はじまりのまえ~人形劇やってみよう
札幌に唐十郎がいた
時をさかのぼること2016年。
札幌市には人形劇の専用劇場があり、週末や長期休暇期間の平日など、公演が定期的に行われています。
普段、演劇公演などを見に行くのが好きで、同じような感覚で「なんとなく」、その年の初心者講座の修了公演を見に行きました。
とある劇団の演目、「あかずきんちゃん」。
あかずきんちゃんがお母さんにおつかいを頼まれ、おばあちゃんのおうちに向かいます。森の中を歩いていきます。
ここまではよくある、どこかで見たことある、あかずきんちゃん。
おばあちゃんの家に着き、家のセットに転換。この後、事件が起きます。
あかずきんちゃんを操演していた方が、黒子の頭巾を脱いで、自分の顔をおばあちゃんのベッドに当てて、おばあちゃん役で芝居を始めたのです!
人形劇って言ってるのに人間の顔かよ!しかも本物のおばあちゃんがおばあちゃん!これってアリなの?
さらにさかのぼること数十年前の記憶がよみがえります。
大阪は扇町公園の紅テントで、ストレッチャーに乗ってホリゾントをブチ破って登場する唐十郎。
私はこのあかずきんのおばあちゃんに、唐十郎バリのアングラの面影を見て、衝撃を受けました。
なんでもアリか、そうか、逆に人形だからできるのか。
ストレッチャーで出てきた唐十郎は唐十郎でしかなく、急に李麗仙にはなれません。
人形劇だとできるということに、気づいた。
人間の肉体で解決できないことを、表現できるじゃないか。
フレームは「講座」なので、このぶっこわれた演出を許可した、あるいは提案した「先生」がいるはずです。
そんな環境であれば、私もちょっとやってみたいな…と思い、次の年、2017年、4月から無職になったこともあり、講座に申し込みました。
不真面目な生徒
受講の目的は、「人形劇を作ってみたい」。
講座の具体的な内容も知らずに参加し、あとでドン引きすることになります。
知らない大人同士が急にグループ分けされる
作品選びから自分たちで。もちろん脚本も書く
人形のデザインも自分たちで。作り方から教わる
考えなくていいのは照明プランぐらい
先生は手伝ってくれるが、どうしたいかは生徒次第
公演の日は決まっているので、なんとしても仕上げなくてはなりません。
演目は「3びきのやぎのがらがらどん」。
トロルを作りましょう(楽しい)。
トロルを演じましょう(しんどい)。
トロルは登場の時は歌うんです(義務)。
人形作るのは楽しいですが、演技がどうにも。。。歌も下手(嫌い&苦手)。
人形がちょっと重くなってしまったので操演が大変で、先生が動かすとめっちゃカワイイのに私が動かすとモッサいトロル。
人形劇にはいろいろな形の人形があります。
この時は変形棒使いのような感じでしたが、もっといろんなタイプの人形を作ってみたいなあと思いました。
人形を「作ってみたいなあ」。
このあと他の劇団のサポートで入ることで手使いの人形を作成し、その劇団で2018年の経験者講座でほぼオリジナルの作品を作ることになります。
テーマ選びの時や脚本に関しては発言が少なく、金魚のフンのように他のメンバーについていくだけ。
何をやりたいかは希望がなく、テーマと脚本が決まったらどう作るか考える。一人では全部は作れないので、デザイン指示してあとは皆さんよろしくね、という大変不真面目な生徒でした。
人形を作るのは楽しい、でもそこで何を表現したいかな?と考えると…。
さて、どうしましょう。
少し立ち止まってみることにしました。
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