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身近な自然環境保全活動 in オーストラリア

 日本にいる時には、自分の職能に近からず遠からず、といった距離感で自然観察を中心に環境保全に関わっていました。また、ランスケという職業柄、職場にも自然保護に関わる分野に興味関心があり、深い造詣を持っている方たちがいらっしゃいました。その方とメールをやりとりしている際に「オーストラリアの自然環境保全はどんな感じ?」というご質問を受けたので、それの返信のつもりで書いてみようと思います。質問がなかったらまとめようとも思わなかったので、誰かからの問いかけってありがたいです。タイトルに…in オーストラリア…入っていますが、そんなに大きな話ではなく、どっちかっていうと「身近な」の方がメインです。しかも、英語が元々な部分もあって、注釈のためのカッコ書きを多用してしまいました。少し読みにくいかもしれません。

 私は現在住んでいるシドニー近郊の町でも、近所の環境保全のボランティアグループに属し、月に1回ですが環境保全の活動をしています。ボランティア活動は「Bushland(ブッシュランド:自然の植生の残る所)の持つ価値と管理の大切さの気づきのため」そして「環境保全活動の担い手広く求めるため」といったことを目的に、カウンシル(市町村ぐらいの規模。行政組織です。)の環境保全計画に基づくプログラムの一環として位置づけられてます。私は街を歩いている時に、青地に" i "の字の看板のついたお馴染みの観光案内所に、三つ折り裏表、A4サイズのカラー案内があったのを見つけて、カウンシルの担当に連絡しました。連絡をすると、活動の趣旨を認めた書類がPDFで送られてきて、それに同意のサインをして送り返します。そうしたら、カウンシル内のいくつかある活動場所の中から、参加を希望する所を選んで都合のよい活動日に訪れる、という流れになっています。ちなみに団体名も活動場所のリストも、活動日も、待ち合わせ場所も、活動の趣旨や内容が記載された書類も、同意書も、関連する書類は全部webサイトで公開されていました。入り口は観光案内所でしたが、後の手続きは全部オンラインでした。

 活動日は前述のように、月に1回、8:30から11:00までですが、その間であれば基本出入り自由な感じです。ただ、その時間を超えては、後述するスーパーバイザーがいなくなってしまうので、活動は行わないです。活動場所は川の近く、川沿いのsalty marsh(汽水域の湿原)から、最寄りの住宅地の間の空間になります。活動内容は基本草むしりです。そこの場所に自生している植物は残して、外来種などを除去します。住宅地の近くなんかはガーデン・エスケープ(庭に植えられている園芸種が出てきちゃったもの)も多いです。除去するものと残すもの、選別しながらの草むしりはデリケートな作業で、機械ではなかなか対応できません。そういった背景で決めの細かい、手作業での草むしりが必要になります。草むしりを超える、ボランティアの手に余るような仕事は業者さんが行います。
 日本で割と大らかに扱われていた植物が、こちらでは外来種ということでバシバシ抜かれていたり、日本じゃ案外嫌われている緑化植物がこちらでは自生種ということで足らないところに植栽されたりという相違はありますが、作業内容や役割分担に関しては、私が日本に住んでいた時に関わりのあった環境保全、特に森林に関わっていらっしゃるボランティアさんが行っているものと、大きく違わないと思います。

 活動にはスーパーバイザーがつきます。私の属しているグループでは、1人ついていてくれます。彼等はボランティアではなく、カウンシルから委託を受けている環境の専門家、かつ作業の安全を管理をする人たちで、それに関する訓練を受けています。個人的な感想ですが、活動の中でのスーパーバイザーの存在は心強いなあと思うことが多いです。彼等は活動日に道具一式を持ってきてくれ、ボランティアと一緒に作業をします。草刈り作業に際しては、除去するもの、残すもののレクチャーから、例えば「今の時期、タネがついた雑草は(タネが落ちないように)速やかに袋に入れておくんだよ」といった作業の仕方へのアドヴァイス、ボランティアには難しい作業内容については「カウンシルにあげておくね」といった具合に、作業分担の判断などを行ってくれます。このおかげで、ボランティアは、環境の知識がそんなに無いことを気にすることもなく、動きやすい格好で手袋さえあれば、手ぶらで参加してもOK、ウェルカム、といった雰囲気がグループ内にはあります。他のグループのことはわかりませんが、私の活動するボランティアグループのスーパーバイザーは、普段から活動場所のBushlandを管理している業者さんだそうで、環境に関する知識だけではなく、活動場所のことをよく知っています。ボランティアの古参の方とも10年ぐらいのお付き合いとのことで、メンバーからの信頼も厚いです。もちろんスーパーバイザーだけではなくて、一緒に作業しているメンバーも気持ちの良い人ばかりで、あんまり言葉のできない私に対しても適度に構って、かつ放ってくれる感じがありがたいです。彼等のおしゃべりに耳を傾けながら、春の暖かい風に吹かれつつ屋外で一緒に作業していると晴れ晴れとした気持ちになります…といった内容をメンバーの1人のオージーに話したら「今の季節は最高!、これから夏の作業は大変、帽子とサングラスと水分補給は必須!」とのアドバイスを受けました。

 長くなりましたが、せっかくなので、もう一つ面白いなあと思っていることをあげますね。私の活動している所にもあるのですが(見出し画像参照)、こちらでは特に都市部において、枯れた樹木に人為的に巣箱のような穴を開けたりして、生き物の生活の場としてできるだけ残していこうという動きがあります。もちろん専門家の指導のもと、倒木した際などの危険性がないような場所を選定するといった、安全面での配慮はきちんとされていると思います。ちなみに私の活動している所の枯れ木は小さい穴がポツポツ空いていて、Native bees(自生のハチ)のすみかになっています。作業をしているとカワイイいのがブーンと飛んでいるのを見ることができます。この内容はテレビのガーデン番組でもarborist(樹木の専門家、日本でいうと樹木医さんかな?)が枯れた樹木の処置を行う様子が放映されていたので、現在、割とポピュラーな流れなのかな思います。「NSW(ニューサウスウェルズ、シドニーの周辺の地域です。東北地方とか関東地方とかの「地方」ぐらいの広さがあります)」、「 Arboriculture(樹木学)」、 「Dead Tree」、「Natural Habitat」でGoogleすると、専門業者さんやカウンシル(都市)のサイトで、これの考え方や技術に関連するサイトが出てきます。その中でも、Mosman council(シドニー中心部から北東、海沿いのエリアでタロンガ動物園のある所)のTree Management Officerによって書かれた”Habitat Report”がよくまとまっていました。後日、訳したものをnoteに記載しておきます(まだ訳していません)ので、ご興味のある方はレポートを読む際の参考にしてみてください。長々とお付き合いありがとうございました。

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