琥珀色のたばこの匂い
ほんとなのだけど 書いていると
いつも同じ匂いが漂っていると気づいた
思えば もう 一年ほどになる
世間から距離を置いて過ごし
日記のような雑文や
ありもしない出来事を夢中で書いて
読み返しては書き遊び 直したりしていた
そのうちに
色で言えば琥珀のような
焼いた杉の匂いを百倍に薄めたような
それがたばこの匂いと勝手に決めているような
私が違う次元にいると いつも決まってその匂いを吸い込みながら過ごしていた
この夏 転勤で北の故郷に戻った妹と
先日ラインを交わしていて
私はふと その匂いの話しに触れた
すると ・・・それ
私もなんだけど と書いてよこした
妹は深夜2時半に決まってその匂いで目を覚ます という
直感で 父さんじゃないの? と私は送った
なんで?と10歳も違う妹には まったくピンと来なかった
彼女は物心ついたときに父と生き別れ
新しい父親のもとで成長し
私はすでに関西で学校に通う寮ぐらしで
故郷へは帰らぬと決めていた
私たちの父はその後 東京で亡くなった
だから妹には 夜中に漂う匂いが父だと言われるのは意外らしいが
妹を可愛がった父親がポンと私に浮かんでいた
妹は 龍やUFOを見る能力を持つ親友に話し 彼女も私と同じことを言ったと書いてきた
故人が近親者を見守る話はあるのかもしれない
でも それがどんなふうに効力を発揮するかは確かめようがない
妹については 彼女の家族を含めて取り巻く物事が驚くほどスムーズに運び
妹自身が驚いている 人生がうまく進んでいる
一方 私の方は
あの匂いが父だ とは思えないのだ
なにかを考えたり書いたりして
楽しんでいるときに 知った人に出てこられると 思考が純粋じゃなくなる
こんなふうに思うと
匂いを漂わす主は どう感じるだろう
私は今年の梅雨あたりから
その主に レンさんと名前をつけた
レンさんは大阪弁で私の意識の中でチャチャを入れてくる
なんで大阪弁なの と思うと
標準語も喋れるよ と返してくる
でも あまりにかっこよすぎるやろ せやから
やめてん と そり返る
レンさんは 私が書いている時に
口出しすることはない 集中させる
その最中で匂いに気づく
寄り添い そばにいるのだろう
この存在感を 最近は まただと確かめる余裕
今度はレンさんのような人の話を書こう
と思っている。もちろん実体を持つ人として
実は もうすでに少し書いている
その姿形がぴったりの人物に 先日も人混みの中でばったり会った
私には その人が3百メートル離れていても見つける能力があるようだ
これまでだって偶然会う時は かなり離れていても分かった。
レンさんの話を思いついた時は
京急電車に揺られていた
妄想が展開して ふと目を上げると
向かいの車窓の上の場所で
デカデカとアップで笑う彼の顔の広告が張り付いていた
いつでもどうぞ と笑っているようで
感激で 嬉し泣きした自分に…苦笑いした
彼はヘビースモーカーだと聞いている
琥珀色の漂う匂いがぴったりだ
見えないものは都合よく味方にするのも手だ と思うようになって数年経つ。
noteを書いていても 時おり琥珀色のたばこのような匂いが漂うことがある
たばこが敬遠される時代の流れに完璧な逆行
だけど
たばこ吸いの男性に
捨てきれぬ憧れのアウトローの姿を
私は持っているのかもしれない
無味無臭では味気なく感じる
アクの強い古い人間が私の中にいるんだと思う
ここまで お読みいただきありがとうございました。
このつぶやき・・・
ホントごめんなさい恐縮です 笑