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コミケに初参加したら ユニークすぎるZINEと作り手に出会えて楽しかった話

「今度のコミケ、一緒に行きませんか?」

そんなLINEをもらい、8月13日、人生で初めてコミケに行ってきました。

ビックサイトで夏と冬に開催されている、あのコミケです。
なんと、今回で、記念すべき100回目!!!

台風と遭遇する前に帰れました

コミックマーケット コミケット  コミケ。
皆さまご存知ですか。そして、参加したことってありますか。

もしかして、コアなアニメファンやゲームファンとコスプレイヤーと、同人誌で二次創作の世界を楽しんでいる人しかいない空間、我々とはちょっと遠い存在・・・・とお思いではありませんか。

確かにわたしも、ニュースやTwitterなどで度々見かけるし、何となく気にはなるけれど、本当に漠然と、"ものすっごい混雑していて大変ディープな世界のイベント"という、うすぼんやりして失礼極まりない印象しかなかったです(ごめんなさい)

加えて、これまでの人生で "コミケに何度か行っていて、「一緒に行かない?」と誘ってくれる人"に出会えてこなかったのも、余計に遠い世界に感じる理由でした。
四半世紀ずっとオンタイムでエヴァを追いかけ続けていたのに。アニメもマンガもけっこうコンスタントにハマってきたのに。出会わないものですね。



でも、2022年夏、ついに現れたんです!!!誘ってくれる人が!!!

それは、いま開催の準備を進めている一箱古本市のつながりで、ZINEジンをつくるワークショップの講師をしてくださっている編集者の方でした。

「コミケは、ZINEジンやリトルプレスも並ぶイベントとして、文学フリマと合わせて盛り上がっている」とのこと。思いがけないお話でした。

一箱古本市とZINEワークショップの話も気になるところかと思いますが、長くなるので、近いうちにまた。
よろしければ公式Twitterをフォローください。中の人、やってます✍


ZINEジン もしくは リトルプレスとは、商業出版ではないので流通経路も部数も限られているものの、商業出版では難しいような、作り手の"好き"と個性とこだわりが大爆発している、めくるめく魅惑の世界がつまった紙の本のこと。

つまりは、同人誌、なんです。

なんですが、ここ5~10年くらいでしょうか、内容はもちろんのこと、紙や製本や印刷、デザインにもっと凝っていて、かわいかったりおしゃれだったり、アートっぽかったりスタイリッシュだったりするものを、ZINEやリトルプレスと呼ぶようになりました。


その編集者の方は、同人誌やZINE、リトルプレスの数々を、全国・世界各地で長年にわたって収集し続けてこられている方、そして、定期的にコミケにも行っている方。

そんな方が案内してくれるなら、鬼に金棒どころかライトセーバーくらい無敵すぎる。
初心者でも安心!今行かないでいつ行くんだ!!!と、同じく初心者の知人と一緒に、お供させてもらうことにしたのでした。



ところが当日、まさかの台風襲来
そして諸事情により、なんと初心者2人のみがビックサイトに集合、となってしまいます・・・万事休す!!!

強風にすっ飛ばされそうになりながらも、いろんな親切な方のおかげで、なんとか無事、ビックサイトの中へ入場できました。
どうやら午後からの集合・参加としていたのが、功を奏したようです。


会場内でさっそく、コスプレエリアの横を通過。トトロの姿に おおおおお!と驚き、

広い会場にずらずらずらーっと並ぶブースと人の多さに、ええええええ!と驚き、(実際に南地区には行けなかったのですが、どこもこんな賑わい)


と、終始圧倒されっぱなし。

初心者コンビゆえ、予め編集者の方に教えてもらった、東エリアの評論のあたりにたどり着くだけでもへろへろでした・・・



コミケの終了は16時。
約2時間という限られた時間と、我々に残された体力との兼ね合いもあり、結局、評論のあたりのみしか巡れませんでした。
おそらく、コミケ会場全体の5%にも満たないんじゃ?というくらいの範囲です。

なんと数十m先では、羽海野チカさんのサークル(販売ブース)があったらしいのに!!!ぜんっぜんわからなかったくらい。
『ハチミツとクローバー』や『3月のライオン』などを愛読してる者としては、完売してたとしても目撃したかったなぁ・・・



とはいえ、今回お邪魔した評論エリアの存在を知り、本当にいい意味でコミケのイメージがガラッと変わりました。こんな場所があるんだ!とびっくり。

しかも、一つひとつのサークルで販売されている作り手の方と本が、本当にユニーク。とにかく楽しかった。あっという間の2時間でした。

例えば、食がテーマなら、カレーやラーメンはまぁ納得かもですが、作り手ご本人がマッチョで説得力ありすぎるプロテインだけの本とか、デザインがとても素敵な金沢の和菓子だけを紹介してる本とか、永谷園さんも公認!なお茶漬け狂な方のレシピ本とか。

