ショパン【小犬のワルツ】〜 過去への回想
ご覧いただき、ありがとうございます!
ピアニストの吉村直美です♪
ショパンの作品の中でも、有名な一曲『小犬のワルツ』を取り上げます。
◆正式名称と由来
『小犬のワルツ』の名で親しまれている作品の正式名称は、ワルツ第6番変ニ長調作品64-1です。
ショパンの当時の恋人だったジョルジュ・サンドが飼っていた小犬が、尻尾を追いかけて回る様子からインスピレーションを受けて作曲したというエピソードが公になっています。
そのため、『小犬のワルツ』という愛称で呼ばれるようになったのですが、ショパン自身が名付けた訳ではありません。
◆作曲時の背景
作曲年は、1846年から1848年です。ショパンが、36歳から38歳の頃になります。
ショパンが亡くなったのは1849年ですので、30代とはいえども、晩年の作品でした。
前述の文章に、当時の恋人ジョルジュ・サンドが飼っていた小犬を見たことが作曲のきっかけになったと記載しましたが、作曲時はちょうどジョルジュとは破局した時期にもあたります。
◆作品から読み解く一例(抜粋)
私なりの一解釈とはなりますが、現在残されている楽譜から読み解ける内容から、冒頭の部分のみ取り上げてみたいと思います。
調性▶︎変ニ長調:
長調自体は、明るい雰囲気を持ちますが、変ニ長調となることで、暗めのキャラクターを暗示します。
フランスのロマン派作曲家ベルリオーズが、変ニ(レの音にフラット付く)音を、『暗い、あまり明るくない音』と
分類できることを叙述していますが、
ショパンの当時の背景を振り返ると、まさにそのような心境であったのではないかと思われます。
音形▶︎まわりながら繰り返す
譜面から見ても、ト音記号上に記された音形から、小犬が軽やかに回っていることが伺えます。
一説によると、最高音は小犬がつけていた鈴の音ともいわれています。
速度記号▶︎Molt vivace
速度については、イタリア語で、『非常に活発で速く』という意の指示が記載されています。
キャラクター▶︎leggiero
作品の性格や演奏上の音色を指示する言葉には、『leggiero』(訳=軽やかに)が用いられています。
小犬ですから、尻尾を追いかけると、軽やかで速い動きになりますね!
ここで取り上げたのは、冒頭のたった数小説ですが、ピアノの鍵盤上で響く音色や指の動きが、より明確に想像できるようになりワクワクします!
◆明るい調性が暗示する感情が逆?!
ロマン派時代の音楽に触れると、長調なのに悲しい思い出を語っている作品がいくつも見られます。
その点は、歌曲の方がより明確に見られるかと思います。
例えば、プッチーニ作曲のオペラ作品『ジャンニ・スキッキ』でソプラノが歌う名アリア『私のお父さん』。
このアリアの背景は、要約すると、主人公の女性が想いを寄せる男性と自らの家族の仲がうまくいかず、その仲を引き裂かれそうになった時に父親に懇願するという場面です。主人公にしてみれば悲劇寸前という心境なのですが、長調が用いられています。
なぜ悲しい心境が長調に?その理由は、、
私が感じる理由はたくさんありますが、今はあえて記さないようにしたいと思います。
学術的な根拠より、ここは個人の感性に任せる領域かもしれませんし、最終的には音で感じることを大切にできたらと思います。
◆演奏動画
最後に、自身で演奏したショパン:「子犬のワルツ」をお届けします🎹
◆おまけ🐕
我が家の実家にいる愛犬の子犬ミニシュナ(ミニチュワ・シュナウザー)ちゃんに、周る様子を再現してほしく、綱を回してみたところ・・・
以前は、一緒に周ってくれたのですが、、
12歳を超える(犬生では老婆)大人になり、体力温存のためか自ら周ることはせず、、綱が自らのところに周ってきたときのみ飛びつくようになってました😅
要するに賢くなっていたのです🐶
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
ピアニスト吉村直美🎹