【ロンドン トップレストランで、バーテンダーをやってみた】
皆様、ごきげんよう。安部直柔(アベ ナオナリ)です。
現在ロンドンでバーテンダーをしています。
バーテンダーを始めたきっかけは、『海外で暮らし、仕事をして、自分の知らない国でチャレンジしてみたい』という思いからスタートしました。
ここではそんな私のロンドン挑戦への記録やロンドンでの生活、自身のことなどを発信をする媒体として、noteへの投稿を始めました。
前回の投稿で『飲食店 日本とイギリスの給与形態の違いとは?』について綴ったので是非そちらも読んでみてください。
前回の投稿から期間が空いてしまいましたが、最近新しい職場での仕事が始まり、忙しくしておりました。その職場のことも追々投稿します。
今回は『 ロンドン トップレストランで、バーテンダーをやってみた』について
まえがき
以前の投稿で、ロンドンで最初に勤めた『Lyaness』というカクテルバーを紹介しましたが、そこを辞めたのが2022年9月。実はLyanessを辞める前に新しい職場が決まっていました。ただその新しい職場は新たにオープンするカクテルバーでオープン予定が2022年12月を予定しており、それまでの間に別で働く場所を探さなくてはなりませんでした。
いくつか働く候補を探している中で、偶然友人同士の酒の席で、知り合ったバーテンダーが今回紹介するレストランでバーマネージャーとして勤めており、彼の紹介もありそのレストランで約4ヶ月バーテンダーとして働くことができました。
偶然にも、そのレストランを以前から『行きたいレストラン』としてチェックしており、良い機会だと感じ、働くことに。
考えていなかったロンドンのレストランでのバーテンダーは素晴らしく貴重な経験でした。
働いた中での気づきや、そのレストランの特徴を紹介していきましょう。
『FALLOW』
Modern British Restaurant
レストランの名前は、『FALLOW』ファロー
働く前から、有名なレストランなんだろうなとは思っていましたが、実際に働いてみるとロンドンでもトップクラスに入る有名レストランでした。ミシュランの星を取るようなスタイルのレストランではありませんが、『イギリスでのレストラン アワード』の受賞や『トップ レストラン ランキング』などにもランクインしており、飲食業界を問わず認知されているレストランです。もちろん有名なだけではなく、料理の味わいもロンドンでオススメできる数少ないレストランの1つです。どんなシュチュエーションにもハマるし、料理の質と値段も釣り合っていて、オススメなレストランです。
どういった料理を提供しているかというと、サスティナビリティな取り組み、調理へのクリエイティブなアプローチ、イギリス産の食材を使用したモダンかつブリティッシュな料理が食べられるレストラン。
モダンという言葉が付くので、味わいは中華っぽいものもあれば、和食なもの、イタリアンと様々で、イギリスの食材を軸に多様なスタイルを表現しているように感じられます。
3つ料理を写真付きで説明しましょう。
『マッシュルーム パフェ』
レストランの地下で自家栽培したマッシュルームを使用したFALLOWの代表的な料理。旨みが強く、黒ビールとの相性が良く、スナックとしてもオススメ。
『スモークド タラ ヘッド』
イギリスではタラの頭は廃棄されることが漁師、業界の慣習だったがオーナー シェフがそこに着目し、自家製のスリラッチャ ソースとネギのオイルがたっぷりかかった人気の料理。
『サンデー ロースト ラム』
読んで字の如く、日曜日に食べる肉プレートだ。肉の種類は豊富で、牛、豚、羊などなど。日本人の私からしたら、なんら特別な料理ではないがこれがイギリスを代表する料理だ。もちろんFALLOWでも日曜日にのみ提供していて、このサンデー ロースト目当てに来店される人がいるほど。
私もレストランで実際に食事をしたが人気の理由が分かる。料理の味、店内の雰囲気と内装、立地はピカデリーサーカス、どれも抜群に良い。イギリス在住の人を問わず、観光客やビジネスマンもよく訪れる。総合力のあるレストランだと思う。80席くらいだが、忙しい日は400人近くのお客様が来店する激混みなレストランだ。
さらにベジタリアンやビーガンにも対応してるので、本当に客層の間口が広い。もちろん子供連れやワンちゃん連れもOKなので週末は大賑わい。
そして私の仕事内容だが、テーブルでのワインのサーブ以外は、バーテンダーがドリンクを全て捌くのでなかなかタフな現場だった。カクテル作って、ソフトドリンク作って、ビール注いで、カフェラテ作って、などなど。なかなか刺激的な時間を過ごせた。ただ忙しいことに慣れていたので、思いのほか楽しく、ロンドンでの仕事に慣れたのもこの頃だったと思う。
FALLOW カクテルのスタイルとは?
