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任務完了!

今日、とあるお店でランチをしていた。
久しぶりの外食で、食べたかったものを食べてウキウキしているところだった。
近くのテーブルで、ガンッと音がしておじいさんが「おい!大丈夫か!?」と言っている声が聞こえた。
ん?と思ったけど大して気にせず食事を続けていたら、今度はおじいさんと店員さんが何やら大きめの声で話しているのが聞こえた。
初め、お客さんと店員が揉めているのかと思って「やだな、早く食べて店を出よう。」と思っていた。
すると、今度はさっきより大きなガンッっていう音と「おい!ちょっと救急車呼んでくれないか?」というおじいさんの声が聞こえた。
音と声のする方向を見ると、おばあさんがシート席に座った状態で意識を失っているではないか!
ガンッて音は頭を後ろの壁と机にぶつけた音だった。

当の私は「あれまぁ」って思って、殆ど何も考えず、食事中なので外していたマスクをサッと着けて、「どうしました?私看護師なんですけど」ってしゃしゃり出てしまった。
おじいさんの話によると、「肉を喉に詰まらせて意識を失った」らしいので、取り敢えずおばあさんを横にして脈と呼吸、意識レベルの確認をした。あと、改めて救急車を読んでもらった。

幸いに、意識はなくても脈と呼吸は出来ていて、私がそのおばあさんに介入して10分後には意識が回復したし、口の中のものを吐き出すことができた。
その後、救急隊が到着したので、状況説明をして、引き継いで私の任務(?)は終了した。
私が介入してから15分位の出来事で、意外に短い時間だったんだなぁと思った。

今回の事で、驚いたのは考えるよりも先に体が先に動いてしまうということが、私にもあるんだなという事。
思い返せば、考えるよりも先に行動を起こしてしまった事が過去にはあるけど、プライベートの場面で、誰かの生死もしくは急変に関わる事で咄嗟の行動を起こした事ははなかった。

振り返ってみても「あれまぁ」と思ってからの自分の行動は早かったな。
それにマスクの装着を忘れなかった事にも、自分で驚いた(褒めたいくらい)。
更に驚いたのは、そのおばあさんと一緒にいたおじいさんが夫婦だと思い込み、おじいさんに「お父さん、お母さんのお名前なんて仰るの?」とか「お母さん、持病とかある?」とさんざん夫婦扱いしてたのだけど、最後の最後に救急隊がおじいさんに「この方奥さん?」って聞いたら「いいえ。友人です。色々生活の面倒みてるんです。」って返事してたこと。
いやぁ、今の時代高齢の男女が一緒に食事してるからって、夫婦とは限らないのよねーと妙に感心してしまった。
何はともあれ、そのおばさんが意識が戻って、たぶん病院に搬送されたと思うけど、大事に至らなくて良かった。

こんな時、看護師であっても「私は何も出来ないから」と手助けしたり声をかけられない事があると思う。
急変に慣れていなくてどう対処していいかわからなかったりして。
私も別に救急対応に慣れているわけではないし、正直現場でAEDを使ったこともない。
だけど、看護師であるが故に、もし、その場の人(お店の人)だけで対応して、救急隊が来ている状態を傍観するしか出来なかったとしたら、私はきっと看護師なのに何もできなかった(しなかった)事を、きっとずっと後悔すると思う。

看護師であるが故に、「何かしないと!」という使命感と、
看護師であるが故の「看護師なんだから」という自分で勝手に背負ってるプレッシャーと、
どちらもあるなぁと思った。

救急隊がおばあさんを引き継いだ時には、自然に「任務完了!」と思っていた。
お疲れさん、私。

※今回の様に救急車を呼ぶ事態が起きた時、知っておくと良いと思った事(私が知らなかった事)があるので、以下に記します。
 百貨店などの中に入っているレストランで、救急車を呼ぶと、レストランの店員は百貨店の専門部署(緊急対応をする部署があるみたい)に連絡をします。
すると、担当部署の方がレストランに来て状況を確認してから救急車を呼びます。たぶんこれは百貨店などの急病者対応マニュアルなどに準じての対応なんだと思います。
なので、おじいさんが店員に「救急車を呼んで!」と言っても救急要請するまでに時間がかかります。
実際、その時点では救急隊を呼んでおらず、百貨店の安全係という腕章をつけた人が、現状確認してから救急要請していました。
また、百貨店の担当者が来たときに、今までの経過を救急隊に説明しないといけないので、今回の場合はおじいさんが担当者に状況説明をしなければなりません。
おじいさんは「肉を喉に詰まらせて意識がなくなった」としか説明出来なかったので、私が担当者に説明して、担当者から救急隊に伝えてもらいました。
その様な中、おじいさんの素晴らしかったのはちゃんと助けを呼べた事だと思います。「救急車を呼んで」と言えた事で、他のお客さんも手伝ってくれました。
手を貸して下さったお客さんは、医療関係者ではなかった様ですが、何か起きた時に手が出せるって素敵だなと思いました。

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