ボーダーライン 感想
ジャグリング・ユニット・フラトレス
第8回公演「ボーダーライン」
12月14日 ソワレ回 観劇しました。
自分の為の備忘録ですが、出演者やスタッフの皆様へも届くといいなと思いつつ書き綴ります。
全体的にオタクの早口です。
STORY
(公式より引用)
孤児院に二人の少女がいた。片方は海での事故により身体の自由が利かなくなっている。「残された感覚が尽きる前に母に会いたい」。彼女の願いを叶える為にもう一人の少女は探偵と共に港町へ。
感想
(記憶があやふやで間違っている部分たくさんあると思います。台本買えばよかった……)
便宜上、身体の不自由な方を少女A、探偵と共に行く方を少女Bとします。
まず目についたのはキャスト陣の衣装。全身黒い服の人と、白い服の人がいる。黒いのは黒子としてジャグリング演出をする側? 白いワンピースの人が少女なんだろうな、でも黒だけどドレスっぽい女性もいる……よく見たら探偵も全体的に黒。スーツっぽいけど。
黒は海(魚)側で、白は人間?じゃあ探偵も実は海側という伏線?と頭ぐるぐるしてたら、あっという間にOPへ。
リングの中に沈むボール。あ、これは水面に落ちる水滴なんだなととても分かりやすかった。ジャグリングの演出ってどういうものなんだろうと予想がつかなかったけれど、白いリングが確かに泡にも水面にも見える。ジャグリングの道具って舞台装置としてすごく汎用性高いんだなあ。落語家の扇子みたいだ。
それから全体でのボール演出。す、すごー(語彙力)
たくさんのボールが人の手からぽんぽん離れてスっと戻っていく技術、すごい。
観劇前に少し不安だったのが(ジャグリング技の成功失敗に気を取られてハラハラして、ストーリーや演出が入ってこなかったらどうしよう)ということだったんだけど、全くの杞憂だった。素人だからどこからが失敗で成功なのかよく知らないのもあるけれど、全員の技に統一性?があって、いい意味で目立つことがない。なのに揃いすぎてなくて(これは敢えてなのかな)、海の泡ってこんな感じだよなあと自然に想像できる。ブラックボックスの空間だからか、客席の自分が海の中に一緒に揺蕩っているような感覚さえした。なんてリラグゼーション。最近流行りのイマーシブミュージアムみたい。私は魚だった……?(違う)
少女たちのシーン。身体は不自由だけど希望は満ちていて、お母さんに会いたい少女Aとそれを叶えてあげたい少女B。ずっと一緒に孤児院で育ってきて、友達というより姉妹のよう。もうこんなの絶対叶えてあげなきゃじゃん、でも母が会いにこない理由はきっとポジティブなものでは無いんだろうな……しんど……と思ったところで探偵登場。最初の独白シーンがあったので、少女たちを導いていく役目なんだろうなと。「ラインを越えないように」という台詞が印象的。
探偵に母親探しを依頼し、ついて行きたいと願う少女Bと、依頼は受けるものの少女の同行は断る探偵。
きっと探偵として長い間生きてきて、人の生死もやるせなさもたくさん見てきたんだろうな。
ハットを使って別人にすり替わりながら逃げる演出もすごい。サイドに座っているキャストの動きも自然すぎて、アレッ今その道具どこから出てきた!? が多くて目が足りない。俯瞰で見たい。
探偵を追って辿り着いた港町で、危険に晒される少女B。首にリングをかけられる演出、私が奥側の客席だったので、かける側とかけられる側どちらの表情もよく見えてすごく怖かった。だから1人で行動するなとあれほど……(言ってない)
そんなこんなで人魚と呼ばれる母登場。1人だけドレスっぽい衣装だったのはこの為か。子どもを捨てたことへのやるせなさ、でも群れとして生きていかねばならない現実。ボーダーラインを越えた側。この母親役の方の演技がすごく胸に刺さった。
波の音がする貝殻を届けに戻ると、症状が進んで目も見えなくなっている少女A。ここの、視界のリングがどんどん増えたり減ったりする演出もすごく好き。実際、病気や事故で意識が混濁している人間はこういう幻覚を見るらしい。
それでも、身体が不自由になっても意思だけは奪わないでと懇願する少女Aが切ない。
シーンの順番があやふやなんですが、赤い照明の中たくさんの魚に襲われるシーンがとてもカッコ良い。これまでブラックボックスの中にほぼ白と青しかなかったので、赤い照明がめちゃくちゃ映えていた。白いスティック(魚たち)がハットを突き出しているところも。そうだ海って怖いところなんだと突き付けられる感覚。
母との再会~クライマックスまではもう泣いてた。道具の名前が分からないんですが、青のひらひらした布?がすごく綺麗。俯瞰で見たい(二度目)
ラスト、横たわる少女Aと語りかける少女B。応えないA。私の解釈が合っているのか自信ないんですが、これは少女Aはラインを越えてあちら側に……自由に動く手足を手に入れたということなんだろうか。ずっと誰かに支えられながら移動していた少女Aが、初めて軽やかに楽しそうに水の中へ進む対比が……よ、良かったねえ~~(涙腺ガバ)
久々の小劇場観劇でしたが、とても良かったです。キャスト陣、スタッフの方、良い思い出をありがとうございました。
同行した友人が、舞台観るのほぼ初めてらしくジャグリング? 遊園地とかサーカスでやってるやつ? くらいの認識だったそうなんですがそれでも「プロの技すごかった」「抽象的すぎて話が分からなかったらどうしようと思ってたけど、親子の話で分かりやすくて良かった」と。界隈外の人の感想からしか得られない栄養がある。一緒に観てくれてありがとう。
おしまい!