新たなPL問題
ご無沙汰をしております。
本来であれば、今頃は、皆様にとても良いご報告が差し上げられると思っていたのですが、ステークホルダーの非協力的な対応が続いておりまして非常に腹立たしい思いをしております。
現状、こちらでご説明を出来ないことが非常に残念なのですが、禁反言的と申しますか、申し出をしておきながらこの対応はなかなか出来ることはないという理解です。(決して褒めていません)
Amazonもメーカーも、私の事故について積極的な情報公開をしていないことから、どうも、私と全く同様の事故がその後も何件も起こっているようです。
製品起因事故に関する情報の共有とリコールは訴訟の如何に関わらず行っていただきたく、強くここに関係各位にお願いをいたします。
さて、後述のようなイベントについて、お招きをいただいたことから登壇をさせていただくことになりました。
PL法の在り方について考える会ということで、様々なご示唆をいただけるのではないかと楽しみにしております。
私も当初は製造メーカー、あるいはプラットフォーマーをPL法に基づいて訴えられないかと考えておりましたが、ご専門の先生からそれは難しいと言われまして諦めました。
しかしながら、むしろそういった難しさを解消していくべきなのではないかという議論が行われるということで非常に楽しみにしております。
もし、そのような方向で法改正や法解釈が可能なのであれば、消費者としてはより適切な保護が受けられると思います。
PL法での難しさですが、個人的には以下の点にあると考えています。
PL法第2条(定義)では3項に「製造業者等」の定めがあり、
・当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)(1号)
・自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者(2号)
・前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者(3号)
が含まれます。
個人的には、当初、この3号の解釈としてプラットフォーマーを読むことが出来るのではないかと思ったのですが、これは難しいというご指摘をいただいたところです。
仮に、3号の解釈の幅が広がったら、もしくは3号の記述が改められる、あるいは4号以下にプラットフォーマーが追加されれば、消費者としては保護の範囲が格段に広がることになります。
なぜ、このような改正あるいは解釈の変更が必要なのでしょうか。
私の事故の環境(ステークホルダー)をもとに考えてみます。
図は以前にnoteでも掲載したものに少し変更を加えたものです。
以前は、①製造者⇒②メーカー⇒④プラットフォーマー⇒⑤消費者、という流れでしたが、①製造者⇒②メーカー⇒③出店者⇒④プラットフォーマー⇒⑤消費者、と③を加えています。
どうして③が加わったのかと言いますと、実は同じメーカーの公式アカウントを名乗っているのによく見ると中身は別の会社という例を発見したからです。
以前から、いくつかの出店者が同じ製品を出品すると言うことはありましたが、以前の公式アカウントの出店者と現在の公式アカウントの出店者が異なるという事例を見つけて驚きました。
何が問題なのかと申しますと、同じ公式アカウントを名乗っていても、以前の公式アカウントのもとで何らかの事故が起こったとしても、現在の公式アカウントの出店者が変わってしまった場合、
・以前の出店者にコンタクトが出来なくなってしまう
・現在の出店者に責任を求めることは出来ない
ということになります。
あるメーカーの公式アカウントを名乗っているのに、またそのメーカーの商品は現在も売られ続けているのに、責任が追及できないということになります。
個人的にはこれは非常に大きな問題だと思っています。
プラットフォーマー上で生じた問題について、図の①から④のいずれに責任があったのか、責任のたらい回しが起こってしまっているのが現状です。
また、③の事業者に入れ替えの可能性があり、その入れ替えによって①から④を結びつける関係性に変化があるとすると、それは消費者にとって非常に不利益なことにつながります。
つまり、消費者としては、同じメーカーの同じ商品を同じように買ったつもりでも、③の裏側の店子が変わってしまうことによって、
もちろん、事業者が変化することによって関係性にも変化が生じることは当然なのですが、総体的な外形性を信じた消費者に責任を転嫁することは妥当なのかという疑問を持っています。
これは、
・③の裏側で店子が変わることまでつぶさに観察することが消費者に求められるのか
・①から④の関係性を立証することが、そしてそのいずれに責任があるかを証明することが消費者に求められるか
という点について、私はいずれもこのようなことを消費者に求めるべきではないと考えます。
むしろ、いずれの点についても事業者が、特にプラットフォーマーが中心となって消費者がリスクを負わない環境を整備することで、安心安全な取引が可能になるのではないかと考えます。
個々のいずれの事業者の責に帰するかは勿論重要ですが、消費者にとっては直接相対した事業者こそが拠り所です。
これは、Accountability(説明責任)とResponsibility(担当責任)の関係に似ているかも知れません。
事業者間の内部求償の問題はあるにせよ、消費者のフロントに誰が立つべきかをハッキリとさせておいた方が良いのではないでしょうか。
私が登壇するイベントの情報は以下のとおりです。
==
PL法の歴史とネット社会の新たなPL問題
~新しい時代のPL法の在り方を問う~
【日 時】7月1日(木)14時00分~16時00分
〔Zoomを活用したオンライン報告会〕
第1部 PL法の制定にご尽力いただいた主婦連 故清水鳩子さんの足跡をたどりながら、PL法の歴史を振り返ります。
第2部 デジタル・プラットフォームを通じて購入した外国製品の欠陥による火災事故を事例に、ネット社会の新たなPL問題についてディスカッションを行います。
■パネリスト 川和功子さん(同志社大学教授)
松本恒雄さん(一橋大学名誉教授、国民生活センター前理事長)
早坂祐樹さん(国民生活センター)
加藤尚徳さん
■コーディネーター 中村雅人さん(弁護士・PLオンブズ会議メンバー)
PLオンブズ会議からの提言2021
http://www.shodanren.gr.jp/Annai/729.htm
引き続きご支援をいただければ幸いです。
Amazon訴訟に関するご支援のお願い
https://forms.gle/pJJYPE7zGoxawVoj9
(上記URLより必要事項をお知らせいただき、折り返し、ご支援いただく方法に関するご連絡を差し上げます。)
ご支援いただきました内容に応じまして、
以下の情報(特典)をお送りします。
①訴訟の進捗状況をメールでお知らせします。
②本件訴訟の概要説明資料をお送りします。
③本件訴訟の訴状を共有します。
(個人情報等一部黒塗り)
④事件(火災)に関する資料を共有させていただきます。
(個人情報等一部黒塗り)
⑤最終報告書のドラフト版を共有しご意見を伺います。(ご希望に応じて)
⑥最終報告書にお名前を掲載させていただきます。(ご希望に応じて)
⑦最終報告書を優先的に共有させていただきます。
⑧最終報告会(オンライン)に優先的にご参加いただけます。
どうぞよろしくお願いいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?