シューマン(リスト編曲):献呈(君に捧ぐ)
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ピアニストの吉村直美です♪
今回の記事では、題名にあるシューマン作曲の献呈について綴ります。
▪️作曲された当時の状況
ドイツ出身🇩🇪(当時はプロイセン王国)の作曲者のロベルト・シューマン(1810年〜1856年)が生きた時代は、
それ以前に主流だった古典主義による理性偏重、合理主義と捉えられた主義などに対し、感受性や主観に重きをおいたロマン主義が精神運動として起こっていました。
その動きは文芸・美術・音楽・演劇などの芸術分野に及び、ロマン主義という思想の中で相互に影響し合っていました。
とりわけ、シューマンは文学と音楽の結びつきに影響を受け、文学作品から多くのインスピレーションを受けて名曲を残しています。
『献呈』は、その代表的な名曲ともいわれている作品です。
▪️題名に込められた想い
原曲は、ロベルト・シューマンが結婚前夜に、妻となるクララに捧げた歌曲
『ミルテの花』歌曲集の1曲目にあたる「献呈」です。
ロベルトとクララの結婚に関しては、クララのお父さんが猛反対をしたことにより、最後は裁判沙汰になるほどでした。
そのような困難を乗り越えた後の前夜に、感謝と決意を捧げた曲とも言えるのかもしません。
同じロマン派時代に生きたフランツ・リストが、ピアノ用に編曲をした作品です。
ピアノでの表現の可能性が見事に用いられており、今では、独立した名曲として有名になっています。
▪️曲の内容と歌詞
歌詞は、ドイツ人の詩人フリードリヒ・リュッケルト(Friedrich Rückert/1788-1866)によるものです。
(原語:ドイツ語🇩🇪)
▪️ドイツ語とメロディーの抑揚について(楽譜の抜粋)
作品への解釈は、多種多様ようですが、ここで、私一個人の解釈と分析のごく一部を載せたいと思います。
『献呈』の素晴らしい詩に、シューマンは見事にドイツ語の感情表現に沿ったメロディーを見事に創り上げています。
魂から心、喜びから痛み、この想いを表現する主要な単語は、ドイツ語で語る時ににも強調されますが、それぞれの言葉の役割によって、音の高さが違っています。
冒頭の部分のみ取り上げましたが、
最初のメロディーだけでも、ため息が出るような想いになります。
ピアノが加わえられることにより、死と永遠、厳かな真剣さ、秘密などを意味する調性である変イ長調がさらに、歌詞を引立て、
感情の変化に色を伴わせる和声が、メロディーの抑揚を一層引き立て、歌詞が音楽として生きています。
冒頭のでは、『あなたは私の喜び』の部分で、主和音から下属和音(A♭→D♭)へと変化することで、初めにはなかった気持ちの高まりが伺えます。
F.リストが、ピアノ独奏用に編曲したことで、奏者は一人二役を担うことになりますが、作品の後半には、ピアノならではの煌びやかさ(Lebhaft)が生きてきます。
▪️演奏動画🎹
フルで演奏した動画です。
是非、お聴きください🎹
作品の視聴のみを楽しむために、楽譜の内容を把握する必要は全くありませんが、
シューマンとリストが作品に盛り込んでいる秘密があることを知ることは、作品への共感や感動が増すきっかけに繋がるかもしれません♪
ピアニスト 吉村直美
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