学力テスト 英語「話すこと」正答率12%は是か非か。
全国学力状況調査の結果が公表されました。
英語「話すこと」の正答率がものすごく低い!と問題視されていますが、当事者としては、「さもありなん」と思っています。
ちなみに、正答率は12.4%。
そもそも論として、「話すこと」テストって、何をどのレベルで測るのかが明確になっていないような気がするのです。
1 問題1について
最初の問題は、会話文になります。これを「話す」と考えていいのかどうなのか。当日にこれを渡されて、その場で考えて話す。
そういう場面が、日常にあるかどうか。
現状の英語授業の中で、それができるのかどうかかなり疑問です。
このような会話をするとき、前提としてどんな相手とどこへ行くなど、あらかじめ考えておくのが当たり前だと思うのです。
日常会話というのは、ぶつ切りで出てくるものではないし、前後のつながりがあって会話が成り立つものです。
このテストが何を試したいのかがよくわからないから、解答する生徒たちは何をしたらよいのかもっとわからなかったのではないかと思います。
この問題に答えられたからといって、「話す力がある」と判断されるのはかなりの疑問を感じます。
2 問題2について
こちらは、環境問題の短文を読んで、自分の意見を述べるという問題になっています。考える時間は1分、解答時間は30秒。
英検3級で、ライティング問題としてはありだと思いますが、ライティングはある程度書く時間も保証されていますし、対策問題や予想問題で、練習することもできます。
一方、こちらの問題は、「話す」とはいえ
①短文を読んで、英語を聞き、
②自分の意見をまとめ、
③それを英語で話すという3要素を、
数分でこなさなければなりません。
ちょっとすると、高校生、大学生でも難しいのでは?と思うような内容です。
この場合の「話す」は、1問目とは意味合いが違います。
まずは、英語を「聞く」「読む」→理解するという行為があります。
教科書以外の英文を読むことや聞くことが普通にされていないとできないことです。
さらに、その内容を基にして「自分の考え」を作らなければなりません。
今回は「環境問題」ですが、そのための知識や考えを普段から蓄えていないと日本語でも話せません。
問題意識をもって、時事問題に触れることや考える機会を持っていなければそもそも「何を話すのか」が浮かばないのです。
さらに、それを英語にして、英語で話すという3つ目のハードル。
話す内容もそうですが、英語で自分の意見を話すときの「話し方」があります。さらに、どのような「視点」で話すのかも、日本語と英語では異なるはずです。
話すためには、頭の中で英文を組み立てる必要がありますが、そのために必要なのが「英文法」です。文法を教えることをないがしろにしてきた英語の教育法では、きちんとした英文が作れないのは明白です。
3 まとめ
「教えるべきことを教えてこなかった」英語授業の結果が、如実に表れてしまったのだと思います。
小学校から英語を教えているから、これくらいはできるだろうと、「なんとなく」作られたテストなんだろうなと感じました。
実際の児童、生徒の現状をちゃんとわかっていたら、こんな内容にはならなかったはずです。
教科書の内容については、実はいろいろと工夫がしてあったり、扱うトピックも良いとは思います。
ワークや問題集についても然りです。
生徒たちに理解してもらおう、学習に取り組んでもらおうと涙ぐましい努力をされていることは重々承知です。
でも。
時代の変化に、指導法や内容が追い付いていない。
ChatGPTの問題についてもそうですが、トップダウンでは対応が間に合いません。
教えている私たちが、窮屈さを感じているのはそこなのです。
一律の「こうやりなさいよ」が、通じなくなってきているのだと思います。
だからこそ、「ここだけは、大事だよ」「ここは必ず、教えてね」という要点だけを示してほしいのです。
ここ数年の英語指導について、私はとても懐疑的です。
この結果を受けてもなお、コミュニケーション重視(?と言えるのかどうかもわからない)授業が推奨されるなら、このスコアは改善する見込みはないと思います。
今後、英語の教員を続けるとして、流れに抗ってきた自分としては、最後までこの大きな流れに捲かれることなく、粛々と自分のスタイルを貫くことに決めました。
基礎・基本を身に着けたら、生徒たちは自ら走り出します。
表現する楽しさを、自分たちで見出すのです。
やっぱ、文法 大事だから!!!!