メニューに載せているカクテルは、フードに使用している食材などを利用したものや、料理に合わられるような味わいのドリンクが主だった。もちろんノンアルコールのカクテルもメニューに載せていた。レストランなのでノンアルコールを好むお客様も多いからだ。
ただ、よく出る人気のカクテルは、フローズン マルガリータ、エスプレッソ マティーニ、土日のブラッディー メアリーだ。この3カクテルを4ヶ月の間に作った数が、人生で作ったこの3つのカクテルの総数を上回った気がする。いや、絶対に上回った。
Instagram, YouTube の活用がハンパない
あなたが行きたいお店探す際にInstagramを利用するのは、当たり前なことになってませんか?
お店側もそうで、世界中の飲食店がInstagramで宣伝をすることが当たり前になっていると思う。FALLOWも同じようにInstagramを利用した宣伝を行っている。ただし他の飲食店と違うのが、プロカメラマンを外注で雇っている。更に、作り込まれた動画での投稿の頻度が多い。動画での料理の紹介や調理風景、スタッフ紹介など、どれも内容の質が高い。さすがプロを雇っているなと感じる。動画コンテンツへの投資は、先行投資というよりは儲かっているからこそできるもののように感じる。私が働いてる時に、動画撮影をしているのを頻繁に見ていた。
さらにYouTubeチャンネル動画の再生回数が凄い。主に投稿されている動画はPOVというタイプ。ポイント オブ ビューの略だ。訳すと主観視点のことだ。
その動画2つ紹介しよう。
1つ目は『営業中のシェフ目線の動画』なんと再生回数が373万回
2つ目が『営業中のバーテンダー目線の動画』そちらも再生回数が245万回
YouTubeでいろんな料理系の動画を観ているが再生回数が200万回を超えるような動画がほとんどない。FALLOWが広告の収益化をしてるかは分からないが、日本の広告収益に換算したら373万回→約37万円。
シェフとバーテンダーの身体にGoProくっ付けて撮ったメイキング動画を、編集もなにもせずにそのまま投稿したらお金にできるんだから驚きしかない。普段見れない目線から動画を通して擬似体験のように観れるのは、意外と人々の興味を唆るのかもしれない。これは新たな発見だった。
レストランでのバーの使い方の幅の広さ
ロンドンでは必ずと言っていいほど、どこのレストランにもバーカウンターがある。
そして、レストラン側が来店したお客様を直ぐにテーブル席に通さずにバーカウンターに一旦座ってもらうことがある。
これには理由がある。
・まだ前客が長居している
・テーブルのセッティングが整っていない
その他にも状況はいくつかあるが、重要なのは先にバーカウンターに座ってもらい、1杯飲んでもらって売上に繋げることだ。先に1杯飲みながらメニューを見ながら何を食べるか考える時間もお客様的にも悪くないだろう。待ち時間を待ち時間にしない。お互いWin Winの関係性が生まれる。バーテンダー的には入れ替わりにお客様が入ってくるんで忙しいときは大変だが、売上と待たされるお客様の気持ちを考えれば、当たり前の流れだ。
そして補足だが、ほとんどのレストランでバーカウンターでもテーブル席と同じ料理が食べれる。更にドリンクが直ぐに出てくる。バーカウンターは意外と特だ。ゆっくり食事したい人には向かないが、1人利用、気軽に食事したい人にはオススメだ。この辺は、欧米と日本のレストランの細かな違いかなと思う。
違いをあげればキリがないがそこを楽しめるマインドを持つことが大事かなと思う。言ってしまえば人生のネタ作りみたいな感覚で捉えている。
近いうちにロンドンのオススメのレストランやバーやパブなんかを紹介しようと思ってます。
次回は『ロンドンで POP UP BAR / 前編 - 計画から初期費用 -』
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