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ミシェル・ルグラン 2〜シェルブールの悲しみは続く

ミッシェル・ルグランを知らなくても、
『シェルブールの雨傘』の曲は聴いた事があるという方は多いだろう。

1964年フランス映画,セリフは全編音楽
通常ミュージカルにあるダンスシーンはない。
車の整備士ギイと傘屋の娘ジュヌビエーブの恋が戦争によって壊れる物語である。

シェルブールを“あとりえ・あっしゅさん“が
旅の記事にされている。
ロケ地をそのまま残している箇所が、
町には数々ある
とのこと。
美しい写真で詳細に案内をされ、
この映画ファンには必見の内容だ!


この映画は全編がデザイン帖や絵画だ。
ジュヌビエーブの色、ギイの色。
建物、背景、自転車、部屋の壁、
曇天が多いシェルブールの暗色系を背景に、
鮮やかな色彩が画面あちこちに配置され、
まるで華やかな舞台のような気さえする。

音楽も前半はジャズ、ダンス、オペラ観劇
リズミカルで明るい曲調が続く。

ジュヌビエーブを愛する宝石商人カサール
自分の過去を混ぜて語る歌も、粋な旋律で
英語圏では『Watch what happens』として
多くの歌手、ジャズメンが取りあげている。


ギイの子を宿すジュヌビエーブを愛し、
結婚を申し込むカサール、
ギイのおばの面倒を見る優しい娘マデリーヌ。未来ある若者、優しい老人、
登場人物のキャラクターはほとんど善人

唯一の悪役は戦争だ。二人の愛を戦争が壊す。


ミッシェル・ルグランが亡くなった年、
2019年、フランスで『2000人コーラス隊』がこの歌を合唱した。

戦争で引き離される互いの思いを、
2000人の男女が歌い上げる。

その声と、歌う方々の表情を見ていたら、
今起きている戦地の人々が重なった。

歌われる言葉は私たちの当たり前の感情。
彼と、夫と離れたくない、
行かないでと懇願する女性
自分も辛いが行かなくては。
死ぬまで君を愛していると告げる男性

なぜ、こんな目にあわなきゃならない、
あなたなしでは生きていけない
愛している。行かないで。

人々の嘆きの音が集まって
天空を埋めた。


人はわかっているのに
愚かな戦争をやめない。
何かが怒涛のように胸に突き上げてきた。


映画『シェルブールの雨傘』は
これまで世界中で起きていた
戦争悲劇の一つ
だということを
改めて思い出す。

神と地球が人間を見放す前に
変わらなければならない
と思う。

次は音楽の魅力について書いてみたい。

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