見出し画像

『三菱HCキャピタル』株価軟調なのは何故か?

2021年に三菱UFJリースと日立キャピタルが経営統合して誕生した大手総合リース会社【8593】『三菱HCキャピタル』

現状25期連続増配中(2025年3月期も増配予想)。
配当性向も40%台で推移していて、業績に連動した無理のない配当を続けています。
稼ぎもしっかりしているということですね。

出典:マネックス証券

以前から高配当株として個人投資家からの人気も高い銘柄でもあります。

ですが、そんな三菱HCキャピタル、株価は冴えません!
昨年9月に株価1,000円を突破して以降、1,100円を中々超えられず。
かと言って(今年8月の暴落を除き)1,000円のラインも割ることなく、もみあいが続いています。

出典:株探

売上高&営業利益の見通しこそ出していませんが、会社予想としては最終利益は過去最高。
中間決算でも「経常利益が56%増益で着地、7〜9月期も89%増益」を発表。足元の業績も好調です。

出典:株探
出典:株探

実際に会社の予想通り過去最高益を達成できるかどうか?はさて置き、足元の業績も好調なのに何が三菱HCキャピタルの株価の重しになっているのか?
今回は私なりの考えをお伝えしていこうと思います。

ぜひ最後までお付き合いください。

※あくまで私個人の主観によるものですし、業績や外部環境に重点を置いた分析になります。
そこの所ご理解いただけますと幸いです。

考えられる要因

要因として私は以下のように考えています。

  • 業績未達の可能性&一過性の利益が多い

  • 貸倒関連費用の増加

  • 将来の政策金利の不透明感

順番に解説していきます。


業績未達の可能性&一過性の利益が多い

先月11月に発表された第2四半期決算(中間決算)によると、売り上げ実績は617億円。業績予想として掲げる1,350億円の半分に到達していない状況です。

出典:三菱HCキャピタル第2四半期決算概要資料

利益が出ていたとしても、成長しているのか?という視点で見ると疑問符がつきます。

そして前述しましたが、「経常利益が56%増益で着地」といっても”利益の出し方”に懸念点があります。

御幸ビルディングの売却益だったり、子会社のJSAの決算期の変更に伴う利益の前倒し計上(損失も同様)。
これらの結果としてプラス。利益となり、これらが業績を引っ張った形です。

出典:三菱HCキャピタル第2四半期決算概要資料

以上のように利益が出た・増えたといっても、保有している資産の切り売りや会計都合上の前倒し計上といった具合に、全体が伸びている、成長している訳ではありません。

その分航空機やコンテナ購入もしているため、次を見据えて投資していることは確かなのですが、それが直ぐに実を結ぶ訳ではありません。

それでいて達成率が50%に届いていないのですから、目先で見ると成長が鈍化する、ないし低下していくことが予想されます。


貸倒関連費用の増加

海外事業や環境エネルギーにおいて貸倒関連費用が増加していることも懸念要素の一つです。

2022年以降、米国では手に負えなくなったインフレを退治するために政策金利を異常なペースで引き上げてきました。

その弊害として、米運送市場の需給バランス悪化や金利高等により、運送業者の資金繰りの悪化を招きました。
その結果、支払い遅延の増加による延滞率の上昇、中古トラック価格の下落といったように、
”本来想定していた収益が回収できなくなっている”といった事情が存在します。

言葉通り”貸倒関連費用”なので、貸倒損失だけでなく貸引金も一緒くたにされていると思います。
ですので、「あくまで見積額の域を出ない話じゃないか!」こういう指摘もあるでしょう。

ですが運良く貸し倒れにならず貸引金が戻入れという収益に変わったとしても、その金額は微々たるものだと個人的に考えています。

三菱HCキャピタルの見通しとしては、
・大型トラックのスポットレート(運賃)が2024年7-9月に前年同期比プラスに転じ、 年末から徐々に回復する見込み。
・来年以降は利下げが行われていくことから、貸倒関連費用も来年度以降徐々に減少する見込み。
となっています。

出典:三菱HCキャピタル第2四半期決算概要資料


将来の政策金利の不透明感

先ほど述べた”貸倒関連費用が増加”にもつながってくるのですが、海外事業や環境エネルギーの収益を改善する為には、結局のところFRBの舵取り次第ということになります。

来年1月から米大統領に就任するトランプ氏は関税強化を公約に掲げていますし、FRB理事たちの足取りも揃っていません。
一番重要なインフレ率、CPIも大分落ち着いてきたとはいえ2%の水準には少し足りません。
何らかの要因でインフレがぶり返すことを、数多くのアナリストが指摘しています。

そんな不透明な状況の中、将来のアメリカの利下げを当てにして良いのか、私は疑問に思います。
去年の暮れも「来年は利下げが6回も行われるだろう!」と思われていたのに、蓋を開けてみれば(今のところ)3回に留まっています。
それくらい将来の金利見通しは難しいのです。

日本も例外ではありません。
日本は逆に金利を上げたがっていますから、金利が上昇すればリースに必要なものを購入する時のコストが上昇することを意味します。
それも収益悪化の要因になります。


まとめ

今回は【何が三菱HCキャピタルの株価の重しになっているのか?】というテーマでお届けしてまいりました。

しっかりした業績と連続増配、多角的な事業分散といった具合に素晴らしい企業ではあるのですが、決算資料を読んでいくと懸念要素が多く見受けられ、株価として冴えない状況が続いているのだと思います。

この記事を投稿するのが18日なので、ビッグイベントFOMCの結果が控えています。
※日本も同様に日銀金融政策決定会合が控えています。

三菱HCキャピタルだけでなく、世界中の企業に関係する方針が打ち出される為、要注目ですね。

以上何か一つでも参考になっていただけましたら幸いです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

※この記事がちょっとでも良かった、役に立った、心が動いたと思っていただけましたら、スキ&フォローしていただけると嬉しいです。
また「応援したってもイイよ!」という心優しい方は、チップをお待ちしております←図々しいお願い


いいなと思ったら応援しよう!

なおモン
よろしければサポートお願いします! PayPayもご利用いただけます