コアな世界を紹介するあの番組から度々出演依頼が来てる方だそう


乗り物系は、電車だけでなく、路線バスやローカルなコミュニティバスを集めたもの、移籍車をまとめたものも。

写真集もたくさんあって、建築に限らず、なかなか一般人が入れない、カミオカンデみたいな研究施設内だけの本とか、大きなアンテナだけの本も。

あと、お仕事で南極の昭和基地に滞在していた方による、南極の動物たちの写真集や、滞在日記、キーホルダーなどのオリジナルグッズを展開しているサークルも。

皆さまのディスプレイ力✨大変勉強になりました

現地では遭遇できなかったのですが、こんな方も。某ショップのにそっくりなPOPもさすが。



今の時代は、ネットサービスが本当に進化していて、何でも自分で手作りしやすいんですよね。
オンデマンド印刷でオーダーされた分だけ本を印刷できる、とか、Amazonで手軽に電子書籍化して販売できる、とか、SUZURIみたいに簡単にグッズを制作販売できるサービスもありますしね。


ほんの一部だけのご紹介で恐縮ですが、エリアの様子が伝わりましたでしょうか。
とにかく、なんでもありなんだな、自由で楽しすぎるな、とワクワクするばかり✨
それまでの疲れを忘れてしまうほど、あちらこちらへぐるぐるし、作り手の方にお話しを伺い、これは!というものを購入させていただいたのでした。

で、何を買ったのさ!

ということで、ここからは僭越ながら、わたしが購入した順に、魅惑の書籍の数々と作り手の方をご紹介させてください!!!

1.珍しい物を食べる会  珍味ミシュラン  総集編3  宗教飯(東京都内編&インド聖地編)

読むのが楽しみです。もっと買えばよかったかも。

最初に出会ったのがこちら。
作り手の方が実際に食べ歩いて取材・編集した本の数々。そして、このテーマですでに10年以上活動されている、とのこと。

フリーメイソンの話とか、興味深い話題をあれこれ喋って、とっても面白かったです。自分の知らないことばっかりで、世界は広いな!とつくづく思いました。

わたしは大学で学び始めて、世界の宗教の歴史や異文化、文化人類学にも興味が広がったため、この一冊を選びましたが、どの特集も ものすっごい気になりました。
ちなみに、一緒に行った知人は、秘密結社飯を購入。読み終わったらお互いに貸し借りさせてもらう予定です。

2.『源氏物語』を萌えの観点から読み解く本  総集編&番外編

大学での学びの中で、古典文学にもあれこれ触れていますが、ちゃんと読みたいと思いながらも躊躇していたのが源氏物語。

こちらの本の作り手は女性。かつ大変とっつきやすい切り口と文体で、物語の大枠や登場人物と相関図などを、初歩の初歩から解説してまとめてくれており、一瞬で、源氏物語ちゃんと読みたい!面白そう!!!と興味がわきました。

残念ながら、ご本人とはお会いできず。めちゃくちゃ可愛くて人気のレイヤーさんだったようで、なおさらお話ししてみたかった・・・。本当に多才すぎる。素敵です。
デスクにぺらっと置かれたフリーペーパーも相当おもしろかったし、SNSなどで活動を追いかけさせていただこうと思っています。


3.土木学生がアニメ聖地巡礼してみた!@沼津

これは完全に『ラブライブ!サンシャイン!!』につられて、ではなく、沼津の地理地形にまつわる内容が良く出来ていて、地元民として買わずにはいられなかった一冊。

作り手は、関東エリアの大学に通うインカレサークルのメンバーの方。
こちらも残念ながら、ご本人はお買い物に出ていたようでお会いできず。
でも先日偶然、noteアカウントを見つけて、SNSとあわせて引き続き活動を追いかけさせていただこうと思っています。

『ラブライブ!サンシャイン!!』、そして『ゆるキャン△』のおかげで、沼津・伊豆は盛り上がっております。
他にも数多くの伊豆や沼津を巡った本を見かけました。本当は全部買って帰りたかったくらいでした。ありがたい!!!
聖地巡礼しにいらしてくださり、いいところですね!!!と存分に楽しんでもらえて、地元民は本当に嬉しい限りです。


4.フォロワー10万の人を連れていける店  TWO

只者じゃない感が漂う 別格のクオリティ

グルメガイド本、ミシュランガイドすら買ったことがない人間ですが、こちらは作り手の方と話してみると、もう本気度合が相当。
かつ、立ち読みさせてもらうと、確かな情報しか載っていないことがよくわかったので、思わず購入してしまいました。
巻末の喜ばれる手土産リストもかなりの充実ぶりで、とても参考になりました。

後からTwitterを見てみたら、どうやら知っている人は知っている、超有名な作り手の方であり、メディア業界や芸能界に関わる方々の中では超有名な一冊、だったみたいです。

こんな本もあるんだなぁ、コミケって奥が深い・・・と驚いたのでした。

5.Hasselblad 500C×近代建築×都道府県庁舎

最後がこちら。
本当は全部ほしかったのですが、普段、現金を持ち歩かないせいで、この日もうっかり現金を持っておらず(初心者・・・)、厳選してこのハッセルブラッドの一冊に。

