができる文章はできません。しかし、時間をかけて見直した分、より聞く人に刺さる文章になっていくことでしょう。
また、以下のような定型文を私は省略していました。自分の伝えたいことを表現するためです。
6. 原稿を声に出して読み、修正する
書いた原稿を声に出して読んでみましょう。実際に声に出して原稿を読むと、文章の流れや表現でおかしな箇所が明らかになってきます。
同時にスピーチの時間も測りましょう。基本的に制限時間よりも短めに話せるように準備するのが◎です。話し慣れていないと、内容を忘れてしまったり、何か言いたいことが思い付いて付け加えてしまったりする可能性があります。少し余裕を持たせた時間設定にすることが重要です。
大体1分に話せる文字は300文字が目安です。ただ一番大事なのは、制限時間内に収めることではなく、聴き手の心に刺さる内容を作ることです。伝えたいメッセージをストレートに伝えましょう。
③3日前~前日::暗記&練習
1. ひたすら読んで暗記をする
原稿を書き終えたら、実際に読み込んで暗記していきます。内容を暗記していれば、より自信を持って話すことができます。
原稿を暗記するためのベストな方法は、繰り返し声に出して読むことです。私はトイレ、公園、海岸など、場所を変えながらひたすら原稿を声に出して読み続けました。合計で約3時間以上、練習に費やしたと思います。
2. 友人か家族からのアドバイスをもらう
仲の良い友人や家族に一度原稿を聞いてもらいましょう。
第三者に聞いてもらうことで、内容だけでなく話し方や言葉遣いなどについても客観的な意見やアドバイスをもらえます。自分一人では気付けないような、よりよい表現の仕方を教えてもらえる可能性があります。
私は妹に聞いてもらい、「ゆらゆらせずどっしり立つ、早口になりすぎない、目線が上向いたりせず首を動かさないように」というアドバイスをもらいました。
また、聞いてもらう人がいない場合はビデオを撮って、見返しても良いかもしれません。
④当日:最後まで練習、そしてスピーチ
いよいよ当日です。最高のパフォーマンスが出せるように最後まで準備をします。私の場合、結婚式が15時から始まるため、午前中と午後に分けて以下の練習を行いました。
1. カラオケでウォーミングアップ
カラオケに行き、好きな曲を歌ってお腹から声を出す練習をします。2、3曲歌った後は、本番を想定したスピーチの練習をします。できる限り本番と同じ環境を作り出すため、ステージに立ったり、マイク立てがあった方が良いのかの確認をしました。
その後お昼ご飯を食べ、 友人ともカラオケに行き、再度スピーチの練習をしました。友人に原稿を聞いてもらうことで、より自信を持つことができました。
2. 結婚式場での準備
会場に着いたら、自分がスピーチする場をチェックします。そして司会の方とマイクを持つ持たないの確認をします。
その後は同じ席の友人と話をして緊張を緩めていきましょう。緊張はしない方がおかしく、あって当たり前なので、緊張を受け止めましょう。また、その人次第ではありますが、適度なお酒を飲むとテンションもあがるのでおすすめです。
そして本番。今までの準備を信じて思いっきりやりましょう。最後は「正確さ」より、「想い」を伝えきることが全てです。
以上、私の実際の経験に基づき、結婚式のスピーチの準備の仕方を紹介しました。実際の原稿とスピーチ動画も以下に載せます。
⑤スピーチ原稿と動画
1. 原稿
「まさやが「おれ結婚するわ」と私に話してくれた時、それはもう、感慨深かったです。まさやとは、地元の中学で仲良くなり、高校時代は予備校が一緒で、大学時代はアメリカでフルマラソンやアルゼンチン・チリの山でキャンプをするなど、家族以上に一緒に旅行をして、数え切れないほどの時間を共有してきました。
そして地元に帰った時は、逗子の海で近況報告や悩みの相談をお互いにしてきたまさやが、結婚して新たなステージに進むことは、自分より一歩先へ行ってしまう様でうらやましくもあり、それ以上にうれしさの方が勝っていました。
そんなまさやのエピソードを紹介させてください。
まさやが中学のバスケ部の顧問として働いている時、最後の大会前に選手のモチベーションを高めるための、1年間の選手の努力をまとめた動画を見せてくれました。まさやは生徒一人一人に対して、
「この子は生意気だけれども、かわいいんだよ」、
「この子は努力家で、この一年で一番成長したんだ」と、
目を輝かせて情熱的に語ってくれました。これを聞いた私は、まさやが一緒に遊んでいた”同級生”だけでなく、人に真っ直ぐ向き合い、育て、輝かせることができる”先生”になったことを実感しました
また、ある日逗子の飲食店で楽しそうに話している学生を見かけ、後ろを振り返ったら、そこには大学生になった中学時代の教え子3人と食事をしているまさやの姿がありました。
いい意味で、教え子と一緒になって楽しんでいるまさやは、生徒から本当に信頼され、慕われる先生になっていました。そして、「私もこんな先生と出会えたら楽しかったなあ」と心から思いました。
こんなに人に対して向き合い、人を輝かせることができる、魅力溢れるまさやを友人として持つことは、私にとって誇りです。
1か月前、一緒に海を散歩していた時、まさやが「仕事や結婚式の準備が色々あって大変だけど、結婚生活楽しいわ」と話すのを聞いて、みのりさんとまさやが楽しい結婚生活を送っていることを実感しました。これからも、みのりさんと共に幸せな未来を歩んでください。
お二人の末永いお幸せとご健康を祈り、お祝いの言葉とさせていただきます。本日は、ご結婚おめでとうございます。」
2. 動画
参考図書
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