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【涙を誘う音色】マティアス・キルシュネライト氏演奏ブラームスピアノ協奏曲第1番を聴いて

ご覧いただき、ありがとうございます!
ピアニストの吉村直美です♪

東京オペラシティにて、ピアニスト・マティアス キルシュネライト氏と飯森範親指揮によるパシフィック・オーケストラ東京の共演で、ブラームスピアノ協奏曲第1番をお聴きしました。

この日は、3度目頭が熱くなりました。

演奏の最中、特に、第2楽章(緩和楽章)では、天国から降り注ぐベールのように柔らかい音色に、目頭が熱くなる涙を誘われ、自然かつ絶妙な間の取り方に心奪われ、ブラームスがその場に居るような感覚さえ得ました。

ブラームス自身、第2楽章の最後に、ラテン語で祈祷文の一節『ベネディクトゥス』が引用されており、まさに、特別に心に響く祈りでした。

🎶♪🎶

この作品を作曲した当時、ブラームスの恩師でもあったロベルト・シューマンが亡くなった後であったため、ロベルトへの追悼を願う想いと祈り、ロベルトの妻であったクララ・シューマンへの悲しみへの慰めが込められているといわれています。

ピアノ協奏曲第1番にブラームスが選んだ調性は、鎮魂を意味するニ短調であることから、自身が尊敬を寄せる故人ロベルト、そして、現存するクララへの両方へ捧げた曲であったのかもしれません。

🎶♪🎶

キルシュネライト氏は、ブラームスの生誕地であるハンブルクを拠点とするドイツ人ピアニストであるからこそ、氏が在るがままのアプローチで導き出す音色でもって、ブラームスの魅力を最大限に聴衆に伝えてくれる貴重なピアニストだと、あらためて感じました。

マティアス・キルシュネライト氏の公式ウェブサイト:
https://www.matthias-kirschnereit.de/

ドイツ国立ロストック音楽演劇大学のピアノ科教授であるマティアス・キルシュネライト氏とのご縁のはじまりは、約30年前になります。

ロストック音楽演劇大学は、私が、ドイツで初めて留学した音楽大学でもあり、
キルシュネライト氏は、当時、ピアノ科学部長を務められていたので、はじめてお会いしたのは、入試で演奏した会場でした。

(いつの間にか、こんなに時が経ってしまったなんて😱😱)

『もうダメだ...』と思ってしまった入試でしたが、、

有難いことに運良くご縁いただき入学し、そこから4年間、大学内での試験やコンサートで演奏を聴いていただいたり、時には、キルシュネライト氏が学内で主催されたコンサートに出させていただいた事も何度かありました。

ご自身の演奏を初めて拝聴したのも、ロストック音大で開催されたコンサートでした。当時、ドイツのメディアでは、若手の星ともいわれていたキルシュネライ氏は30代でした。

(ちなみに、私は落ちこぼれの10代でした🔰🐣)

キルシュネライト氏の演奏は、その時も素晴らしかった事には変わりありませんが、

今に至るまでの30年の間に、聴くたびに、毎回より魂に響く深みを増しており、
人としての成長が、芸術表現豊かなピアニストへと磨かれていく事を、身をもって教えくださった先生だと感じています。

ブラームスの音楽の魅力のひとつは、哲学的で人間的な愛情の奥深さの表現にあると感じますか、キルシュネライト氏は、その魅力を届けてくださる稀なピアニストの1人でもあるかもしれません。

会場の席の近くにいらっしゃった知らない方が、

「2楽章の柔らかい音のなんて綺麗な事。。」とため息をつかれながら、お話されていたのが聞こえてきて、思わず嬉しくなってしまいました。

というのも、テクニックが発達した時代、派手で技巧的な演奏はわかりやすく、インパクトを与えやすいとされていますが、

このように、静けさの中に響く音に多くの人々が心奪われるひとときが、東京の名ホールでも起こっているという事実を身をもって体験できたからです。

嬉しく感動的なひとときでした。。。。

音楽には、いろいろなジャンルがあり、様々な楽しみ方がありますが、
なかでも、静けさの中で音色に耳を傾けて心で感じる、という楽しみ方は、人生をより豊かにする1つの可能性にも繋がるのではないかと、思いました。

アンコールでは、ブラームスのソロを弾いてくださるのかなあ😀と勝手に想像していましたら、

なんと、ショパンのノクターン嬰ハ短調遺作を大変美しく弾き始められ、私自身、個人的に思い入れもある曲だったので、涙が次々に溢れてしまいました。。(この日、2度目の涙😭)

🎶♪🎶

終演後は、キルシュネライト氏をドイツから招聘された団体、SMS(一般社団法人サポート ミュージック ソサィエティ)様からお声がけいただき、

キルシュネライト氏ご本人と久しぶりにご挨拶し、楽屋や舞台裏に伺わせていただいたり、打ち上げにもご一緒させていただきました。

大変お世話になっているSMS様の温かいお気遣いに感謝です🙇‍♀️
SMS様公式サイトはこちらです。

舞台袖口から見えるキルシュネライト氏
楽屋口には、「マティアス・キルシュネライト教授」とありました。

私事で恐縮ですが、今年は、大変ブラームスにご縁があり(というより、何故か迫ってこられており・・・)、ドイツからもブラームスに関わる演奏会にソロでの出演にお招きいただいております。

演奏だけではなく、トークも(ドイツ語で)ご依頼いただいているため、あらためて、ブラームスについてドイツ語で勉強し始めているところ、

自ら叱咤激励するため、ブラームス国際協会の会長も務められるキルシュネライト氏にブラームスの本へサインをお願いしました!

お名前だけでも、、とお願いしましたら、温かい激励のお言葉まで書いてくださいました😭思わず目頭が熱くなり、この日の3度目の涙を誘われました。

(この時ばかりは、頑張って笑顔を保ち抜きましたが☺️!)

1年間頑張る思いをいただきました🎹!!!🙏

この日は、お誕生日を迎えられたばかりのキルシュネライト氏のお祝いもありました🎉

「僕は、63歳?いや、36歳になったのかな?(笑)」と、
数字のバルーンを手に喜ばれるキルシュネライト先生。

元門下生で現在活躍中の素敵なピアニストの方々とも久しぶりに会え、
ドイツ留学初期時代に楽しさや辛さを一緒に味わってきた友人達とも過ごせて、
感動的で嬉しいひとときでした🥹🥹🥹🥹

招聘団体のSMS様、あらためて、お気遣いをありがとうございました🙏

マティアス・キルシュネライト氏について、過去に掲載させていただいた関連ブログはこちらです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

ピアニスト吉村直美🎹


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