作り手の「山Dの電波暗室」さんは、関西在住。文学フリマなどでも売っていそうな素敵な写真集の数々ですが、参加してるのはコミケだけ、とのこと。
もう長らくコミケに参加されてらっしゃるそうで、製本や紙の話など、気さくにいろいろとお話しくださりました。

てか、コミケにいる作り手の皆さん、どの方も本当に優しかった。そしてとっても気さくにお話ししてくださるので、初心者コンビは本当に嬉しかったです。

6.エルミタージュ美術館の天井

最後はこちら。
持ち合わせがなくて現地では買えなかったけど、ネットでポチりました。テーマもクオリティも素晴らしくてびっくり。これ自分で作っただなんて!

そう、絵画だけじゃないんです。ミュージアムって、天井も壁も照明も、廊下も階段も、トイレだって、どこもかしこも見どころしかないんですよ!!!

でもこういう本、あるようでなかなかないんですよね。たぶん商業出版ではニッチすぎて採算合わなんだろうな。

あと、エルミタージュ美術館も かの国も、いつか行きたい場所の一つだったのですが、まさかこんなにも遠い存在になってしまうとは。
いつの日か現地を訪れることができる日は、やって来るのでしょうか・・・なんて話を作り手の方としてきました。

素敵すぎる、そして、わかってる!という本をありがとうございました✨



まとめ


かつて、わたしとコミケとの距離が、確実に近づいていた時期がありました。それは、服飾の専門学校に行っていた頃。
自らもコスプレイヤーで、学業の傍ら、コスプレ衣装のオーダー制作を数多く受けている同級生がいました。

日常着とは訳が違いすぎるし、その技術の高さとプロ意識に尊敬の念すら覚えていたので、なおさらコミケという場は、自分なんかがお邪魔してはいけないような、とてつもなくハードルが高く濃い世界だ、と思っていました。

なんとなーくそうなんじゃないかな?と思いながら、今回、実際に足を運んでみて、やっぱり少々ハードルが高い世界であることは否めないけれど、ある意味でそれが"正解"なんだろうな、と。

正直なところ、初心者にはかなり優しくないことが多いなぁ、と感じたのは事実です・・・
公式ホームページが歴史を感じさせるレトロデザインで文字情報も多すぎて見づらい、とか、前売りのチケットが買いづらい、とか、ビックサイト内のいろいろな案内がなさすぎて分かりにくい、とか、「一限」=「お一人様一冊限り」のようなコミケ的用語がわからない、とかとか。

でも、それでいいのかもしれない、と思ってしまった自分がいました。

コミケという空間は、コミケを愛する方々にとって素晴らしくかけがえのない大切な場所であり、本当に心からコミケを楽しみに来ている人が集うべきところ、という印象は変わりませんでした。むしろ、それがいいのだ、と。

と同時に思ったのは、夢中になれる世界や人・ものがある人生って、とてつもなく楽しいし、それを持っていられたら、たとえ仕事や学校がしんどくなったときも、心のお守りになり、駆け込める大事な居場所になって、なんとか日々をただよっていけるんだろうなぁ、と。

わたしもミュージアムという場が大好きですが、隙あらば足を運んでいるのは、日常から離れた世界に浸りに行っている、という側面もあるからです。

できれば創作物は、モラルとかマナーとか、一定のルールの範囲内のほうがいいと思ったりもする人間ですが・・・真剣に謳歌している方々の姿を目の当たりにし、ここで楽しむ範囲ならそれもまた良し、だな!と思いました。



多様で自由、みんないいね!がコミケ。日常に戻ってもその濃厚な余韻が続いていて、こうして今回も、長い長いnoteになってしまいました。
最後の最後になりましたが、大事なことを。

買い手として参加するのと、作り手として参加するのでは、雲泥の差です。作り手の皆さま、本当にすごい。
おつかれさまでした!!!そして、心の底からありがとうございました!!!


かつて仕事で、少部数の冊子をよく企画制作していましたが、思えばあれって、同人誌と同じようなものでしたね。いい仕事だったなぁ、大変だったけど。

そして今は大学での学びや、企画している一箱古本市の取り組みなどで、ZINEをつくりたい欲が日に日に増しています。
中身を考えて実際に形にするのって、時間もお金もかかるし、何より大変なんですけど、ぜひ近いうちに自分もやりたい、つくりたいと改めて思いました。


帰り道、会場を出たところでちょうど16時に。
1日目終了のアナウンスが流れ始めると、その場にいる方々みんなが拍手をし始めたのです、こんな感じで。

どうやら恒例行事のよう。初心者コンビも、素敵だなぁこれ!と混ぜてもらって盛大に拍手。遭遇できて嬉しかったです。

100回続いてきたのには、理由があるんですね。
心の底から、思いきって行って良かったです。

次回は今年の冬。101回目ですね。
あなたも参加してみませんか?コミックマーケット。

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Naomi┃アートライター・編集
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